2021年7月2日更新

  歩こう!外出しよう!

 倶楽部の構想の背景~堅実な街づくりと健康な生活を目指して

  

 はじめに

 

  構想の意図を理解していただくために倶楽部の構想の背景では一般の方にはあまり知られていない事実を知っていただきたいと考えて北総線の問題について詳しく触れています。これまで北総線の問題にあまり関心を持っていなかった方にはちょっと難しいと思われる内容が含まれています。しかも、かなりの長文になっていますので一気に読み切るのは大変かもしれません。そのため、途中に休憩マーク入れてテーマごとに分割してあります。テーマ単位で分けてお読みいただくこともできます。

 

 なお、北総線の問題に関する資料を参考情報として「北総線問題1」及び「北総線問題2」で公開しています。興味のある方、内容に疑問を感じた方は参照してください。

 

 理解できない部分は読み飛ばしていただいて結構です。市民が自分たちで街づくりに取り組まなければ何も変わらないということさえ伝わればそれで十分です。現時点では行政や事業者に期待しても私たちの生活環境は良くならないということについて真剣に考えていただければというのがこの長文の趣旨です。

 

 北総線の問題よりもっと生活環境の改善につながる生産的な活動にいっしょになって取り組みましょうというのが倶楽部の趣旨ですので北総線問題自体を扱う予定がないことを予めお断りしなければなりません。

 

 ここからが本文です

 

 現在、全国で街づくりをめざしたいろいろな取組が行われています。少子高齢化が顕在化し、多くの自治体が人口減少と人手不足という問題に直面しています。白井市は少子高齢化は進んでいますが、人口減少の段階までは進んでいません。

 

 しかし、早晩、人口減少の段階に入ることは時間の問題だと思います。白井市の最大の問題は運賃が高すぎる北総線しかまともな公共交通手段がないことです。通勤や通学だけでなく、子育てという面からも交通利便性の改善が望まれます。こうした状態が放置され続ければ、人口減少が進むことで各種事業者の売り上げが減り、採算割れでスーパー等の生活インフラが減少していく段階がいずれ来ると思われます。

 

 北総鉄道の情報公開の際立った特異性

 

 今のままでは残念ながら北総線の運賃が下がる可能性はないと思います*。事業者に値下げの余力がないという訳ではありません。現在の鉄道運賃は事業者の自主性に任せるという名目で上限運賃制が採用されています。この制度では運賃の値上げは国の認可が必要とされますが、値下げや多様な運賃制の導入は事業者の自主的な裁量に委ねられています。事業者は自主性の対価として適切な情報公開が義務づけられていますが、実際には恣意的な情報公開しか行われていません。

 

 *2022年10月から通学定期がやっと世間並みの水準に引き下げられる予定ですが、一般の利用者の運賃は値下げと呼べるような水準ではありません。白井では、北総線で都心まで出かける度に依然としてSuicaに2千円以上チャージする必要があります。

 

 北総鉄道と同じように鉄道運輸機構を使って鉄道を建設した東葉高速鉄道埼玉高速鉄道りんかい線はホームページで詳しい決算情報を公開していますが、北総鉄道のホームページの決算情報は情報公開としてはほとんど意味のない内容です。損益計算書も貸借対照表も大項目だけで科目の明細がほとんどありません。

 

 資金繰りが苦しいと言い訳しながら、現預金残高すら分かりません。巨額の有利子負債があると強調しているのに鉄道運輸機構の債務額も京成からの融資額も開示していません。

 

 ホームページの2016年度決算(平成28年3月末)を見ると真っ先に「営業収益168億円、当期純利益は28億円を計上するも有利子負債は768億円を超え、累積赤字も121億円と依然として巨額」という文字が目に飛び込んできます。これって怪しいと思いませんか。有利子負債の内容を子細に説明して欲しいものです。

 

 儲かっているけれども、会社は運賃を値下げする状況ではありませんと宣言しているだけです。決算情報を見た人に対する印象操作ではないでしょうか。こうした「値下げできませんキャンペーン」が20年近く続いています。見え透いているだけにうんざりしませんか。

 

 ところが、2021年度決算で初めて一般的な貸借対照表と損益計算書が開示されました。現預金残高、流動資産や有利子負債の内訳がやっとわかるようになりました。しかしながら、情報公開が一気に進んだとまでは評価できません。

 

 貸借対照表のその他流動資産はいまだに87億円もあります。その多くが北総鉄道が余剰資金として京成に預けている消費寄託金(銀行の預金と同じ)と思われます。612億円弱の有利子負債から鉄道運輸機構の債務と消費寄託金を引くと実質的な長期借入金の残高は、100億円程度と思われます。

 

 損益計算書の支払利息は422百万円まで減少しています。過去の資料では、鉄道運輸機構の支払利息だけで6億円程度と見積もられていましたからいかに支払利息の負担が低下しているかわかります。鉄道運輸機構の債務は、ほぼ固定金利の元利均等方式なので今後、金利が上昇しても支払利息が大きく変動する可能性は低いと思います。金利の大幅な低下は、ひょっとすると10月からの運賃値下げに絡んで県や国からの支援があるのかもしれません。

 

(注1)2018年7月14日「北総鉄道2017年度決算」ホームページに開示

 

 そこには「有利子負債は741億円超、累積赤字も未だ96億円と依然巨額」とあり、さらに「また営業外費用においては、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構への支払利息が減少したものの、当期の経常利益は、前期に比べて4億7千8百万円、11.8%減益の35億9千1百万円となりました。」とあります。前期累積赤字は121億円でしたからこの1年間で累積赤字は25億円減少しています。このペースなら後4年で累積赤字が解消できます。しかし、その時の決算ではどんな記述になるのでしょうか。有利子負債741億円の内、鉄道運輸機構の負債は543億円。鉄道運輸機構の返済方法は元利均等返済ですからこれから元本の返済が増えて行きます。そして県・URからの無利子融資の本格的な返済も始まります。4年後に累積赤字が解消した際には、おそらく「累積赤字から脱したものの鉄道運輸機構と県・URに対する負債の元本返済で資金繰りが依然厳しい状況!」とでも言い訳することになるのでしょう?決算報告の末尾で2018年度以降の見込みについて「沿線の住宅開発が進み、沿線人口が増加したことにより、当期は増収となりましたが、沿線人口の高齢化による旅客需要の減少が既に一部地域で現実のものとなっており、首都圏を含めわが国全体としても人口減少社会の到来が予測されるなか、今後の見通しについては、より一層不確実性が高まり厳しい局面を迎えることが懸念されます。」と結んでいます。おそらく、将来的な少子高齢化による需要減も4年後の累積赤字解消後の厳しい経営環境のひとつとして挙げられるはずです。運賃の値下げを強く望む沿線住民と値下げしたくない京成側の溝が埋まる日が来ることはないでしょう。永遠に!

 

(注2)2019年7月12日「北総鉄道2018年度決算」ホームページに開示

 

 今年も前年度のコピペのような内容のない決算情報が開示されました。開口一番「有利子負債は708億円超、累積赤字も未だ70億円と依然巨額」という毎年恒例のフレーズが目に飛び込んできます。まともな企業ならこんな後ろ向きの表現は使いません。株主を意識するならせめて「当社は毎年25億円前後の利益を積み上げており、あと3年で累積赤字は解消する予定です。」と記載すると思います。わざわざ財務体質が脆弱なことをアピールしているようにしか思えません。事実そうなのでしょう。もっとはっきり書いたらどうでしょうか。利益は出ているけれど運賃は下げたくありませんと。北総鉄道は親会社の京成にとって利益の源泉だからこの先も自ら運賃を引き下げることはあり得ないでしょう。下の3年間の決算報告の扉のフレーズと最後の次年度以降の見込みを並べてみると単なる前年度のコピペであることが歴然です。経営目標を示さずに「当社の喫緊の課題は財務体質の改善であり、このため経費の削減はもとより、有効な増収対策を推進するなど、より一層の経営健全化達成に向けて邁進して参ります。」という抽象的な経営方針しか決算報告には示されていません。財務体質の改善のために何をするつもりなのか。経費削減の具体的中身は何なのか。どんな増収対策に取り組むのか。毎年のことですが、いずれも何も書かれていません。株主総会で誰も質問しなのでしょうか。目標が示されていないから経営者は責任を追及される心配がありません。毎年、何もしなくても利益が出ているのは端的に言えば、巨額の支払利息を前提に認可された高額運賃のおかげだと思います。現在の支払利息は認可時の十分の一近くまで下がっているはずでしょうから黙っていても利益が出ます。経営努力とは無関係です。財務体質が脆弱なのは鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの債務の元本返済に必要な資本増強が長年行われていないためです。過去に自治体から補助金の代わりに出資を提案されても頑なに拒否した会社です。財務基盤の改善が運賃の値下げにつながるのが困るからとしか思えません。なんて身勝手な会社だと思いませんか。

 

(注3)2020年7月3日「北総鉄道2019年度決算」ホームページに開示

 

 コロナの影響で大幅な減収かと思っていましたが、沿線の住宅開発による人口増で定期旅客が増加して輸送人員、旅客運輸収入ともプラスで着地しています。高額運賃の効果は絶大です。後2年で累積赤字も解消の見込み。しかし、20年前に最後の値上げをしたときに200億円近くあった債務超過を解消し、純資産は現在、200億円を超えています。その間、400億円の荒稼ぎをしたことになります。450億円近くあった累積赤字が10分の1の44億円になっても依然として巨額赤字と主張する事業者の面の皮の厚さには呆れてしまいます。20年前からの累積赤字を根拠にして経営の言い訳にするような会社は普通ありません。まともな会社なら多額の税金を払う代わりに早期に債務超過を増資で解消して株主に配当を払っていたところです。何とも甘い株主の集まりですね。大株主の国は、配当より天下り先の提供と税金で還元してくれる方が望ましいのでしょう。コロナの後手後手の対応を見ていれば国にまともな事業運営を期待しても空しいだけです。優秀な役人がいるというのはもはや都市伝説です。ちなみに有利子負債が677億円となっていますが、鉄道運輸機構からの債務は現在、500億円を割っているはずです。残りは京成からの借入残高なのでしょう。しかし、北総鉄道が京成に預けている余剰金(消費寄託金)を差しい引いた京成からの正味の負債残高はたかが知れた額なのではないでしょうか。北総鉄道の決算にメスを入れたらきっと経営陣は説明に困ることになるでしょう。

 

(注42021623日「北総鉄道2020年度決算」ホームページに開示

 

 北総鉄道は2020年度の決算が「新型コロナウイルス感染症の影響により、営業収益134億円、当期純利益は12億円」となったと発表しています。輸送人員と旅客運輸収入が前年比で四分の一程減少しています。しかし、成田空港線との運賃収入配分により、現在は本来の北総線の輸送人員と旅客運輸収入がわからなくなっていることを考慮して数字を見る必要があります。しかし、昨年までは決算報告書1頁目の最初のタイトルが「有利子負債は〇億円、累積赤字も未だ〇億円と依然巨額」というパターンでしたが、突然、「大幅な減収減益となるも、有利子負債は着実に減少し、累積損失の解消に目途」という表現に変わっています。それにしても2019年度の44億円の累積赤字が“巨額”で2020年度の32億円の累積赤字は巨額ではないのでしょうか。しかも、「今後は、ポストコロナに対応しつつ、運賃値下げの可能性の検討に着手」という別人のような変わり身の早さです。インバウンド収入に依存するリスクが身に染みたのでしょうか。それとも、他の鉄道事業者がコロナの影響で軒並み巨額の赤字を計上しているのに北総鉄道は減収減益とはいえ、10億円以上の利益を確保しています。さすがに適正利潤に基づいた運賃なのかという疑惑の目に耐えられないと考えたのでしょうか。

 

(注5)「北総鉄道2021年度決算」ホームページに開示

 

  コロナの影響で2019年度比では大幅な減収減益が続いているものの営業利益が前年度比で32.8%、経常利益が43.2%、当期純利益も40.3%増になっています。2019年度に比べて20%近く輸送人員が減少していますが、前年比で4.5%輸送人員が増えただけでこれだけ利益が出る北総鉄道の利益体質には驚かされます。おそらく、2019年度比で50%以上輸送人員が減少しなければ、赤字にならないのではないでしょうか。しかも、不利益な線路使用料契約を強いられながらこれだけの利益が出ているわけですからそうした利益相反行為を解消すればもっと利益が出ていたことでしょう。成田空港線の認可申請時に北総線を京成本線に組み込めば、京成本線の運賃を値上げしなければならないと京成は主張していました。そして、運輸審議会の場で内部補助を否定していましたが、コロナ禍で京成本線こそ北総鉄道の内部補助で大幅な利益を出していたことが露呈したのではないでしょうか。

 

 🔗JR・私鉄各社の赤字が大幅縮小、22年度決算を占う「注目ポイント」とは~営業赤字が最大なのは東京メトロの約237億円。続いて京成の約127億円、京急の約100億円、南海の約74億円となっており、都心に路線が集中している東京メトロと、航空需要落ち込みの影響を受けた空港アクセス路線の影響が大きいことが分かる。…最後に各社の2022年度業績予想とも比較しておこう。今年度は南海を除く全社が運輸セグメントの営業黒字化を達成するとの予想で、うち阪急・阪神HD、東武、西武HD、小田急、京成は100億円以上の営業黒字を見込んでおり、運輸部門が利益に寄与するところまで持っていけるかが今年度の注目ポイントと言えるだろう。

 

扉のフレーズ

2016年度「有利子負債は768億円を超え、累積赤字も121億円と依然として巨額」

2017年度「有利子負債は741億円超、累積赤字も未だ96億円と依然巨額」

2018年度「有利子負債は708億円超、累積赤字も未だ70億円と依然巨額」

2019年度「有利子負債は677億円、累積赤字も未だ44億円と依然巨額」

2020年度「大幅な減収減益となるも、有利子負債は着実に減少し、累積損失の解消に目途」

2021年度「2020年10月運賃値下げ実施予定」 

  

次年度以降の見込み

2016年度「沿線の住宅開発が順調に進んで、沿線人口が増加したことにより、当期は増収となりましたが、沿線人口の高齢化による旅客需要の減少も既に一部地域で現実のものとなっており、首都圏を含めわが国全体としても人口減少社会の到来が予測されるなか、今後の見通しについては、より一層不確実性が高まり厳しい局面を迎えることが懸念されます。また、多額の有利子負債をかかえている状況において首都直下地震対応の耐震補強工事や鉄道施設の老朽化に伴う更新工事など安全対策等の設備投資のための資金需要の増加も避けられない状況にあります。こうした中で、長期、安定的な輸送サービス継続のためには財務体質の改善が急務であり、このため経費の削減はもとより、有効な増収対策を推進するなど、より一層の経営健全化の達成に向けて邁進することといたします。」

 

2017年度「沿線の住宅開発が進み、沿線人口が増加したことにより、当期は増収となりましたが、沿線人口の高齢化による旅客需要の減少が既に一部地域で現実のものとなっており、首都圏を含めわが国全体としても人口減少社会の到来が予測されるなか、今後の見通しについては、より一層不確実性が高まり厳しい局面を迎えることが懸念されます。また、巨額の有利子負債をかかえている状況において、当社の使命であります鉄道事業を今後も安定的に継続するとともに、お客様により安全・安心、快適・便利にご利用いただくためには、鉄道施設の老朽化に伴う更新工事など安全対策等の設備やサービス向上への投資など、資金需要の増大は避けられない状況にあります。こうした中で、当社の喫緊の課題は財務体質の改善であり、このため経費の削減はもとより、有効な増収対策を推進するなど、より一層の経営健全化達成に向けて邁進して参ります。」

 

2018年度「沿線の住宅開発が進み、沿線人口が増加したことにより、当期は増収となりましたが、沿線人口の高齢化による旅客需要の減少が既に一部地域で現実のものとなっており、首都圏を含めわが国全体としても人口減少社会の到来が予測されるなか、今後の見通しについては、より一層不確実性が高まり厳しい局面を迎えることが懸念されます。また、巨額の有利子負債をかかえている状況において、当社の使命であります鉄道事業を今後も安定的に継続するとともに、お客様により安全・安心、快適・便利にご利用いただくためには、鉄道施設の老朽化に伴う更新工事など安全対策等の設備やサービス向上への投資など、資金需要の増大は避けられない状況にあります。こうした中で、当社の喫緊の課題は財務体質の改善であり、このため経費の削減はもとより、有効な増収対策を推進するなど、より一層の経営健全化達成に向けて邁進して参ります。」

 

2019年度 とうとう「次年度以降の見込み」という項目はなくなってしまった!

(ページの最後に)「引き続き当社の使命である鉄道事業を安定的に継続するため、お客様により安全、安心に、より快適・便利にご利用いただくための設備投資などを進めるとともに、更なる経費節減や増収対策に積極的に取り組み、より一層の経営健全化を図ってまいります。」

 

(注)更なる経費節減と書いてありますが、経費が減っているようには見えません。そもそも、費用の内訳をまともに公開していないのですから外部の人間が中身の検証をすることは不可能です。具体的にどの経費を節減してきたのか説明してほしものです。

  

2020年度「引き続き当社の使命である鉄道事業を安定的に継続するため、お客様により安全、安心に、より快適・便利にご利用いただくための設備投資などを進めるとともに、更なる経費節減や増収対策に積極的に取り組み、より一層の経営健全化を図ってまいります。」

 

 最後に次のように結んでいます。

 

運賃値下げの可能性について検討着手 当社は、永年にわたる多くの関係者のご支援の下、2022年には創立50周年を迎えると共に、累積損失についても、同年度中に解消できる見込みとなりました。今後は、次の時代を見据え、地域のインフラとしての機能を果たし続けるべく自立的な経営をより確かなものにしていくと共に、ポストコロナに対応しつつ、当社線の運賃値下げの可能性の検討に着手することで、これまで以上に京成グループ企業や自治体等の沿線関係者との連携を図りながら、当社及び沿線価値の向上に取り組んでまいります。

 

 (注)毎年、増収対策に言及していますが、2020年度の増収対策については増収に向けた取り組みについては、『第44回北総ウォーク』やイベント列車の運行など各種施策を実施し需要喚起に努めました。」と書いていますが、これは単なる利用者サービスに過ぎないのではないでしょうか。

 

2021年度当期における各利益項目は前期に比べて大きく改善したものの、新型コロナウイルス感染拡大前の水準にはまだまだ及ばず、また、611億円を超える有利子負債を抱え、依然として厳しい経営状況に変わりはありません。…当社では、今後も相当規模の安全・サービス投資を行っていくため資金需要の増加が見込まれるほか、沿線人口の減少や新しい生活様式の浸透などによる輸送需要への影響が懸念されております。このため、今後とも一層の経費節減に努めるとともに、巨額の有利子負債に鑑み、金利動向に留意しつつ円滑な資金繰りの確保を目指し、財務体質の健全化に向けた取り組みを継続してまいります。」

 

 この文面からするとさらなる値下げはないということを宣言しているように思えます。財務体質の強化と言いながら、肝心の資本不足問題に着手する可能性はないようです。本来必要なのは、資本不足解消のために増資や無利子貸付を県や自治体に要請し、さらなる値下げにより利用者を増やすことだと思います。

 

 北総線の10月からの値下げにばかりスポットが当たっていますが、スカイライナーの線路使用料問題(北総線区間内では一銭も線路使用料を負担していない。)はどうなっているのでしょうか。最近、千葉ニュータウン鉄道の線路使用料契約を値下げに合わせて変更することが北総鉄道のホームページにひっそりと開示されています*が、千葉ニュータウン鉄道は実態のない京成100%のペーパーカンパニーですので本来は、千葉ニュータウン鉄道が保有する区間は、鉄道事業法上、京成の第一種鉄道事業として認可されるべきものです。そして、北総鉄道と京成間の線路使用料契約は相互乗り入れとして対等な契約が締結されるべきだと思います。アクセス特急の運賃収入配分も解消されるべきものだと思います。

 

 *千葉ニュータウン鉄道の線路使用料契約の具体的な変更内容は現在のところ不明です。そのため、以降の千葉ニュータウン鉄道の線路使用料契約についての説明は修正していません。今後も経緯を残しておくために従来の説明を削除することなく、加筆して行く予定です。

 

 千葉ニュータウンのことをよく知らない人でも北総線の高額運賃についてはほとんどの人が知っています。だからこうした言い訳まがいの情報開示が続いていいるのだと思います。ホームページの決算内容だけを見たらしょうがないのかなと思う人もいるかもしれません。

 

 アメリカでマスメディアと政府の嘘を暴いた著名なジャーナリストが「すべての政府は嘘をつく」ということを証明していますが、天下りが関与しているすべての事業者に対しては私たち国民は厳しい目を向ける必要があると思います。この後の内容を読んでいただければ、皆さんも北総鉄道の事業に疑問を持つはずです。

 

 上記3事業者と北総鉄道を比べると北総鉄道の特異性は際立っているように思います。3事業者が公開している過去の事業報告書や有価証券報告書(りんかい線の事業主体)を調べてみましたが、北総鉄道のように公開情報の内容に疑問を感じるようなことはありませんでした。

 

 北総鉄道は鉄道統計年報で詳しい情報を開示していると主張していますが、鉄道統計年報は全鉄道事業者に提出が法律で義務付けられている「鉄道事業、軌道事業の実績報告、事業報告」及び鉄道輸送統計年報を基礎資料として国土交通省が作成した統計資料です。

 

 この報告書を見ても一般の人は理解できないと思います。事業者のデータが統計目的に合わせて分割・整理されており、個々の事業者の経営状況をチェックするためには財務と鉄道事業会計の基礎知識を基に再集計する必要があります。

 

 鉄道統計年報はかつては有料(高い)の刊行物として公表されていました。公表されるまでにとても長い時間がかかり、書店で入手できるのは事業報告の公表から1年以上も後でした。酷いときは決算年度末から刊行が2年も遅れることさえありました。ネットで公開されるようになっても相変わらず遅いようです。

 

 原因のひとつはデータの入力をExcelを使って手作業で行うという原始的な方法が採られているためでしたが、今も変わっていないのでしょうか。国はいとも簡単にAI革命を叫びますが、国の現場では相も変わらず、生産性の低い仕事が税金を使って行われているようです。

 

 そして、公表が遅れていた時期と市民が起こした北総線の値下げを求める行政訴訟が行われていた期間が重なります。具体的には申し上げませんが、これが偶然ではないと確信するようなことを経験しています。森友学園問題で「すべての行政は嘘をつく」ということが証明されたように思います。

 

 報告書には間違いがたくさんありました。高額のお金を出して長いこと待って購入した公開情報の間違いを国に問い合わせさせられる国民はたまったものではありません。間違いの多い鉄道統計年報のデータが認可の基礎資料となるのですから役所の内実は心許ないものです。

 

 鉄道統計年報のデータは大手民鉄事業者等の原価の算定資料として使用されます。一方、北総鉄道のような中小民鉄事業者には掛かった経費がそのまま認可の申請データとして使われる「費用積上げ方式」の総括原価が適用されています。

 

 国は事業者が後述の収入原価算定要領に沿って収入と原価を算定した簡便な認可申請を基に認可するだけです。平成10年の北総鉄道の上限運賃の認可申請は事業者が作成したものを無査定で認めたような内容です。実際は事前に事業者と鉄道局で協議(談合)して作成したものと思われます。

 

 いずれにせよ、鉄道統計年報の目的は事業報告書自体の公表ではありませんからこれをもって情報公開に代替できるはずもありません。やましいことがないなら株主に配布している、たいして情報量のない事業報告書をそのままホームページで公開するべきです。公開したくない理由が北総鉄道にはあるのでしょう。ただし、北総鉄道の事業報告書に開示されていない営業収益の内訳等については鉄道統計年報で確認する必要があります。

 

 県や白井市を始めとした沿線の自治体は株主ですから北総鉄道の経営実態を把握していますが、北総鉄道の恣意的な情報公開を黙認しています。黙認の背景には事業者を擁護する国が北総鉄道の経営の透明性について積極的でないため、運賃の値下げ問題は事業者に委ねられているという逃げ口上があります。

 

 適正利潤という壁により上限運賃が既得権に

 

 一般の多くの方はご存じないと思いますが、鉄道事業者に対する上限運賃制度における国の取扱いマニュアルは二種類存在します。この取扱いマニュアルは企業でいえば内規のようなものです。一つは大手民鉄事業者等に対する規程です。もう一つは北総鉄道のような中小民鉄事業者に対する規程です。規程の正式名称は「収入原価算定要領」と呼ばれています。

 

 この二つの収入原価算定要領の違いは適用される総括原価(原価+適正利潤)方式の違いによるものです。大手民鉄事業者等(JR旅客会社6社、大手民鉄及び地下鉄事業者)には原価の算定に「ヤードスティック方式(基準比較方式)」が適用され、「レートベース方式」の事業報酬が加算されています。大手民鉄事業者等を除く中小民鉄事業者には原価の算定に「費用積上げ方式」が適用され、払込資本金に連動した「配当所要額(適正利潤)」が加算されています。

 

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<追記 2023/01/11>ヤードスティック方式の実態

 

 ヤードスティック方式も実態は総括原価方式と変わらないようです。「よくわかる原子力 - 電力のコスト計算方式」というリンクには、次のように書かれています。国のコスト計算は、事業者優先のまやかしにすぎないようです。

 

 👉ヤードスティック方式 まやかしのコスト新評価方式

 

 1996年からは、「総括原価方式」に加えて「ヤードスティック方式」というコスト評価方法を採用しています。これは、当局側の言い方によりますと次の通りです。

 

ヤードスティックとは「物差し」、「尺度」という意味で、ヤードスティック査定とは、電気事業者間の継続的かつ自律的な効率化競争を促すため、総括原価主義の枠組みを維持しつつ、事業者間の効率化の度合いを共通の尺度で相対評価し、査定を格差づけする制度。(Japan Power News HPより 2005年)

 

 つまり、各電力会社の事業報告をもとに、理想的なコスト水準(=「ヤードスティック」)を算出し、それとの比較で各社の効率化の度合いを評価するのだそうです。とはいえ、基本的なしくみとして「総括原価方式」は維持されていますから、全ての経費を原価に算入できることは従来通りです。

 

 ところが、この「ヤードスティック方式」の導入と同じ時に、「経営効率化の成果を明確にするためには、事業者の努力とは無関係な要因により変動する燃料費を外部化する必要がある。」との考え方から、「燃料費調整制度」なるものが導入されました。(同上HP)

 

 これは、皆さんが電力料金を支払うときに、「燃料費調節額」なる名目で支払わされている料金のことです。使用電力量に対して一定の割合(燃料費調整単価)で加算されていて、3ヶ月ごとに見直されています。石油価格の変動や、為替レートの変動により燃料調達費が大きく変動した場合のリスクを、電力会社はほとんど完全に免れることのできる仕組みです。総括原価方式をさらに完成させた仕組みといえるでしょう。

 

 平成10年の北総線の値上げや成田空港線の運賃申請の認可で事業者の提出した申請内容をきちんと査定した気配はまったくありませんので、結局、国土交通省の裁量で運賃申請が認可されているということだと思います。認可権と天下りによる緩い査定のツケを鉄道利用者が払わされているというのが実態だと思います。電気代も同じです。政治家や官僚に任せていたら、こうした状況はいつまで経っても変わらないことでしょう。どちらがましだ、もしくはどっちが自分の住んでいる地域経済に有利かという地域エゴで短絡的で身勝手な判断を続けている国民自身がこうした事態を招いているのでしょう。自己責任と受益者負担と言う名の無責任な主張を続ける行政と政治家とはさよならするときだと思います。彼らは自分たちの利益でしか動きません。

 

 👉 総括原価方式とは? 電力自由化と電気料金の関係|でんきナビ|Looopでんき公式サイト (looop-denki.com) ~経過措置料金とは、従来の総括原価方式を用いた料金プランが据え置かれたものを指します。消費者は電力会社が新たに用意した料金設定と、これまでと同様の経過措置料金からプランを選べるようになっています。この経過措置料金規制は2020年3月末までの予定でしたが、存続が決定し、現在も料金制度として続いています。

 

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 大手民鉄事業者等に対する規程(12頁)の内容は制度としては容認できるものかもしれませんが、なぜか中小民鉄事業者に対する規程は極めて簡便なもの(僅か2頁?)で有り体に言えば何のための規程なのだろうかと頭を捻らざるを得ません。鉄道事業法は解釈の余地の多いあいまいな規定が多く、細かな部分は自分たちで作成した規則や規程に基づいて役所の裁量で決められています。

 

 その結果、中小民鉄事業者については掛かった経費は実質的に事業者の裁量で何でも計上できるしくみになっています。一方で大手民鉄事業者等に対しては人件費と経費の算定について詳細なルールが定められています。これに対して中小民鉄事業者の規程は単に大手民鉄事業者等の規程を適用しないという目的のために作られた規程にすぎないと考えられます。

 

 総括原価には適正利潤というものが含まれていますが、中小民鉄事業者に対してはとても適正とは言い難い利潤が認められています。それは単純に払込資本金が大きければ大きいほど、適正利潤が増えるというしくみです。もともと鉄道事業は多額の資本を必要とする事業です。国や自治体から手厚い支援を受けている事業者が公共交通事業の担い手としてふさわしくない法外な利益を上げても理不尽な適正利潤と野放図な原価からなる総括原価が収入を超過しなければ鉄道事業者の運賃は適正だということになっています。

 

 しかし、払込資本金を基準にして適正利潤決めることには矛盾があるように思います。というのは後述の最近、減資を実施して経営改善した埼玉高速鉄道の直近の決算の払込資本金は1億円ですから収入原価算定要領で算定した適正利潤は2千万円程度になるのでしょうか。

 

 中小民鉄事業者の「配当所要額(適正利潤)」は大雑把に言うと払込資本金の20%位になります。埼玉高速鉄道の当期純利益は27億円近くありますから収入は適正な原価に適正な利潤を加えた総括原価を超えているのではないでしょうか。

 

 しかし、総括原価は上限運賃の認可もしくは変更の申請時だけ査定することになっていますから問題はないということになるのでしょう。2019年10月に予定されている消費税が増税されたときに上記の状況が改善していなければ埼玉高速鉄道は消費税増税を理由にした上限運賃の認可申請ができないのでしょうか。

 

 一方でこうした適正利潤の算定方法は北総鉄道のように長期にわたって債務超過のまま資本増強を実施しない事業者を放置することにつながっているように思います。北総鉄道は平成10年の最後の値上げ(消費増税による値上げを含まず)の翌年の平成11年以降、1円も増資をしていません。

 

 債務超過を解消した平成24年度までは放置した債務超過が値下げできない大きな理由だったのですからモラルを問われても仕方がないと思います。債務超過解消後は累積損失が値下げできない大きな理由になっています。経営改善より値下げできない理由捜しが北総鉄道の経営者の仕事のようです。

 

 京成の出資比率(新京成電鉄の1%を含む)が51%になったのは平成11年です。平成11年度末の債務超過額は198億円ありましたが、その後増資せずに平成24年度に債務超過を解消しています。この成果が北総鉄道の経営努力の結果なら評価されるべきですが、実態は違います。評価されるべきは資本不足のツケを高額運賃で支えてきた北総線の利用者だと思います。

 

 (注)総括原価=適正な原価+適正な利潤とは~鉄道事業を営むためには多額の設備投資が継続的に必要になります。特定の地域において独占的な事業であることから、無制限にコストを運賃・料金に転嫁できないように、鉄道事業法第16条2項では、国土交通大臣は上限の認可をする場合に、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(=総括原価)を超えないものであるかどうかを審査して認可しなければならないという、総括原価方式による上限価格規制がなされています。

 

 上限運賃制では事業者が自らの意思で運賃を下げることはいつでも可能です。だから問題の所在は北総鉄道が掲げる値下げができない理由ではないのです。北総鉄道にとって上限運賃制は既得権に他ならないのです。国は自分たちが作成した内規に照らして北総鉄道の事業運営は適正だと言っています。

 

 現行の制度では事業者の上限運賃の認可申請が適正かどうかは役所が決めた算定要領の記載に形式的に合致しているかどうかしかチェックされていません。適正かどうかは公正な基準ではなく、役所が定めたルールに沿って収入と原価が算出されているかどうかだけです。一旦、認可されてしまえば事業者は無論のこと、役所も事後検証はしません。この点については「平成10年度の北総鉄道運賃改定に係る収支見込と実績の分析(研究資料)」で検討してみました。興味のある方は参照してみてください。

 

 千葉ニュータウン鉄道は何を目的として設立されたのか、京成はなぜ第一種鉄道事業者を避けたのか

 

 成田空港線開業前に北総鉄道、京成、千葉ニュータウン鉄道の3社間で取り交わされた常識はずれの線路使用料契約も自由経済の下で民間同士が自由な意思に基づいて取り交わした民民契約だから問題ないと国は主張しています。民民契約と言いながら3社とも中核ポストに事業者の盾?として国土交通省OBが就いています。

 

 北総鉄道の社長には現在、国土交通省OBで元鉄道局長の平田憲一郎氏が就任しており、千葉ニュータウン鉄道の社長と京成の取締役(前代表取締役副社長、前鉄道本部長)を兼務しています。利害相反という問題をどう認識しているのでしょうか。さらに国土交通省の指定ポストである京成の常務取締役には国土交通省OBの室谷正裕氏が就任しており、鉄道本部長というのですから国土交通省の鉄面皮振りには驚かされます。

 

 こうした京成グループの役員ポストに国土交通省OBが重用されているのは株主代表訴訟対策もあるのかもしれません。まるで彼らが弾除けにさえ見えます。説明責任は事業者の京成ではなく、国にあると京成は言いたいのかもしれません。ひょっとすると京成は鉄道局の課長クラスが署名した覚書を取っている可能性もあります。つまり、役員ポストは、仮に成田空港線の認可に問題があるとするなら、それは認可した国に責任があるという象徴なのかもしれません。

 

(注)驚いたことに2018622日の株主総会で平田氏が北総鉄道の代表取締役社長から代表取締役会長(京成電鉄㈱取締役兼務)に昇格し、後任に室谷氏が代表取締役社長(京成電鉄㈱常務取締役・鉄道本部長兼務)となり、千葉ニュータウン鉄道㈱取締役社長にも就任しています。北総鉄道はさながら国土交通省の植民地のようです。利害相反なんて問題ないということのようです。極め付きは、元検事長の栃木庄太郎という方が京成電鉄の取締役になっていることです。こうした人事配置は訴訟対策のための守備固めでしょうか?

 

 線路使用料契約の当事者の一社である第三種鉄道事業者(運行事業を自ら行わない鉄道施設を保有する事業者)の千葉ニュータウン鉄道が実体のないペーパーカンパニー(=親会社の京成自身)であることについてもペーパーカンパニーが駄目だという規定が鉄道事業法には存在しないから駄目だとも言えないというのが国土交通省の頭のいい人たちの見解です。

 

 京成と千葉ニュータウン鉄道との間の契約は実質的な自己契約です。しかし、国は自己契約でも問題ないと言っているのです。北総鉄道も京成の北総鉄道部門というのが実態です。線路使用料契約以外にもグループ間の取引には不明瞭な契約が多数存在してます。

 

 鉄道事業を現実に規制しているのは法律ではなく国土交通省の役人が作った自分たちに都合のいいルールと裁量です。鉄道事業法の解釈権は専ら彼らが握っています。だから利用者からの行政訴訟では今後も勝ち目はないのかもしれません。

 

 もう少し具体的に説明すると鉄道事業法第二六条(事業の譲渡及び譲受等)の第7項には「鉄道事業の譲渡を受けた者又は合併法人等が同一の路線について第二種鉄道事業の許可及び第三種鉄道事業の許可を取得することとなったときは、当該路線に係るこれらの許可は失効し、当該路線について第一種鉄道事業の許可を受けたものとみなす。」という規定が存在します。

 

 これを北総線と成田空港線の実態に当てはめると千葉ニュータウン鉄道は前身の公団線の事業者であった公団から「鉄道事業の譲渡を受けた者」に該当する第三種鉄道事業者です。そして親会社の京成と子会社の北総鉄道がこれまた京成の子会社の千葉ニュータウン鉄道の線路に「第二種鉄道事業の許可」を得て電車を走らせています。第二種鉄道事業とは線路を借りて鉄道の運行を行う事業のことです。

 

 しかし、京成と千葉ニュータウン鉄道との関係は一人二役のようなものです。親会社の分身の子会社(千葉ニュータウン鉄道)名義で店舗付き不動産を購入し、その店舗を親会社(京成)とグループ会社(北総鉄道)が借りて子会社(千葉ニュータウン鉄道)に家賃を払うような取引です。しかも、親会社は分身の子会社にその不動産の購入資金として多額の資金を貸し付けて利息を回収するという内部で資金が循環するビジネスモデルです。2社間の取引を装う京成内部の循環取引です。どうしてこんな取引が容認されているのか理解できません。

 

 千葉ニュータウン鉄道は登記だけの京成100%出資のペーパーカンパニーですから、実態は千葉ニュータウン鉄道=京成です。つまり京成は成田空港線の認可を受けた時に「同一の路線について第二種鉄道事業の許可及び第三種鉄道事業の許可を取得することとなつた」のです。京成の分身の術は既に見破られ、公然の事実なのに国は見えない振りをしているのですからある種滑稽です。

 

 本来ならこの時点で「当該路線に係るこれらの許可は失効し、当該路線について第一種鉄道事業の許可を受けたものとみなされる」はずです。しかし、現実は前述の鉄道事業法にペーパーカンパニーを排除する規定がないからダメだとも言えないという国交省の解釈により京成は「同一の路線について第二種鉄道事業の許可及び第三種鉄道事業の許可」の2種類の許可を同時に取得し続けています。

 

 第一種鉄道事業とは鉄道施設を保有し、自ら鉄道の運行を行う事業のことです。つまり、第一種鉄道事業=第二種鉄道事業+第三種鉄道事業です。なぜ、京成がペーパーカンパニーを設立してまで第一種鉄道事業者になることを避けたのかという疑問が生じます。

 

 千葉ニュータウン鉄道は公団の鉄道施設の譲渡の受け皿会社として設立されましたから国土交通省は千葉ニュータウン鉄道がペーパーカンパニーであるという事実を知っていて譲渡の認可をしたことは疑う余地がありません。巨額の国有財産を売却する相手の千葉ニュータウン鉄道の内容を精査したはずです。

 

 しかし、資本金わずか1千万円の千葉ニュータウン鉄道へ193億円の鉄道資産(ほぼ簿価)の譲渡(正確には事業の譲渡)を認可する非常識が平然と行われています。県が43億円の補助金(鉄道資産を圧縮すための補助金)を出していますので千葉ニュータウン鉄道の実際の取得額は150億円です。

 

 県は公団線の時代に鉄道資産の資産圧縮のために補助金として既に58億円を負担していますから資産圧縮のための県の累計負担額は100億円を超えています。県はこの他に30億円の出資金と鉄道事業の運営補助金(8億円)を公団線時代に拠出しています。京成にお土産付きで譲渡したようなものです。

 

 一方、千葉ニュータウン鉄道に対して京成は150億円以上の貸付を行っています。つまり、千葉ニュータウン鉄道はほとんど自己資金なしにローンで鉄道資産を購入したことになります。

 

 初年度から債務超過となるような第三種鉄道事業者を国はなぜ認可したのでしょうか。公団線の債務も損失も引き継いでいないのに初年度の損失は787百万円です。資本金が1千万円ですから初年度の債務超過額は777百万円です。

 

国有財産を取得した千葉ニュータウン鉄道の情報公開も北総鉄道以上に不明朗です。同社の決算は官報の決算公告に掲載されるだけです。掲載されるのは簡単な貸借対照表だけ。それ以外は1~2年後に公開される鉄道統計年報のデータくらいしかありません。資本金が5億円以上なら「貸借対照表」と「損益計算書」が決算公告に載っていたことでしょう。150億円の鉄道資産を購入して資本金が一千万というのは明らかに過小資本です。

 

上記二つの情報でも収益や費用の内訳は大項目くらいしか分かりません。それ以上の収益や費用の内訳は北総鉄道の決算情報等から推測する以外に方法がありません。

 

鉄道統計年報に掲載されている営業費は「運送営業費」と「一般管理費」に分類され、それぞれ「人件費」と「経費」が内訳として示されているだけです。千葉ニュータウン鉄道と同じ第三種鉄道事業者の成田空港高速鉄道には「運送営業費」の計上はありません。千葉ニュータウン鉄道が「運送営業費」の中の「経費」に計上があるのは北総鉄道に支払う後述の負担金があるためです。

 

上記「経費」の内訳は不明ですが、負担金以外の費用も計上されています。この負担金以外の経費は平成23年度までに累計で1,141百万円計上されています。一方、営業外費用に計上されているのは京成からの貸付金に対する支払利息と思われます。その額は同年度までに2,711百万円計上されています。

 

この二つの合計額は実に3,852百万円にもなります。同年度末の繰越損失は1,991百万円です。しかし、二つの経費の支払先が京成だとすれば、3,852百万円は京成の収益として計上されているはずですから2社の連結損益は1,861百万円の黒字ということになります。

 

連結損益では既に平成18年度に黒字に転換していた可能性があります。運送営業費の負担金以外の経費が増えだしたのもこの頃からです。平成19年度はこの経費が平成17年度の7倍近い254百万円計上されています。経費の内容を是非とも開示してほしいものです。重要なのは前述した同じ第三種鉄道事業者の成田空港高速鉄道にはそもそも運送営業費の計上自体がないことです。負担金以外の経費の計上の必要性が不明です。

 

利益にシビアな京成が長期に損失が発生する事業を買収するはずはないと思います。千葉ニュータウン鉄道は北総鉄道の債務超過のビジネスモデルの成功体験からきているのではないでしょうか。

  

 千葉ニュータウン鉄道の姿はバカ息子が親からの借金で国や県の支援を受けて国有財産を購入したような構図です。森友学園問題で国会で虚偽答弁して出世した佐川国税長官(更迭ではなくて辞職済み?)の例を見れば出世や天下りのための税金の無駄遣いなど官僚には必要悪にすぎないのでしょう。北総鉄道の天下りは国交省はもとよりURや県からも受け入れられており、万全の体制です。

 

(注)URの公団線の譲渡については「UR都市機構→UR都市機構について→記者発表→旧都市基盤整備公団発表分→平成16年度発表分→都市基盤整備公団鉄道の事業譲渡譲受の認可申請について(4/30)」の順で辿れば記者発表が参照できます。リンクを貼るとエラーになるためリンクを貼っていませんが、関心のある方は自分で検索してみてください。*2018年3月24日現在、URのサイトがリニューアルされ上記方法で記者発表にアクセスすることができなくなっています。現在のサイトでは該当する記事も掲載されていません。

 

(注)国土交通省が行った公団線譲渡の発表は下記のリンクで確認できます。

 🔗鉄道事業の譲渡譲受について

 

 国土交通省は認可前に省内で鉄道事業法との整合性について検討したはずです。あるいはペーパーカンパニーの千葉ニュータウン鉄道に公団線を譲渡するためのスキーム自体を役人得意の想定問答を繰り返した上で国土交通省が考案した可能性すらあります。

 

 それはURから鉄道資産の譲渡を受ける京成の希望条件に沿って考案されたスキームと考えられるからです。成田空港線の早期着工を優先してとられた措置なのかもしれません。まるで籠池氏と財務省の関係を彷彿とさせます。

 

 千葉ニュータウン鉄道を使ったスキームの最終的な狙いはスカイライナーの線路使用料の軽減(後述のとおり北総線区間についてはスカイライナーの線路使用料を京成は負担していない)なのかもしれません。成田空港線の運行主体である京成にとって北総線区間の線路使用料を負担しないという条件が成田空港線を開業する上での国との約束だったのかもしれません。

 

 鉄道局と京成の間に覚書が交わされていても不思議ではありません。北総鉄道の値下げ補助金の合意書のときもベースとなった鉄道局と京成との覚書の存在が発覚しており、合意書自体が役所の作文だったとも言われています。

 

(注)成田空港線の上限運賃申請の第9回運輸審議会議事録(平成22年2月9日)には以下のようなやりとりが記されています。

 

審議委員からの質問)スカイライナーの運賃・料金は全て京成電鉄の収入になるのだから、その運行本数が増えても北総鉄道の増収にはつながらないのではないか。

 

国土交通省の回答)スカイライナーの収入の取り扱いについてはご指摘の通りであるが、京成電鉄一般特急(アクセス特急のこと)の運行により北総線区間から成田空港線方面への鉄道利用者が増加すれば、北総鉄道の増収につながる。また、京成電鉄は自社の純増収入の一部を北総線運賃値下げの原資とするため線路使用料の一部として北総鉄道に拠出すると聞いている。

 

 北総鉄道が保有している京成高砂⇔小室区間はアクセス特急との運賃収入配分でスカイライナーの線路使用料がうやむやになり、千葉ニュータウン鉄道に京成が支払っている線路使用料は先程の説明のとおり京成内部の循環取引に過ぎません。

 

 そう考えるとアクセス特急と北総線の運賃収入の配分というこれまでに聞いたことのないような複雑で手間のかかる手法がなぜ採用されたのか説明がつくように思います。運賃収入の配分という外部から検証し辛い手法によりいつの間にかスカイライナーの線路使用料の問題はうやむやになっています。

 

 千葉ニュータウン鉄道の保有区間を京成が第一種事業者となり、北総鉄道と相互乗り入れすれば一番単純明快だったように思います。なぜ国土交通省が闇雲に事業者に加担するような屁理屈に終始するのかは上記のように考えれば説明がつきます。つまり、北総線の利用者には到底受け入れ難い理由だったので真相が判明すれば役人が一番嫌う自分たちの責任問題が出てくる可能性があるからではないでしょうか。

 

 京成が主導してペーパーカンパニーによる譲渡を提案したとは考えにくいと思います。国が成田国際空港(100%国が出資の特殊会社)にプールされていた成田空港線の事業費を早期に消化したいと考えたとしても不思議ではありません。役人にとって付いた予算は残さず使うのが鉄則です。なぜなら、国の予算は実績主義ですから、もし使い残せば翌年度以降の予算に影響するからです。

  

 京成は成田空港線の開業の条件として譲渡前の公団線に適用されている経過措置の継続を希望したのではないでしょうか。鉄道事業法が施行される以前は鉄道事業者であるURの前身の都市基盤整備公団は運行業務受託者の北総鉄道の収受した運賃収入全額を北総鉄道から回収し、北総鉄道に対しては運行業務に係る経費の実費を「業務費」(北総鉄道は「負担金」収入として計上)として支払っていました。このスキームは北総鉄道は公団線のリスクを負わないという考え方です。

 

 その後、鉄道事業法が施行されて公団が第三種事業者としての認可を受けたときに第二種事業者の北総鉄道から線路使用料を受け取る形に変更されましたが、鉄道事業法の経過措置(例外事例ということ)の適用を受けて前述の運賃収入全額を回収するというスキームは維持されました。

 

 つまり、線路使用料=運賃収入全額という形になりました。北総鉄道は公団線のリスクを負わないというルールが続いたのです。そして、おそらくこのスキームの継承がペーパーカンパニーの千葉ニュータウン鉄道設立の一番目の目的だったのでしょう。

 

(注)前述の成田空港線の上限運賃申請の第9回運輸審議会議事録(平成22年2月9日)には以下のようなやりとりが記されています。

 

(審議委員からの質問)千葉ニュータウン鉄道(CNT)に支払う線路使用料の額について、京成電鉄は3億円、北総鉄道は23億円となっているが、何故このような大きな乖離があるのか。

 

(国土交通省の回答)CNTの区間(小室~印旛日本医大)は平成16年6月まで都市基盤整備公団が第三種事業者、北総鉄道が第二種鉄道事業者として運行を行っており、両事業者間の契約によって、北総鉄道は公団鉄道の累積損失が解消されるまでは運賃収入全額を公団に支払い、運行経費相当額を公団から受け取ることとなっていた。平成16年7月に公団の第三種事業はCNTに譲渡されたが、契約の内容は引き継がれ、北総鉄道は契約に基づく線路使用料の支払いを続けている。将来的にはCNTの累積損失が解消した時点で線路使用料の支払も見直すようである。(以下省略)

 

 さらに印旛車両基地の車庫使用料に関する覚書も重要です。この覚書は将来的に北総鉄道は線路使用料とは別に車庫使用料を公団に支払うという内容でした。ところが、千葉ニュータウン鉄道が譲り受けた鉄道施設には当然、印旛車両基地が含まれていますから線路使用料とは別に車庫使用料を支払うというスキームは本来、あり得ないはずだと思います。

 

 しかも公団線時代には北総鉄道は車庫使用料を負担していません。なぜ北総鉄道はグループ会社である千葉ニュータウン鉄道に線路使用料とは別に車庫使用料を支払わなければならないのでしょうか。理由は千葉ニュータウン鉄道が公団から車庫使用料に係る覚書を含めた一切の権利義務を譲渡により引き継いだという説明なのでしょう。しかし、一切の義務を継承したかについては疑問が残ります。

 

 (注)平成17年度の北総鉄道の事業報告書には「この費用の増加は、車庫使用料1億7千万円…このうち車庫使用料は、旧都市整備公団との契約に基づき、同公団から資産を引き継いだ千葉ニュータウン株式会社に支払ったものです。」と記載されています。

 

 なぜ疑問が残るかというと公団の鉄道事業の最終年度の累積繰越損失は約280億円ありましたが、この損失はどこへいったのでしょうか。千葉ニュータウン鉄道は公団の鉄道事業の負債(360億円の長期借入金)も損失も一切、継承していないのに覚書を含めた権利だけ引き継いだように見えます。

 

 この車庫使用料の支払いについては「北総鉄道は公団線のリスクを負わない」という理屈が成り立たないという問題があります。この理屈は北総鉄道が経費の実費を負担金として受け取るだけだから経営には影響がないというのが前提です。つまり、利益は出ないけど損失も出ないというのが前提になります。

 

 ところが、北総鉄道は線路使用料とは別に車庫使用料を負担しているので千葉ニュータウン鉄道区間を赤字で運行していることになります。車庫使用料を払ってまで運行業務を行う経済合理性はありません。ルールは変わったのでしょうか。そもそも赤字前提の事業を行うことを株主は容認できるのでしょうか。

 

 さらに言えば、千葉ニュータウン鉄道が公団から取得した鉄道施設に含まれる車両についても北総鉄道は線路使用料とは別に車両賃貸料を払っています。車庫使用料と車両賃貸料は北総鉄道の完全な持ち出しです。皆さんが経営者だとしたらこんな屈辱的な取引条件を受け入れられますか。

 

 そもそも鉄道施設の保有と鉄道の運行を分離する「上下分離方式」の目的は「鉄道の線路や電路、車両などの施設の維持・管理にかかる経費は大きく、経営の厳しい状態にある地方鉄道の大半は、下部(インフラ)の保有にかかる費用が経営を圧迫している」という問題解決のために「交通事業の運営にあたる上部」と下部を分離することにあったはずです。

 

 しかしながら、北総鉄道の場合は立場が真逆になっています。下部を保有する千葉ニュータウン鉄道の作為的な赤字を上部の運行事業者の北総鉄道が補填するという鉄道経営として考えられないことが行われています。下部の経営を支えるために上部の収益が吸い上げられ、その負担が北総線利用者に転嫁されていることになります。上下分離方式の趣旨が逆転しています。

 

 公共交通機関である鉄道が利用者ではなく、事業者の利益が最優先されています。京成にはモラルはないようです。以前、千葉ニュータウン鉄道の担当者(京成の社員が兼務)に問い合わせたときにこちらの質問にはほとんど答えず、「不透明かもしれませんが、当社はリスクを負っている。」と言ったので貴社は公共交通機関でしょうという指摘をしたら「それは貴方の個人的見解だ。」と言われたことがとても印象に残っています。

 

 資金繰りが苦しいはずの北総鉄道に余裕資金~「消費寄託金」と京成からの借入金

 

 本来なら千葉ニュータウン鉄道ではなく、北総鉄道に公団の鉄道施設を譲渡するというスキームもあったはずです。(北総鉄道はそういう案も検討されたと答えています。)そうすれば線路使用料と車庫使用料や車両賃貸料の支払いは生じなかったはずです。

 

 仮に北総鉄道が公団の鉄道施設を取得した場合は固定資産税等の諸税や減価償却費の負担が発生しますが、北総鉄道は平成12年度には既に黒字転換し、公団の鉄道施設の譲渡時の税引き前利益は17億円以上ありましたから減価償却費の計上は節税と内部留保資金の増加につながったはずです。

 

 北総鉄道にはURの鉄道事業譲渡時に121億円の余裕資金(消費寄託金として京成に寄託され、北総鉄道の貸借対照表の「その他の流動資産」に含まれています。)がありましたから北総鉄道が公団の鉄道施設を取得することは十分可能だったのではないでしょうか。千葉ニュータウン鉄道に新たに150億円を超える融資をするより京成の負担は少なくて済んだのではないでしょうか。

 

 

(注)「その他の流動資産」に含まれる寄託金が消費寄託金であることは京成の株主総会招集通知添付の事業報告書に記載された「関連当事者との取引に関する注記」で確認しています。

 

 しかし、奇妙なのは当時の消費寄託金が京成からの貸付残高見合いくらいあることです。これは、考えようによっては北総鉄道に貸し付けた資金を消費寄託金という名目で回収しているようにも見えます。昔、銀行がよくやっていた「歩積両建」に似ています。銀行預金も消費寄託金の一種です。

 

 銀行は企業にお金を貸し出すときに公然と貸付額の一定割合を預金させていた時代がありました。いわゆる、拘束預金と呼ばれるものです。銀行は貸したお金の一定額を預金させて、こうした借入企業から集めた預金を原資にさらに別の企業に貸し付けていました。

 

 借りた企業は預金の利息収入は得られますが、当然、貸付金の金利の方が高いので必要な資金だけを借りた場合より割高な金利を負担することになります。このため、こうした「歩積両建」の預金は現在は規制されています。

 

 🔗東日本銀行が不適切融資 金融庁、業務改善命令へ ~融資に伴って金利と別に多額の手数料を取ったり、過剰に融資して一部を定期預金させたりするなど不適切な融資が横行していたためだ。

 

 北総鉄道は事業報告書の中で消費寄託金を現預金と合わせて「滞留資金」もしくは「手持ち資金」と呼んでいます。この消費寄託金の一部がURの鉄道事業譲渡時に千葉ニュータウン鉄道への貸付金の原資に流用されていたのではないかという疑念を第三者から持たれてもしかたありません。消費寄託金は使途が決められていませんから京成は消費した金額を北総鉄道に返却すればいいだけです。

 

 手続きが適正だから適正~「適正な利潤」は制度として果たして担保されているのだろうか

 

 こうして考えると公団に適用されていた線路使用料の経過措置と車庫使用料の覚書の承継が千葉ニュータウン鉄道の存在意義なのかもしれません。しかし、公団の経過措置と覚書はいずれも公団の多額の累積赤字を理由にしたものです。だから京成は千葉ニュータウン鉄道を借金漬けにして赤字を膨らませる必要があったのかもしれません。

 

 要するに国が認可したから適正だという説明以外の理屈が存在しないというのが実態ではないでしょうか。加計学園の認可と同じです。手続きが適正だから適正だという論理しか存在しないというのはお寒い限りだと思いませんか。

 

 🔗山口真由が佐川前理財局長の国会答弁を解説 官僚答弁は「揚げ足を取られないようウソなくいくつも予防線を張る」もの~佐川宣寿・前理財局長は2017年2月、「国有地売却は時価で売るのが基本。価格を鑑定してもらい適正な価格で売っている」と答弁。山口さんによると、この「適正な」というのは、「適法な手続きの範囲で」という意味であり、「妥当な価格」という意味ではないという。

 

 鉄道事業者がペーパーカンパニーを設立して鉄道事業を第二種と第三種の事業に分割することができるならば第三種事業者に支払う線路使用料を調整することで利益操作が可能になることはないでしょうか。従って、鉄道事業法に規定されている「適正な利潤」は制度として果たして担保されているのだろうかという疑問が湧きます。

 

 こうした行為は普通、脱法行為に当たると思います。しかし、解釈権は法律を作った官庁にあるそうですので普通の人がおかしいと思っても頭のいい役人から見ると問題ないというのが現実です。私たち庶民にはどうすることもできないようです。

 

 そもそも民民契約だから契約が公正だということにはならないはずです。本来は事業者間の取引については公正な取引を担保するために鉄道事業法で人的・資本的な規制をかけるべきだと思います。

 

 しかし、前述の「都市基盤整備公団鉄道の事業譲渡譲受の認可申請について」というURの記者発表には「京成グループの一体的な運営により事業の安定的な経営を図ることが望ましいとの結論に達し、本年2月に、『京成電鉄(株)が新たに設立する100%子会社である千葉ニュータウン鉄道(株)が、都市基盤整備公団の独立行政法人への移行後速やかに公団鉄道事業を譲り受ける』ことで基本的合意が成立いたしました。」と記されています。事業者や国は公平性や透明性などということはどうでもいいのでしょう。

 

(注)2018年3月24日現在、URのサイトがリニューアルされており、上記の記者発表はサイトで確認できません。

 

 本当はこれ程細かく言及するつもりはありませんでしたが、ここまで書かないと北総線の値下げのための市民の努力が成果につながらないという現実に同意できないという方も多いと思いますので敢えて細かい内容に触れました。

 

 ご理解いただけたなら前に進むために北総線の値下げのために時間を浪費することをやめて現実に私たちの生活利便性が向上する方策をいっしょになって考えましょうという提案をこの先でしてゆきます。

 

 🔖<第一休憩所>この後も長い。一休みして!

 

 

 北総線の高額運賃の維持とバス路線の不便さがリンク~市民の足を優先した公共交通網の実現が必要

 

 北総線の値下げについては10万人の署名が集まり、沿線住民の強い願いであることが確認され、超党派で問題の解決に当たるはずでしたが、政治家が事業者の味方だったということは既定の事実です。しかも、事業者の味方が自公政権だと思っていたら政権交代したときに成田空港線の認可をしたのは前回の衆院選で話題になった当時の民主党の前原国交大臣です。審議会が適切に審議したから認可するという決まり文句は加計学園の獣医学部の認可とまったく同じです。

 

 手続きが適正に行われたから適正だというロジックは審議内容については関係ないと言っているようにも聞こえます。役所が審議会に答申を求めるときは既に結論が決まっています。こうした慣習は昔から批判を浴びながら何も変わっていません。審議会のメンバーは役所の意向を尊重してくれる人を中心に選びます。異論が出されても少数意見で終わり、審議会は結論ありきの役所のガス抜き機関に過ぎないことは常態化しています。

 

 官庁がこうした事業者本位の結論ありきなのは別に今に始まったことではありません。とりわけ、天下りポストがある事業者は優遇されています。天下り規制については長年叫ばれていますが、一向に改善されていません。京成には国土交通省のOBのための役員ポストが存在していますし、京成のグループ企業には天下りや渡りで就職したたくさんの国土交通省のOBがいます。北総鉄道も同じです。最近、たまたま目にした下記の商工中金の不祥事の記事を読み、役所の体質は一向に変わっていないのだなとつくづく思いました。

 

 🔗古賀茂明「商工中金スキャンダルが示した安倍総理に『改革』はできないという事実」 連載「政官財の罪と罰」~民営化をほぼ止めることに成功した経産省は、第2次安倍政権になって商工中金の社長ポストを次官OBの天下り先として奪還することに成功した。安倍政権は、前に述べた四つの政府系金融機関のうち日本政策投資銀行以外の三つの政府系金融機関で、財務省や経産省の次官級OBの天下りを復活させたのだ。これは、安倍政権が両省の協力を得るために行った取引だったと考えられる。

 

 北総線の値下げ問題はもう20年近く議論されながら一歩も進んでいません。しかし、残念ながら北総線の運賃が2割、3割下がっても今後予想される少子高齢化による人口減少対策にはつながらないだろうと思います。なぜなら運賃の安い新京成線の沿線はシャッター街化が進んでいます。松戸駅前の商店街ですら寂れつつあります。3月には松戸の伊勢丹も撤退予定です。

 

 🔗伊勢丹松戸店閉店 街のシンボル消え…衰退の懸念

 

 利用時間帯や使用期限等の制約を厭わないなら昼間割引回数乗車券か土・休日割引回数乗車券もしくはこのいずれかのばら売り回数券を購入すれば、今でもなんと33.3%引きで乗車できます。北総鉄道のホームページにはご丁寧にわざわざ括弧書きで割引率33.3%と記載されています。しかし、これは利用者への配慮ではなく、通勤・通学の乗客が利用しない低稼働時間帯に対する事業者側の増収対策に過ぎません。

 

 昼間割引回数乗車券や土・休日割引回数乗車券、これらのばら売り回数券を実際に購入してみたことがありますが、昼間割引回数券は「10時から16時の間に使用開始」する必要があり、これは実際に使ってみるととても大きな制約です。土・休日割引回数乗車券は毎週、土曜や休日に都心に出かける用事もなく、二つの回数券とも使用期限が3か月と短いため、結局、使い残してしまいました。

 

 ばら売り回数券は扱っているお店の善意なので回数券を購入する際にときどき買う必要もない商品をいっしょに購入していました。どうしてもばら売り回数券だけを買うことに対する心理的抵抗がありました。お店の直接的な経済的利益のないばら売り回数券を購入するときはお店の仕事の邪魔をしたくないという心理が働き、気疲れしてしまい、最近は利用していません。

 

 北総線の運賃が大きく下がれば都心に出る負担は改善されるかもしれませんが、地域全体の交通利便性という問題は何も改善されません。この地域の交通利便性の問題は鉄道だけではないのです。地域内の路線バスは京成グループが独占しています。北総線の高額運賃の維持とバス路線の不便さがリンクしているのです。この後で述べるコミュニティバスの路線改訂でそのことが顕在化しています。市は市民の方を向いて仕事をしていません。

 

 だからこのままでは鉄道経営に影響のあるような市民の足を優先した公共交通網の実現は期待できません。北総鉄道の運賃値下げだけにこだわれば通学定期の割引率の維持を人質に取られて補助金の復活を事業者から求められるのが落ちです。

 

 通学定期の割引の継続は県からの無利子貸付の返済猶予の延長等を理由(口実?)にした10年間の期間限定ですから期限が来れば事業者が補助金の復活を求めてくるのは確実だと思います。同じように高額運賃の東葉高速鉄道は通学定期の割引に条件など付けていません。

 

 北総鉄道の県からの無利子貸付は53億円ですが、もし、北総鉄道がというより京成がこの無利子貸付の出資への振り替え(株式化)を希望していれば、おそらく県は受け入れただろうと思います。東葉高速鉄道は既に平成28年度までに県からの無利子貸付65億円の出資への振り替えを完了しています。

 

 もともと無利子貸付の目的は資本不足対策です。URと県からの無利子貸付は平成7年度から始まり、平成10年の北総鉄道の上限運賃変更の翌年の平成11年度に完了し、URと県それぞれ53億円づつ貸し付けています。無利子貸付でなく出資でもよかったように思います。

 

 当時のことは知りませんが、京成の出資比率が51%になったのも平成11年です。出資でなく、無利子貸付にしたのは経営主導権の問題もあったのかもしれません。現在、北総鉄道というより京成が出資を拒んでいる理由は明らかに経営主導権の問題だと思います。北総鉄道の不透明な経営の根源もそこにあると思います。

 

 もし、京成の出資比率が下がれば今までのような経営はできなくなり、不透明なグループ間取引がオープンになるリスクもありますから、京成は出資比率の下がるような増資は絶対に受け入れないだろうと思います。

 

 しかし、後述の北総鉄道が値下げできない理由として挙げている長期資金収支不足295億円も県の無利子貸付の出資への振り替えで242億円まで減ります。

 

 長期資金収支不足の内訳に京成の貸付分の返済も含まれているはずです。前述の消費寄託金のことを考えると京成の北総鉄道への貸付は北総鉄道の債務を膨らませるための見せ金のようにさえ見えます。仮に京成の貸付と県の無利子貸付の株式化を実施できれば、実質的な資金収支不足は160億円程度まで圧縮できるのではないでしょうか。

 

 債務超過も貸付を株式化し、北総鉄道が公団線を取得していれば長期的なコスト削減効果によりもっと早く解消することができたはずです。不作為により(本当は作為的に?)債務超過を長期に放置した京成、県、URの大株主としての責任は重いと思います。京成にとっては北総鉄道の高額運賃維持のためには北総鉄道の財務基盤が悪く見えた方が都合がよかったのではないかという疑念を持たれてもしかたないと思います。

 

 今後、人口減少が進んで市の財源が厳しくなれば、コミュニティバスの運賃の値上げや路線の縮小が事業者の利益を考慮して進められることになるはずです。自助努力が求められるのは市民の方です。鉄道の路線の維持のためという名目で北総鉄道の利用を市は市民に促すことになるでしょう。

 

 成田空港線開業時の補助金等の拠出の見返りのためのような微々たる値下げもその後の消費税の増税に伴う運賃の値上げの際に元に戻っています。そして、終了した値下げ補助金(22~26年度)の見返りとも思える、北総線の耐震補強工事(27~29年度)を目的にした補助金を沿線自治体は負担しています。

 

 北総線の線路上を高速でアクセス特急とスカイライナーが走っているわけですから京成に応分の耐震補強工事費用を負担してもらうべきです。京成の線路使用料をその分を増額するべきです。結局、成田空港線の費用まで負担させられているのではないでしょうか。

 

 いずれにしても値下げ補助金が名目を変えた形で実質的に続いているということです。沖縄の人々の基地負担と北総線利用者の高額運賃負担は不条理という点では似ているかもしれません。無論、沖縄の人々の負担と比べたら屁のような問題かもしれません。

 

 元利均等方式による返済が諸悪の根源

 

 北総鉄道の現在の問題は借入金の金利負担による収益面の問題ではなく、元本の返済のための資本不足です。北総鉄道の累積赤字の最大の原因は鉄道運輸機構への支払利息です。

 

 鉄道運輸機構の「民鉄線事業」を利用して鉄道を建設した事業者はいずれも例外なく開業後大赤字に陥り、返済期間を延長して毎年の返済額を減らしています。その原因は鉄道運輸機構の返済方式が元利均等方式で行われているためです。元本の返済が進まず、現在も多額の債務が残っているのはそのためです。

  

 この返済方式は住宅ローンでは一般的な貸付方式です。個人の場合、事業貸付で採用されている元金均等方式を採用すると初期の返済負担が多額になってしまうからです。個人の場合は企業のように年度ごとの損益という問題がありませんから毎月の負担が少なく、返済が一定(均等)であるということが一番求められます。

  

 一方、事業者は事業年度ごとの損益は最重要課題です。赤字続きでは株主に配当を払うことはできません。赤字続きの企業に資金を貸し付ける銀行もありません。ですから、通常、企業は配当や支払利息の負担に耐えられるように自己資本比率を高める努力をします。企業は債務超過を避けるべく最大限の努力を払います。債務超過に陥ったら資本増強して速やかに解消しようとするのがまともな企業です。

 

 企業に対して事業資金を元利均等方式で貸し付けた場合、毎回の返済額は一定になりますが、借入企業は返済期間の前半で莫大な支払利息を負担することになります。後半は利息の支払いが減少しますが、今度は元本の返済が膨らみ、事業の安定性を欠くことになります。

 

 🔗元金均等返済は損か得か 元利均等返済との違い、返済シミュレーション例を紹介

 

 北総鉄道の経営状況はまさにこうした状況です。鉄道運輸機構への返済のウェートが支払利息から元本の返済へと現在、移行しています。支払利息は毎年減っていき、元本の返済がその分増えていきます。金利負担が減少して利益がバンバン出るけど増資をしないから元本の返済が苦しいということです。

  

 利益が出ているときの減価償却費の増加は法人税の負担を減らし、返済原資となる内部留保資金の増加につながりますから仮に公団線を北総鉄道が取得していれば北総鉄道の資金繰りはその分改善して元本の返済も今より楽になっていたはずです。

 

 例えば、市が行った委託調査の報告書「北総線運賃問題に関する報告書(25年9月13日)」に掲載された鉄道運輸機構の償還予定表によれば毎年の元利合計の返済額は34億円弱です。平成24年度の元利合計の返済額に占める元本の返済割合は73%程度ですが、10年後の平成40年度の元本の返済割合は90.4%です。

 

 ちなみに鉄道運輸機構自体の調達した資金の返済方法は元金均等返済か、債券の一括償還です。金利も民間金融機関以外は固定金利で資金調達しています。機構は調達した資金の一部を鉄道建設の資金に充当して鉄道事業者から鉄道建設にかかったすべてのコスト(建設工事の原価だけでなく、一般管理費等を含む)を元利均等方式で回収しています。機構は負担したコストを全額回収する「原価回収主義」の採用により損益への影響がないしくみになっています。

 

 機構は個別の案件(例えば北総線の二期線工事等)ごとに調達先別に資金を割り当てています。償還前に割り当てた調達資金の一部に償還期限が来ると資金の借り換えが発生し、元利均等返済の計算をやり直すことになります。これはリスクを取らない機構が調達資金の返済方法と鉄道事業者からの債務の返済方法が異なるために生じる調整だと言えます。北総鉄道はこれを理由に鉄道運輸機構の債務が変動金利だと主張しているようです。

  

 元利均等方式で事業者に資金を貸し付ける銀行も借りる事業者も通常はありません。鉄道事業者の初期の資金負担を抑える目的で考えられたしくみなのかもしれませんが、鉄道開業だけを優先したお粗末でいかにも役人が考えそうな問題先送り型の施策です。会計検査院からも改善の指摘を受けています。

 

 しかし、こうした反省からつくばエクスプレスの建設では自治体が無利子の資金を鉄道運輸機構に貸し付ける等の工夫が採られています。元本返済のために必要な資金も十分な資本金で賄える体制がとられています。

 

 いずれにせよ、北総鉄道の莫大な累積赤字は最初から想定されたものです。しかし、債務超過の会社がリストラ等の経営努力をすることもなく、高額の給与で天下りを雇い続けて存続できたのは公共交通機関を潰すことはできないという国民感情と国策があったからでしょう。

 

 黒字転換し、債務超過を脱したのも経営努力によるものではなく、繰り返された償還期間の延長と元利均等返済方式により時間の経過とともに大幅に支払利息のウェートが減ったからです。しかし、現在は支払利息の減少に反比例して元本部分の返済の増加により資金繰りが厳しいから値下げができないというのが北総鉄道の言い分です。経営努力を棚上げにして高額運賃を維持したいというのが北総鉄道というより京成の思惑なのでしょう。

 

 京成に資金がないというなら第三者割当増資を実施して北総鉄道を本当に配当ができる会社に生まれ変わらせたらどうでしょうか。しかし、残念ながら京成は利用者の利便性向上のための鉄道路線の相互接続さえ消極的で利用者の他線への乗り換えにも徒歩を強いるような体質の企業ですから外部から資本を取り入れるという共存型の経営戦略は難しいでしょう。

  

 本来なら補助金でなく、資本増強のための出資を北総鉄道は受け入れるのが筋ですが、それができないなら鉄道運輸機構の償還期間を毎年の元本返済額が減価償却費の範囲内に収まるように再延長するべきだと思います。

 

 しかし、資金繰りが苦しいはずの北総鉄道が多額の余剰資金を京成に消費寄託金として寄託しているのはとても不思議です。資金繰りが苦しいと説明しているのに現預金に多額のお金が残っているのは辻褄が合わないとでも考えたのでしょうか。

 

 北総鉄道の言い分がどこまで本当なのだろうかと思わずにいられないのも事実です。分かっていることは出資は困るけども補助金はいただきますということです。

 

 前述の東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道、りんかい線はいずれも定期的に増資を実施して資本増強を図ってきています。なぜ、出資がだめで補助金が望ましいのか、沿線利用者にきちんと理由を説明するべきです。ちなみに、埼玉高速鉄道は平成26年度に「増減資による累積欠損金の解消」を断行し、新しい会社に生まれ変わっています。

 

 埼玉高速鉄道はプレス発表で「当社の構造的な課題であった有利子負債残高を減少させるとともに、実態に見合った資産評価額に見直しました。また、減資により累積欠損金も解消されました。このことにより、当社は自立経営できる素地が整いました。平成27年度から、新たに生まれ変わった会社として第一歩を踏み出しております。安定した経営基盤の確立に向けて、安全・安定な輸送事業の継続とともに、さらなる利用者サービスの向上と、より一層の経営改善を図ってまいります。」と宣言しています。できない理由ばかり並べたてる会社とは全然違います。

 

 🔖<第二休憩所>まだまだ先は長いです。一休みして! 

 

 

 「長期資金収支試算」は値下げしないための試算~高額運賃はいつまでも続く

 

 白井市内の駅は二つとも乗換え駅ではないですが、沿線の中で利用者の比率も高く、成田空港線の成田までの延伸のために資金を拠出しているのにアクセス特急も停車せず、高速でホームを通過するスカイライナーに対する安全対策として必要なホームドアの設置すらされていません。そのスカイライナーが線路使用料を一円も払っていないことに気づいている市民は少ないように思います。

 

 アクセス特急の走行を理由に北総線区間内の運賃収入配分が行われていますが、スカイライナーについては北総線区間を通過しているだけですから運賃収入配分などあり得ません。スカイライナーについては別途、線路使用料が北総鉄道に支払われるべきです。

 

 しかも成田空港線の認可時に新線の原価として計上されたスカイライナーの車両が京成本線上をモーニングライナーやイブニングラーナーとして走っているのですからそのデタラメ振りには呆れるばかりです。成田空港線の認可時の審議会で京成が成田空港線の区分会計をしないことが明らかになっています。

 

 認可後はどんぶり勘定が許されるのでしょうか。成田空港線認可前は京成線全体でコスト計算をしたら京成本線の運賃を値上げする必要があると主張していたのに認可されたら京成すら成田空港線の個別の収支が分からないということが許されるのでしょうか。

 

 成田空港へのアクセスで競合する事業者に対抗できる運賃水準にするために成田空港線の原価を下げる必要があるけれどもそのために京成本線の収入を内部補助に当てたくないから北総線区間の線路使用料と運賃収入配分で原価を調整をしたというのが真実ではないでしょうか。

 

 北総鉄道というよりも京成は運賃値下げの意思がないことを明確にしています。北総鉄道が「北総線運賃問題に関する報告書(25年9月13日)」に対する反論の中で開示した長期資金収支試算で17年後の平成47年度に295億円の巨額の資金収支不足に陥るとしているからです。

 

 この「長期資金収支試算」公表前の成田空港線の公聴会で公述人からの北総線の値下げについて問われた当時の京成の花田社長は「今後さらに当社(京成)から、最大259億円の融資支援を(北総鉄道は)受けなければならない見込みとなっております。」と答えています。

 

 これは平成24年の北総鉄道の鉄道運輸機構に対する債務の償還期間の延長前の発言です。平成47年度は、鉄道運輸機構の債務の返済が完了する年です。償還期間の延長後の方が、前述の花田社長の示した金額より資金収支が36億円悪化しています。京成が融資しなければ鉄道運輸機構に対する債務の完済後に295億円の資金不足に陥ると試算しているのです。

 

 要するに多額の利益が出ても法人税の支払いや鉄道運輸機構への元本の返済で資金繰りが苦しいから値下げの余地はありませんと説明しています。そして不足する資金は増資ではなく、親会社の京成が融資する予定ですと宣言しているのだと思います。鉄道運輸機構への債務の完済後も京成からの多額の借金が残るから値下げの余地はないということだと思います。つまり、高額運賃はいつまでも続くということでしょう。

 

 運賃を下げて利益を適正な水準に抑えることで法人税の支払による資金流出を抑え、鉄道運輸機構の償還期間の再延長により毎年の元本返済額を減らし、それでも不足する資金を定期的に県や沿線自治体からの増資で賄うのがまともな事業者のすることだと思います。運賃を下げることで利用者の増加も期待できますから運賃を下げた分がそのまま減収することはないと思います。

 

 累積損失の解消の問題については債務超過を長年にわたって放置し続けてきたのですから、そのことに比べたら大したことではないようにも思えます。そもそも出資とは投資です。損失が出ない投資などあり得ないと思います。北総鉄道の株主は国債でも購入したつもりなのでしょうか。埼玉高速鉄道のように減資して累積損失を解消することも現在の損失額からすれば十分可能です。

 

 現在、北総鉄道は過去の損失を高額運賃で回収し、京成は配当の代わりに線路使用料の調整で回収し、国は配当の代わりに法人税で回収し、最後は出資した元本も回収するつもりでしょうか。北総線利用者の高額運賃負担は自己責任ということになるのでしょうか。しかし、私たちが千葉ニュータウンから脱北する自由は地価の下落でどんどん狭まっているように思います。窮鼠猫を嚙むということもあります。

 

 ここでは北総鉄道が示した「長期資金収支試算」について内容を検証するつもりはありません。そもそも検証するために必要な具体的な情報を開示せずに前記委託報告書に対する反論のため反論として作成された試算ですから検証することは不可能です。いつもの自社に都合のいいデータを引用した大人げない作文です。不透明だからと情報公開を求めているのにそれには一切耳を傾けず、高額運賃に苦しんでいる利用者の立場に立たず、強欲で傲慢な態度で自己弁護する姿は醜悪だと思います。

 

 例えば反論の最後で「キャッシュアウトするリース償却費(リース料)を債務返済等に充て得るフリーキャッシュとするなどの計算上の誤謬、債務の一部の返済を織り込まない不合理な条件設定なども見受けられ、議論の立脚点として全く意味をなさないものであることを申し添える。」と結んでいますが、それなら調査を受託した事業者から資料の提出を求められたときに減価償却費に含まれるリース資産の減価償却費を開示するべきだったはずです。いくら専門家でもきちんしたデータがなければ、正確には見積もれません。

 

 必要な協力が北総鉄道と京成から得られなかったことについては報告書の前書きに書かれています。しかも、北総鉄道の指摘が報告書の信頼性にどの程度影響しているのかは外部からは分かりません。数パーセントなのか、2割なのか、それとも全体から見れば取るに足らないものなのか、それすら分かりません。その原因は、結局、北総鉄道の経営の不透明さから来ているのではないでしょうか。

 

 報告書は使用したデータを具体的に示した上で結論が示されているからこそ北総鉄道は具体的な検証と反論が可能だったのだと思います。だから上記のような重箱の隅を突っつくような反論が可能だったのではないでしょうか。一方、北総鉄道の反論はそこで示されたデータが結果もしくは結論だけの外部から検証するために必要な情報が示されていない反論のための反論だと思います。いつもの北総鉄道にとって都合のいいデータだけを使ったプロパガンダのようにしか見えません。

 

 プロパガンダのような主張に利用者が素直に耳を傾けることができないということがどうして理解できないのか不思議です。反論の趣旨は今は儲かっていても将来は分からない、もしくは厳しいということだろうと思いますが、それはどの企業も同じです。共存共栄という前提に立てばいろいろな事業計画を検討できるはずです。沿線が少子高齢化で衰退すると決めつけて事業計画を作成するだけで沿線を活性化して共に生き残るためのプランをどうして提示できないのでしょうか。

 

 京成側には北総線の運賃を値下げする気などさらさらないという事実を私たち沿線利用者ははっきりと認識するべきです。なぜなら「長期資金収支試算」は当然、現行運賃を維持した場合で試算しており、利用者側から見れば根拠薄弱な信頼性が欠ける値下げしないための試算に過ぎません。だから利用者が値下げを求めてもどこまで行っても平行線です。運賃の値下げは上限運賃制では事業者の専決事項です。

 

 北総線の運賃は平成10年の最後の値上げ(消費増税の値上げは含まない。)でまさに”上限”もしくは”限界”に達したのだと思います。これ以上は値上げできない利用者負担の「限界運賃」に達したのだと思います。支払利息が減り出して利益が出やすい体質になる直前に運賃改定をしたような感があります。だから北総鉄道はこの利権とでも言うべき高額運賃を是非とも死守したいということだと思います。どんなに理不尽なやり方でも国が支援してくれるというのが現実です。

 

 仮に行政訴訟で利用者が勝訴したとしても北総鉄道の運賃の値下げにどれだけつながるのかわかりません。形ばかりの値下げで終わるなら街づくりという観点からは意味がありません。裁判所が値下げ額を提示できる能力があるはずもありませんから国に対して事業者が「能率的な経営の下に」適正な運賃を実現するよう求めるくらいが関の山だろうと思います。

 

 そもそも国が定める適正な原価と適正な利潤が適正なものであるかどうかすらわからないのですから裁判の結果の実効性にも疑問符がつかざるを得ないと思います。国と争うなら中小民鉄事業者の収入原価算定要領の定める適正な原価と適正な利潤について平成10年の上限運賃の申請内容を基にして詳細な算出方法の開示を求め、その上でその不当性と見直しを主張するべきだと思います。中身のよく分からないまま争っても無駄だと思います。

 

 他の争点としては千葉ニュータウン鉄道の線路使用料問題だと思います。北総鉄道が運輸収入全額を線路使用料として支払うという事業譲渡前の公団と北総鉄道の協定を千葉ニュータウン鉄道が承継したという鉄道局の説明には無理があります。協定の以下の条項は公団の累積損失が解消するまでという解除条件つきの契約であると解されます。

 

 「鉄道施設及び車両の使用料は、当分の間(公団鉄道の収支が損益計算上累積欠損が解消するまでの間)、住宅・都市整備公団区間の運輸収入相当額とする。」

 

 公団の累積損失は、千葉ニュータウン鉄道への譲渡前に解消されましたから契約は既に無効になっていたと解されます。北総鉄道が同意したとしても無効の契約をどうして千葉ニュータウン鉄道が承継できるのでしょうか。しかも、千葉ニュータウン鉄道の累積損失は公団の事業譲渡後に発生した損失です。将来の累積損失の補填の根拠を被承継者の交わした過去の契約に遡って求めていることになります。

 

  上記の線路使用料の協定について鉄道局は鉄道事業法施行時の経過措置として認可したと説明しています。特例の経過措置は一身専属的な権利だと考えられ、その権利を第三者に過ぎない千葉ニュータウン鉄道が承継することはできないと考えられます。

 

 鉄道事業法で事業譲渡時の権利義務の承継を規定しているのは鉄道事業法第26条4項の合併法人等か第27条4項の相続の場合だけだと思います。当然、千葉ニュータウン鉄道は二つの条項に該当していません。権利義務という点では義務に当たる公団の損失や負債について千葉ニュータウン鉄道は承継していませんから、都合のいい権利の承継だけ認めるのはおかしいと思います。

 

 こうした鉄道局の対応は成田空港線の上限運賃申請で示された「第二種鉄道事業者が負担する線路使用料は、同事業者が使用する鉄道施設の資本費相当分をベースとして適正に算定されているものか。」という見解と関係していると思います。

 

 この見解通りなら北総鉄道の千葉ニュータウン鉄道区間の線路使用料は資本費相当額等(資本費相当額+租税相当額+管理費相当額)ということになるはずです。そして成田空港線開業後は千葉ニュータウン鉄道区間を運行する京成と北総鉄道がそれぞれの運行本数による使用割合で計算した資本費相当額等を支払うことになっていたはずです。

 

 しかし、実際には上記の公団と北総鉄道の契約を承継して例外的に千葉ニュータウン鉄道の累積損失が解消するまで運輸収入全額を線路使用料として北総鉄道は払うことになっているという苦しい説明をしています。成田空港線の運輸審議会の議事録には次のように鉄道局の説明が残っています。まるで他人事のようです。裁量で認可しておいて最後は事業者の責任で決めたことにしたいのだろうと思います。役所はいつも責任逃れをします。

 

 「将来的には、CNT(千葉ニュータウン鉄道)の累積損失が解消した時点で線路使用料の支払い方法も見直すようである。」

 

 一方、経営者の個人責任を追及できる株主代表訴訟という民事訴訟を運賃の値下げではなく、北総鉄道の経営改善を目的として起こすなら勝訴の確率も高く、意味もあるように思います。今、必要なのは地域と共存共栄をはかる公共交通機関としての鉄道事業者だと思います。

 

 事業者が自らリスクを取り、運賃を下げて利用者を増やそうという展望があれば、大幅な値下げも十分可能なはずです。上限価格制の本来の目的もそこにあったはずだと思います。国の報告書には制度の目的が「利用者利益の増進」であるとされています。しかし、残念ながら現状ではそうしたことは期待できません。

 

 🔖<第三休憩所>峠を越えました。ここから下りです。一休みして! 

 

 

 マイカーがなくても気軽に地域内を移動できるしくみが欲しい

 

 こうした事実を見ても北総線の値下げを目的にした補助金を自治体がこれ以上続けるのはやめるべきです。通学利用者や高齢化する市民ための生活利便性を向上させるための方策について真剣に考える時期に来ています。マイカーがなくても気軽に地域内を移動できるしくみが欲しいと思いませんか。

 

 同じ千葉ニュータウン地区の印西市は東洋経済「住みよさランキング2017」で六年連続日本一という評価を受けていますが、住んでいる方たちは本当に満足しているでしょうか。この評価は不動産の供給サイドの評価なのではないでしょうか。交通や病院、そして、意外にも買い物について不満を持っている市民の声がネットに散見されます。 

 

 🔗千葉県印西市、住みよさランク1位&人口じわり増加のワケ…日本一高い北総鉄道の受難~「個人的な見解ですが、多くの人がイメージする一般的な“住みよさ”と、東洋経済新報社が発表している『住みよさランキング』には、大きな乖離があるようです。実際に、印西市に住む人たちからも『住みよさ1位』という評価がしっくりきていない、という声もありますね」…指標のひとつ「住居水準充実度」は、(1)住宅延べ床面積(総務省「住宅・土地統計調査」より)、(2)持ち家世帯比率(総務省「国勢調査」より)から算出される。つまり、広い持ち家が多い地域ほど「住居水準充実度」の偏差値は高くなるわけだ。「また、『利便度』の指標になっているのは、(1)人口あたりの大型小売店店舗面積、(2)人口あたりの小売業年間商品販売額、(3)可住地面積あたりの飲食料品小売事業所数の3つです。『利便度』という言葉の響きから“都心・市街地へのアクセスのよさ”をイメージする人が多いかもしれませんが、住みよさランキングで指標になるのは“買い物の利便度”と考えられます」各住宅の敷地の広さや、イオンモールなどの大型商業施設の多さなどが偏差値にかかわるため、印西市に限らず、都心よりも郊外が上位になりやすいランキングだという。…「千葉ニュータウンを走る主要路線の北総鉄道北総線は、日本一運賃が高い鉄道として有名です。たとえば、北総線千葉ニュータウン中央駅から他線に乗り換えできる新鎌ヶ谷駅までの距離は11.1kmで運賃は570円(大人、きっぷ運賃)。この距離を北総鉄道の親会社の京成電鉄の運賃と比較してみると、上野駅から青砥駅間は約11.5kmで260円(大人、きっぷ運賃)です。同じ京成グループにもかかわらず、310円もの差があるんです」…2014年から地域住民が地元の鎌ヶ谷観光バスに働きかけ、北総線と平行して走る路線バス「生活バス ちばにう」の運行を開始した。千葉ニュータウン中央駅から新鎌ヶ谷駅まで300円で乗ることができるという。「ただ、この『ちばにう』に対抗するように、京成グループはグループ会社の『ちばレインボーバス』の新路線を運行開始しました。ちばレインボーバスの新路線は、ちばにうと同じような運行経路で同程度の運賃。こうしたバス路線の複雑さもまた、印西市の交通事情を複雑にしている要因でもありますね」…今は若年世代に人気があっても、数年後には一気にオールドタウン化する可能性も高いという。住みよさナンバー1の印西市は、データからは読み取れない難題も抱えているようだ。

 

 千葉ニュータウン地区はモールを中心にした店舗が464号線沿線に集積しており、衣服、家電、家具、飲食等のチェーン店が充実していて便利かもしれませんが、日常生活ではマイカーが不可欠です。千葉ニュータウン中央駅も印西牧の原駅も駅前が無駄に広すぎて都内の駅前のような賑わいがありません。駅周辺で必要な買い物を徒歩で済ませることは厳しいものがあります。

 

 千葉ニュータウン中央駅を中心に広がるベットタウンは場所によっては買い物難民が問題になっている地区さえ存在します。また、国道沿いの店舗の集積は、一方で過当競争を生み、淘汰されて廃墟化するモールの出現を招いています。例えば、印西牧の原駅周辺の国道沿いの「BIGHOPガーデンモール印西」や「牧の原モア」は空き店舗が目立ち、平日は廃墟のような印象すらあります。最近はあのジョイフル本田ですら売上が減少しているようです。

 

 さらに昨今の大学の都心回帰の流れの中で東京電機大学は千葉ニュータウンキャンパスを東京千住キャンパスへ移転する作業を進めています。印西市は今でも人口が増えていますが、歯車の回転が逆に回りだしたときは白井以上に厳しいものがあると思います。

 

 🔗千葉ニュータウンキャンパスから東京千住キャンパスへの移転を完了~東京千住キャンパスを中核とした教育・研究環境を整備

 

 北総線延伸前の千葉ニュータウンの公団マンションが廃墟のようだったことを思い出します。現在のニュータウンはどの地域も住民の高齢化で衰退する宿命にあると思います。どの自治体も少子高齢化にどう備えるかという問題から目を逸らすことはできません。

 

 白井も印西も北総線の高額運賃だけが問題ではないのです。地域内のバス等の公共交通網を充実させて交通利便性を高めて車に依存しない生活環境を整えることが今後の少子高齢化社会の中で生き残っていくために不可欠です。

 

 白井市は幸いにも駅前も小規模で居住区も駅から徒歩圏の地区が多いため車に依存しないコンパクトな生活環境を実現することが可能だと思います。

 

 前述のような状況を冷静に考えれば行政や政治に期待して交通利便性の改善を託すのはもはや時間の浪費に過ぎません。少子高齢化による人口減少が進む前に自分たちで生活利便性を向上させて街を住みやすくするための活動をみんなでやりませんか。

 

 白井でも高齢化で自宅から離れたスーパーや銀行に行くのが困難な市民が増えています。北総鉄道の通学定期は通常より高い割引率が適用されていることになっていますが、もともとの運賃が高いため通学生を抱える世帯には依然、重い負担となっています。

 

 そのため、北総線を利用せずに新鎌ヶ谷駅まで自転車を使う学生を朝夕見かけます。通勤のために自転車やバイクで新鎌ヶ谷駅に向かう大人たちも多く見かけます。徒歩で新鎌ヶ谷駅に向かう市民もおり、実態を知らない人たちの中には歩くことは健康にいいことだと言う人もいそうです。

 

 地域全体の交通利便性の改善をベースにして市民の生活環境の向上に市民自身が協力して取組むべきだと思います。地域の交通利便性が高まり、生活利便性が高まれば若い人の流出が減り、逆に増加に転じる可能性もあります。

 

 全国各地で高齢者や通学生の足を守るために自治体が事業者に補助金を出して低額運賃のバスの運行や乗合タクシーの実験をしていますが、成功している事例は限定的です。ほとんどのケースで利用者が伸びずに赤字を抑えるために減便を繰り返し、さらに利用者が減るという負の連鎖に陥っています。

 

 数少ない成功例は共通した特徴があります。運賃を抑えるとともに運行本数を増やしたり、ニーズの高い生活インフラを巡回する路線では利用者が増えて採算が向上しています。いくら安くても1~2時間に1本程度しか便数がなければマイカーから公共交通機関へ積極的に乗り換えようとする人はあまりいないのではないでしょうか。

 

 🔗足利の生活路線バス「あしバスアッシー」V字回復 主要駅・病院巡回で利便性向上

 

 🔗路線バスの運賃どう決まる? 民間で「日本最低運賃」のバス会社に聞く

 

 白井は少子高齢化で人口が今後減って行くかもしれませんが、一方で高齢化と長寿化で高齢者が増えていくことになります。利便性の高いバスの需要は減らないどころか増えていくと考えられます。そして、気軽に出かけられることは健康にもプラスです。

 

 例えば、毎日、一時間に3本以上の便数のバスが生活インフラを巡回しながら市内を走れば、バスと鉄道のどちらを利用するかを市民が選択できるようになると思います。定時制、速達性を優先する人は鉄道を利用すればいいでしょうし、運賃最優先の人はバスの遅延にも目をつぶることができると思います。

 

 鉄道は駅間の移動には便利ですが、駅から市役所や病院等の生活インフラの間を連続して結ぶ機能がありません。駅と生活インフラをつなぐ(実態としは駅と住区をつなぐ路線が圧倒的に多く、現在は生活インフラは通過点に過ぎない場合がほとんどですが)、乗り換えを前提にした現在のバス路線は本数が限られ、待ち時間も長く、とても便利とは言えません。だから多くの市民はマイカーを手放せないのだと思います。

 

 しかし、駅と駅、駅と生活インフラを乗り換えなしで連続的に結ぶバスが1時間に3本以上利用できたらどんなに便利だろうと思いませんか。こうしたバス路線は鉄道の代替交通機関ではありません。北総線はもともと都心へ出るための通勤路線です。(でしたと書くべきかもしれません。現在はアクセス特急の運行で通勤と海外旅行者のための路線に変わっています。)一方、こうしたバス路線は地元の市民のための生活路線ですから鉄道と競合するという関係にはありません。

 

 こうした生活路線バスが走ったら北総線の利用に影響するという議論はあり得ないと思います。なぜなら、生活路線バスが都心への通勤路線を代替することは輸送力、定時性、速達性の観点からもあり得ないからです。精々、一部の人たちの通勤や通学の費用負担を軽減する程度の効果しかないだろうと思います。そして、逆も真なりです。通勤路線は生活路線バスの代替にはなり得ません。

 

 こうした生活路線バスは北総鉄道の高額運賃に対して競争原理を持ち込む可能性はあるかもしれません。一番期待されることは市民の公共交通機関に対する選択肢が拡がることだろうと思います。市民の個々の事情に応じて公共交通機関を選択できることが大切だと思います。

 

 仮に今後、少子高齢化で極端に沿線人口が減少して北総線の利用者が減少したとしても北総線を維持するために沿線市民の利用を強要することなど不可能です。そんな政策は幻想以外の何物でもありません。北海道では札幌以外の地域は人口減少で鉄道の存続が困難になりつつあります。しかし、鉄道を維持するためにバスやマイカーの利用をやめてという声を聞いたことはありません。

 

 公共交通機関よりマイカーの方が便利だという意見もあるかもしれません。マイカーが手放せない高齢者は多いと思います。しかし、高齢者のマイカー運転にはリスクも伴います。病気で運転できなくなったときに代替交通手段がなければ、家に閉じこもざるを得なくなります。

 

 🔗“マイカー県”の群馬で「“脱”車社会」計画 公共交通の利便性向上図る 20年戦略を県が策定~策定のきっかけは、県民の移動手段や距離など1日当たりの行動を調査するため、27年から2年間かけて行われた「パーソントリップ調査」だった。調査の結果、高齢者の外出率はマイカーを所有する場合は約77%であるのに対し、所有しない場合は約45%にとどまることなどが判明。また、代表的な交通手段に占める鉄道の利用率は約2・5%、路線バスは約0・3%にすぎないことも分かり、過度の「車依存」が裏付けられた。

 

 高齢になると認知症や運転技能の低下による事故のリスクも高くなります。現実に事故を起こしてから後悔している人がいます。マイカーの代替交通機関としてバスはコストと利用のしやすさから最適なのではないでしょうか。

 

 🔗免許証返していれば…死亡事故80代加害者の悔恨(2016/12/17神戸新聞NEXT)

 

 🔗女子高生2人、はねられ重体 85歳男性が運転 前橋~男性の息子の妻(56)によると、男性には普段から物忘れなどがみられ、免許返納を勧めていたが拒まれていた。昨秋には認知機能検査を経て免許が更新されたという。「物損事故を数え切れないくらい起こし、いつも『運転はやめて』と話していた。今朝も(家族にとめられないよう)隠れるように出て行ってしまった」と話す。「高校生の子が心配で、心配で……。本当に申し訳ない」と涙を流した。

 

 そもそも高速バス以外のバス路線は鉄道の代替としては考えられてきませんでした。鉄道が通らない地区から最寄り駅までをバス路線がつなぐというのがこれまでの一般的な路線バスの役割でした。しかし、現在はマイカーの普及と沿線人口の減少で鉄道が維持できないから路線バスに鉄道区間もカバーしてくれという苦肉の策が議論の中心です。縮小する人口に対応するための自然な流れなのかもしれません。

 

 🔗JR北海道、札沼線のバス転換へ路線新設など提案~北海道内の鉄道路線見直し問題を巡り、JR北海道は16日、札沼線(北海道医療大学―新十津川)の廃線・バス転換に向け、バス路線の新設など具体案を沿線自治体に示した。バス運行に必要な費用は国や道の補助制度の活用を想定し、同社も一定期間負担する方針。

 

 🔗見直し13線区で初 JR北、夕張支線19年4月廃線~JR北は廃線後のバス転換にかかる費用として7億5千万円を拠出する。市はこうした支援をもとにバスを中心とした新たな公共交通網づくりをめざす。市は鉄道の廃線後、市内を南北につなぐ路線バスを1日10往復程度設ける方針。JR北はバスの車両購入やバスを運行する夕張鉄道(夕張市)の赤字補填のためなどの名目で費用負担する。

 

 北総鉄道は値下げができない理由について以前は将来的な金利の上昇の恐れを挙げていました。しかし、金利は上がるどころか下がり続けています。そして前述のとおり鉄道運輸機構の元利均等という返済方式により支払利息自体が急速に減少しています。そのためか、近年は新たな理由を挙げています。資金収支不足問題については前述のとおりですが、他の理由として将来的な少子高齢化による沿線人口の減少をリスク要因として挙げています。

 

 将来の少子高齢化を先取りして高額運賃を維持していると聞いて利用者はどう感じるでしょうか。しかし、運賃が高すぎるから利用者が増えないというパラドクスにはどう答えるのでしょうか。

 

 既に京成はその答えを出しているのではないでしょうか。これまで沿線住民が長きに亘って高額運賃で支えてきた通勤路線を乗っ取るように成田空港線を走らせることで少子高齢化による沿線需要減を見越して高額運賃を維持したままインバウンド需要(成田空港に降り立った海外からの旅行者を中心にして稼ぐ)へシフトして行こうという経営戦略があるのは紛れもない事実だと思います。

 

 そして将来、少子高齢化で本当に沿線の利用人口が減ったときに「成田空港線のお陰で現在、北総鉄道を維持できております。今後ともこれ以上の値上げをせずに沿線の皆様の足を維持していくために最大限の経営努力を図って参りますので引き続きご支援をお願いします。」というのが落ちでしょう。

 

 実際に北総鉄道は、白井市が実施した値下げを可能とした平成25年9月13日付の委託調査報告書に対する反論として公表した平成25年10月25日付の「北総線の現行運賃水準の維持には補助金継続が必要!!北総線運賃問題対策協議会へ申し入れ 」というタイトルの文書の中で「京成に対する当社線の使用許諾は、当社の経営改善のため京成『アクセス特急』運行による増発及び速達性改善等の利便性向上による増収を意図したものである。京成「アクセス特急」51本/日の増発・速達性改善等の利便性向上による増収、及び新たに成田空港と結ばれたことによる新規旅客収入により、当社の収入基盤は強化された。」と主張しています。普通、この文脈からすると利用者のへの還元策として運賃を値下げしますという文章につながりそうにも思います。実に大人げない反論です。

 

 そもそも線路を貸して基本となる「運輸収入」が減少していることをどう説明するのでしょうか。従来の運賃収入が減収する前提のアクセス特急の運行に伴う運賃の収入配分はまともな事業者ならあり得ない選択です。新たに線路使用料収入が入って来るから全体では増収につながるという主張しか成り立ちません。しかし、肝心の運輸収入自体は増えていません。運賃収入配分による運輸収入の減少を線路使用料収入で埋めているのが現実です。

 

 さらに北総線の駅に止まらずに通過しているだけのスカイライナーには運賃の収入配分自体あり得ません。スカイライナーの線路使用料がなぜ一円も入ってこないのか説明して欲しいものです。アクセス特急の運行に伴う運賃収入配分と線路使用料はスカイライナーの線路使用料問題とは無関係です。

 

 成田空港線が開業する前の北総鉄道の運輸収入は131億円ありました。しかし、平成22年度の運輸収入は118億円と13億円も減少しており、平成18年度の運輸収入も下回る水準です。運賃の値下げの影響では説明がつきません。平成26年度に運賃値下げ補助金が終了し、消費税増税時に運賃水準が値下げ前の水準に戻っている平成27年度の運輸収は120億円ですから成田空港線開業前に比べてまだ11億円も減収しています。この数字は平成19年度の水準にも及びません。

 

 全体で増収しているから問題ないという理屈は成り立たないはずです。北総線本来の利用者の実態が分からなくなってしまっています。外部から検証できない運賃の収入配分はそれも目的だったのでしょう。線路を貸したのだから線路使用料収入が入って来るのは当たり前のことです。

 

 アクセス特急の運行で利用者の利便性が上がったという主張は一面のことであり、白井市内の駅で乗降する利用者には乗換えによる負担やアクセス特急とスカイライナーの通過待ちの負担が増えています。アクセス特急を利用しない人たちには運賃が高い上に余計な負担が加算されたように思います。

 

 北総鉄道が地域独占企業だからこそ高額運賃が成り立っているにもかかわらず、殿様商売にあぐらをかいて「当社としては、将来に向けて地域において鉄道事業を継続していくことが最大の使命である」という主張はそのためには高額運賃の維持が不可欠だ言いたいのでしょうが、利用者が受け入れられるはずもありません。利用者の生活はどうしてくれるのだと沿線の利用者は思っているはずです。

 

 国が強引に成田空港線を認可した背景にはオープンスカイ政策により海外との競争力向上が求められる中、空港から東京へのアクセスを強化して日本の魅力を高めるという大義があるのかもしれません。また、国として進めている観光立国もあるのでしょう。あるいは、破綻した千葉急行電鉄でダメージを受けた京成の支援という側面もあるのかもしれません。いずれにせよ、利用者には窺い知れない大人の事情があるのでしょう。

 

 🔖<第四休憩所>もう少しです。一休みして!

 

 

 逆行する市の交通政策~民間にできることは民間でという嘘

 

 昨年8月、白井のコミュニティバス路線の改訂があり、地区によって大幅な減便になるため、市に問い合わせてみたところ民間事業者二社による新しい路線バスが開業することになったことに対する対応だという理由の希薄な説明だけで、こちらから北総線のことなんか聞いていないのに北総線を利用してくださいと締めくくられました。北総線があまりにも高すぎるのでときどきコミュニティバスを利用していたのですが…。

 

 この新設バス路線で便利になったという白井市民はあまりいないと思います。それどころか新鎌ヶ谷駅行きのコミュニティバスの車内で路線改訂により普段使っているルートが減便になるので困ると嘆いていた高齢の女性の話し声が耳に入ってきました。実際のところ利用者が多いのは新鎌ヶ谷駅で乗降するルートです。

 

 使い勝手が悪くなった上に民間バスは当然、コミュニティバスより運賃が高いですから誰のための路線改訂だったのでしょうか。新しい路線の民間バスの一社は京成グループの事業者です。コミュニティバスの運営を担っているのも京成グループの事業者です。

 

 新しい路線バスの運賃収入もコミュニティバスの運賃収入も京成の収入になります。普通に考えれば、京成のバス事業にとってのデメリットはないようにも思います。両方から運賃収入が得られ、相乗効果で全体の運賃収入が増えることも期待できます。そうした期待があるからこそ京成は新しいバス路線を開設したのではないのでしょうか。

 

 だとすれば、市が全体の本数を減らさないまま民間にできることは民間でという理由でコミュニティバスの新鎌ヶ谷駅の乗り入れを減らすような改訂は必要ないはずです。目的が北総鉄道への影響を考えての対策だということは明らかです。利用者の利便性より京成の利益が最優先ということでしょう。以下に述べる通り新しい路線バスがコミュニティバスの代替にならないのですから減便などあり得ない政策です。

 

 利用者の多い新鎌ヶ谷駅で乗降するルートを減らせばコミュニティバスの採算も悪化し、将来的に市の税金負担が増えることになるのではないのでしょうか。それとも民間バス事業者の採算性を考慮したということでしょうか。少なくとも市民の利便性を考慮したということではないようです。

 

 民間にできることは民間でという市の担当者の空々しい回答とは別の不純な動機があると思います。民間にできることは民間でというフレーズは普通、自治体が事業費を削減するための理由として使う言葉です。そしてリスクは民間が取ることが含まれているはずです。市の担当者が市民にわざわざ北総線の利用を勧めるのは京成に対する配慮なのでしょう。行政は市民でなく、事業者の方を見て仕事をしているようです。

 

 コミュニティバス路線の改定内容について少し調べてみました。市は新しい民間の路線バスが開設されるため、民間にできることは民間でという説明をしています。しかし、正確に言うと民間の京成にできることは民間の京成でという説明が一番、実態と合っているようです。

 

結論から言うと白井駅から新鎌ヶ谷駅に直行する、北総線と競合するバス路線は困りますということだと思います。今回、京成は対抗上、直行する路線を開業しましたが、その目的は同じルートを先に申請した事業者の路線バスの利用者を奪うことにあると思います。一方で市は京成に加担してコミュニティバスの白井駅から新鎌ヶ谷駅への直通ルートを削減したと考えられます。

 

自由競争ですから競合自体をとやかく言う気はありません。しかし、両者の目的は明らかに違うと思います。京成の対抗事業者は成功を収めてこの事業を拡大したいと考えているはずですが、京成はこの路線自体の拡大を抑えてできれば京成にとって望ましくないこの路線を潰したいと考えていると思います。

 

しかし、今回の路線は1時間に1本程度しかなく、北総線に大きな影響を与える可能性は少ないように思います。開業からあまり時間が経っていないことを割り引いても実際に日中、新鎌ヶ谷駅のバス停から出ていく二社のバスはガラガラで空のことも珍しくありません。

 

京成の対抗事業者である生活バスちばにうは千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅の直行便を先行して始めており、こちらの方は通勤利用者を中心とした一定のニーズがあるようです。しかし、二点間以外の乗降客がありませんから日中の乗客の少ない時間帯の採算は悪いと思います。

 

今回の路線はおそらく千葉ニュータウン中央駅以外の利用者を増やして採算を向上させるのが目的だろうと思います。白井市内での停車も採算性の向上から出てきた反射的な産物だろうと考えられます。しかし、バス停の増加は千葉ニュータウンの利用者からすると速達性と定時性の低下というマイナスの要素を孕みます。

 

路線を拡大するためには便数を増やし、バス停を乗降者の多いところに絞る等の利便性の向上が必要だろうと思います。しかし、一方で便数を増やせばコスト増につながりますし、採算の取れる程の利用者を獲得できるのかは未知数です。

 

民間路線バス事業者は現行制度では不採算路線をいとも簡単に廃止することができます。もし、今回、白井駅⇔新鎌ヶ谷のルートから生活バスちばにうが撤退することがあれば、京成も採算性を理由にあっさり撤退するか、縮小することになると思います。京成自身がこの路線を望んでないのは明らかだからです。そのときは市は新鎌ヶ谷駅に乗り入れるルートを元に戻すつもりでしょうか。

 

京成が運行事業者となっているコミュニティバスは委託事業ですから採算が悪化しても市からの補助があります。京成の懐が痛むわけでもなく、ルートも京成の路線バスへの影響を考慮して設定されているようですので速達性、定時制、輸送力の点で北総線に与える影響は微々たるものです。本来、地域独占と利害相反の弊害を避けるためにコミュニティバスの運行は京成以外の事業者に委託するのが望ましいのかもしれません。

 

生活バスちばにうが千葉ニュータウン中央駅から白井市内を通る新しい路線バスを開業することになったため、対抗上、同じバス路線を開設することにした京成に対する市の対応の結果が京成への協力を目的としたコミュニティバス路線の改定につながったというが真実だと思います。

 

二つの路線バスのバス停とコミュティバスのバス停が重なるのは白井駅北口と新鎌ヶ谷駅の2ヵ所だけ(ちばにうは白井市役所にも停車)です。コミュニティバスとバス停が重なるのは西ルートと南ルートです。改定前の西ルートのバス停は26ヵ所、南ルートは33ヵ所(いずれも2度止まるバス停を除いた数)です。これだけを見ただけでも新しい路線バスがコミュニティバスの代替路線とは言えないことは明らかです。

 

今回のコミュニティバスの改定により新鎌ヶ谷駅で乗降できるルートは西ルートだけになり、従来16本あった新鎌ヶ谷駅への直通ルートは7本だけになりました。残された7本の「西ルート」は走行距離が21.10kmから11.85kmに短縮され、停車するバス停の数は26から15ヵ所まで激減しています。7本とも鎌ヶ谷総合病院へのアクセスは残されています。

 

改訂前の西ルートも白井駅北口と新鎌ヶ谷駅に停車していたわけですから市から見れば民間にできることは民間でという論理を徹底すれば西ルートも新鎌ヶ谷駅での停車を止めるという選択肢もあったはずです。あるいは南ルートも西ルートのように白井駅北口を外して新鎌ヶ谷駅への直通ルートとして残すという方法もあり、その方が二つのルートの取り扱いの整合性がとれるように思います。

 

しかし、従来の西ルートは白井駅北口から新鎌ヶ谷駅の間にたくさんのバス停が入っていて新鎌ヶ谷駅まで50分近く時間がかかり、白井市側から見れば新鎌ヶ谷駅への直行便となる新しいバス路線との競合は存在しないと思います。新しい路線バスの開業を理由に西ルートを短縮する理由はないように思います。

 

改訂前の南ルートも白井駅北口から新鎌ヶ谷駅の間のバス停こそ少ないですが、22分かかりますからやはり競合するとまでは言えないと思います。あるのは運賃か速達性かの選択だけだと思います。北総線より安ければいい人には利用できれば両方とも利用したいということも考えられ、むしろ従来より利便性が高まるという評価も十分あります。そういう意味では白井駅北口利用者にとっては直行便とコミュニティバスは補完関係にあるとさえ言えます。

 

ましてコミュニティバスが北総線と競合するということは速達性、定時性、輸送力、便数から言ってあり得ません。時間を優先する人には選択肢の対象にすらなりません。新しい路線バスがコミュニティバスの代替路線にならないのですから今回のコミュニティバスの改訂で得をするのが誰かということを考えると答えは自明です。

 

生活バスちばにうはコミュニティバスの改訂で得るものは何もありません。生活バスちばにうを非難する市民もいるそうですが、見当違いもいいところです。競合すらしない路線バスの開業でコミュニティバスの路線改訂を実施した市の対応は批判されるべきです。文句を言う相手を間違えているようです。

 

南ルートの白井駅北口以外のバス停の利用者は新鎌ヶ谷駅への直通ルートがなくなってしまいました。残った西ルートも西白井地区と七次台地区のバス停の利用者も同じように新鎌ヶ谷駅への直通ルートがなくなってしまいました。

 

新鎌ヶ谷駅への直通ルートを断たれた人たちはコミュニティバスで新鎌ヶ谷駅に出る場合は西白井駅で乗り継いでくださいというのが市の方針のようです。しかし、1~2時間に1本程度しかないコミュニティバスを乗り継ぐのはとても不便だと思います。

 

適当なバス便がなければ西白井駅で北総線を利用しろということです。実質的に北総線の利用を強制しているようなものです。その場合、従来はコミュニティバスなら150円で移動できましたが、北総線に乗り換えた場合の運賃303円(ICカード利用)を加算した453円かかることになります。往復だと906円です。外出の回数を減らしたり、外出を控える高齢者が増えそうです。マイカーから公共交通機関へという国の政策にも逆行する政策です。

 

西ルートからカットされた西白井地区の人は京成のちばレインボーバスが運行する新鎌ヶ谷駅への直通ルート(新鎌ヶ谷駅⇔白井工業団地orセブンパークアリオ柏)が利用できます。運賃負担を考えた場合、これが現実的な選択でしょうか。

 

改定前はちばレインボーバスとコミュニティバスを使い分けるという選択の自由があったわけですからその自由がなくなってしまったことになります。コミュニティバスはバス停が多く、もともと遠回りに設定されていた西白井地区の利用者は運賃より新鎌ヶ谷駅への速達性を理由にちばレインボーバスを利用していた人が多かったかもしれません。しかし、往復運賃が400円~500円と300円のどちらを選ぶかという選択は利用者には悩ましいものがあります。

 

正確な利用状況は知りませんが、運賃や時間帯で両方のバスを使い分けていた人もいたと思います。あるいはどちらに乗るか区別することなく、出かける時間帯に利用できるバスに乗っていた人もいると思います。利用できるバスの選択肢が多い程、利用者の利便性からは望ましいことは間違いないと思います。

 

新鎌ヶ谷駅への直通ルートがなくなった七次台地区のコミュニティバス利用者は西ルートからのカットによりとても困っているのではないでしょうか。

 

京成は積極的に新しい路線を開業したわけではないと思います。北総線に影響しそうな他社の路線バスの開業に対する京成側のテリトリー防衛対策として不本意ながら対抗する路線バスを開業したというが真実だと思います。

 

だから市の民間にできることは民間でという論法はこじつけに過ぎません。頭のあまり良くない人が考えた市民に対する説明方針なのでしょう。民間にできることは民間でと言うなら北総線の耐震工事に対する補助金こそ止めるべきです。北総鉄道が払っている多額の法人税から還付してもらって耐震工事をしたらどうでしょうか。

 

ちばレインボーバスの新鎌ヶ谷駅と白井駅北口間の運賃は250円、土休日の同区間のバス便は5本だけです。一方、生活バスちばにうは200円で土休日も運行しています。しかし、ちばレインボーバスはICカードが使え、バス停が新鎌ヶ谷駅の改札からも近いという利点があります。

 

ちばレインボーバスはちばにうのバス停に行く前に利便性の優位性で利用者を吸い上げるつもりなのでしょうか。こぼれた利用者をちばにうが拾う形を想定しているのでしょうか。本当に競争する気があるなら運賃も200円にして土休日も同数以上のバス便を設定することも可能だと思います。

 

競争というよりは妨害とも取れます。不採算路線になりかねないバス路線の損失補填対策がコミュニティバスの新鎌ヶ谷駅への乗り入れの削減ということではないでしょうか。北総鉄道に絡む問題はいつも不透明、不条理が付きまといます。市も事業者も私たち市民に対する配慮があまりにも欠けています。

 

もし、市民に新鎌ヶ谷駅への直通ルートを増やして欲しいかどうかアンケートを取れば、もっと増やしてほしいという回答が大多数を占めることは間違いないと思います。それだけ市民は北総線の高額運賃に悩まされているということです。北総線の運賃が下がらないのであればそれに代わる市民の交通利便性を高めるための代替策を行政が進めるのは当たり前のことだと思います。

 

しかし、今回のコミュニティバスの改定は真逆の方向に進んでいます。北総線の高額運賃を維持するためのような市の対応は非難されて当然だと思います。「政府は必ず嘘をつく」ことを立証したアメリカのジャーナリストがいますが、「行政は必ず嘘をつく」というのも真実のようです。佐川氏の国会での虚偽答弁と財務省の決裁文書の改ざんはそのことを如実に物語っています。

 

本来なら、一番ニーズの高い新鎌ヶ谷駅経由の従来の二つのルートを残したまま新しい路線バスを参入させて市民の交通利便性の向上を図るべきだったはずです。その後、利用実態をきちんと調べてから路線の改訂が必要なら改訂すればいいと思います。現在は採算が取れなければ民間事業者はいつでも撤退できます。検証の結果次第ではさらに新鎌ヶ谷駅に乗り入れるルートを増やすことも検討する必要性があったのではないでしょうか。

 

同じ業種のお店がひとつの地域に集積することで全体の集客が増えるケースはよくあります。同じようにバスも新しい路線の増加により利用者の選択肢が増え、利便性が向上することで全体の利用者が増える可能性もあります。市は市民の交通利便性を優先するべき立場なのに事業者への配慮を優先するから行政としてきちんとした説明ができなくなるのだと思います。

 

今回の市の対応は交通利便性の改善という面からは最悪の対応です。自分たちが誰のために仕事をしているのかよく考えてみるべきです。納税者である市民の生活環境をよくすることが市の役割のはずです。選挙対策で仕事をするような行政のトップは白井にはいりません。

 

今後、西白井駅と新鎌ヶ谷駅を結ぶ民間の直行バス路線が開設したら、市は民間にできることは民間でという理由でコミュニティバスの新鎌ヶ谷駅のバス停をすべて廃止するつもりでしょうか。しかし、それもいいかもしれません。民間の路線バスが便数の多い、運賃も低額なサービスを提供してくれるのならコミュニティバスは交通不便地域から白井市内の駅や生活インフラをつなぐ路線に特化するというのもひとつの選択です。

 

 🔗ちばレインボーバスの新しい路線

 

 🔗生活バスちばにうの新しい路線

  

 🔖<第五休憩所>夜明けは近い。一休みして!

 

 

 交通結節点と基幹バス~生活インフラをつなぐ

  

 閑話休題、バスと鉄道のどちらを利用するかという状況が仮に実現したときにどう考えればいいのでしょうか。急ぐときは鉄道を利用するか1本か2本前のバスを利用してもいいわけです。あるいは帰りが遅くなってバスがなくなってしまったときは鉄道を利用すればいいと思います。

 

 利用者が自ら利用する公共交通機関を選択できることが一番望ましいと思います。無論、荷物が多いときはタクシー代を奮発することもあるでしょう。交通問題を解決するには利用者の柔軟な発想も必要です。

 

 団塊世代のリタイアと少子高齢化で労働者人口が減っており、バスの運転手の確保が大手バス会社でも難しい時代です。利用者の利便性最優先で深夜までバスを運行させる時代でもないと思います。どうしても北総線やタクシーは高いから利用したくないのであれば、可能な人は帰りが遅いときだけ新鎌ヶ谷駅まで家族に車で迎えに来てもらうという方法もあります。

 

 いずれにせよ、交通利便性が高まればマイカーを保有しなくても市役所や病院、自宅から離れた生活インフラにも今まで以上に行きやすくなることが期待できます。ただし、自宅に近いバス停からバスに乗ってどこにでも行けるようなイメージは持たないでください。駅等の集客性の高いバス停まで行って乗車し、目的地によっては途中で他の交通機関に乗換えることが必要かもしれません。

 

 交通結節点という言葉を聞いたことがありますか。交通結節点は交通機関の乗り換え・乗り継ぎの拠点を指しています。バスの場合ならバスターミナルにあたります。白井で言えば駅や市役所などの人が多く集まる場所を交通結節点とみなすことができると思います。あるいは鉄道や他のバスに乗換えができるバス停とでも表現した方が分かりやすいかもしれません。

 

  私たちのイメージしている路線バスはこの交通結節点にバス停を集約した路線です。従って自宅に近いバス停は考えていません。しかし、交通結節点は駅や市役所といった固定的なイメージで捉えていません。

 

 人が多く集まる場所ならどこでも交通結節点になり得ると柔軟に考えています。ですから逆に大病院であっても多くの人が集まらないところはこの路線のバス停の対象にはなり得ません。私たちの考えている路線は大多数の人にとって役立つ生活のための基幹線(以下、「基幹バス」と呼ぶ)です。

 

 基幹バスのバス停から遠い方は自宅から基幹バスのバス停までは従来からある路線バスやコミュニティバスの最寄りのバス停を利用してもらうイメージです。つまり、構想している路線は既存の鉄道やバスの代替交通機関ではなく、これまでの乗り継ぎ待ちの不便を改善しようという取組かも知れません。

 

 一方、基幹バスのターミナルがある駅や生活インフラまで徒歩や自転車で行ける方にはその先の乗り継ぎが不要になるかもしれません。従来、駅等の交通結節点では鉄道か、1~2時間に1本程度しかない路線バスやコミュニティバスを利用するしかありませんでした。市役所で用事を済ませたけれど次のバスまで時間が余りすぎるという経験をした方は多いのではないでしょうか。しかし、新しい基幹バスができれば待ち時間のロスを少なくすることができるはずです。

 

 速達性より運賃を重視する方は電車でなく、基幹バスに乗ればいいと思います。あるいは、路線バスやコミュニティバスの最寄りのバス停でちょうどいい時間帯のバスがないときに駅等の基幹バスのバス停でバスに乗れれば選択肢が増えて便利だと思いませんか。

 

 自宅から最寄り駅や基幹バスのバス停までの移動の問題については乗合バスとは別のアプローチで解決が図れるかもしれません。例えば、乗合タクシー、会員制やボランティアによるマイクロバス、自家用車を使った移動支援の取組等が考えられます。

 

 👂駅近でもシャトルバス運行で話題の辻堂のマンション~分譲マンションには、シャトルバスを備えているところがある。朝夕はマンションと最寄りの駅までを運行し、昼間はマンションと買い物施設の間を運行。マンションの住人だけが乗客となり、出発地と目的地を往復するだけのバスのことだ。この住人専用のシャトルバスが、予想以上に好評で、マンションの価値を上げる効果も生んでいる。(2018/2/1 毎日新聞)

 

 🔗10万台の自家用車が、相乗りタクシーならたった3000台に~より効率的な交通手段を割安な料金で実現する新サービスとして登場を期待されるのが、リアルタイムで配車可能な「オンデマンド相乗りタクシー(あるいはバス)」だ。これは、決められたルートを「線」でつなぎ大量輸送を担う鉄道や路線バスに接続し、駅や停留所からのラスト・ワン・マイルを「面」でカバーする2次交通サービス。4~8人程度の複数乗車で1回数百円、もしくはワンコイン定額で、既存のタクシーより気軽に、路線バスよりルートの融通が利いて便利に乗れるようになるイメージだ。

 

 こうした取組により交通利便性が向上すれば地価に対するいい影響も考えられます。また、バスが頻回に運行するようになれば駅に集まる人が増え、駅前の店舗の集客が伸びるかもしれません。あるいはバスの沿線に新しいビジネスが生まれるかもしれません。バスの利用者が増えればバス停の近くに店舗や事業所ができ、新しい雇用が地元に生まれ、地域経済の活性化につながるかもしれません。大切なのは市民の使い勝手のいい仕組みや路線の実現です。

 

 理想を言えば基幹バスが山手線の電車のように生活インフラを巡回し、その周りに緑豊かな里山が広がるような街づくりができたらいいと思います。白井にはそうした街づくりを実現するための環境基盤が既にあると思います。住区と農山村を分離することで良好な自然環境の保全にもつながります。今流に言えばコンパクトシティ構想です。コンパクトシティとしてはアメリカのポートランドの事例が有名です。

 

 (注)コンパクトシティの功罪についてはあえて触れませんが、国も自治体も車から公共交通機関を中心にしたコンパクトな街づくりについて真剣に検討しています。例えば、「東京都市圏における鉄道沿線の動向と東武伊勢崎線沿線地域の予測・分析(平成24年12月25日 国土交通省:第1回 東武伊勢崎線沿線まちづくり勉強会資料)」には参考になる情報が記載されています。

 

 基幹バスの沿線に個人事業主の起業が中心の様々な工房の集積地を創るのも面白いアイディアかもしれません。住み替えのためのリノベーション事業(例えば、古家を耐震補強して町家造り風にアレンジetc)、年代物のオーディオ機器等の修理、家具や建具の製作・修理、地元の食材を利用した食品の製造販売&食堂、地元で新鮮な野菜を自ら生産・販売する市場等々のいろいろな小規模でここにしかないユニークな工房が集積したエリアが沿線にできたら夢があって楽しいかもしれません。

 

 こうした工房は沿線の魅力を高めてくれる可能性があります。工房とは売るだけでなく自ら作る、加工する、制作する、デザインする小規模な事業者をイメージしています。事業者は必ずしも地元事業者に限定する必要はないと思います。ただし、地域の独自の魅力を創り出すためにはチェーン店はいらないと思います。

 

 都心で人口が増えている活気のあるエリアは例外なく交通利便性がいいところです。生活利便性の向上のためには人の移動のしやすさが不可欠です。交通利便性が向上することで自然に人が集まります。逆に言えば、交通利便性が悪いエリアには人は集まりません。生活利便性も高まりません。かつての北総線の延伸前の千葉ニュータウンがそのことを物語っています。

 

 しかし、交通利便性を向上させるためには公共交通を担う事業者が地域の活性化や街づくりにビジョンを持っていることが不可欠です。例えば、東急電鉄は「沿線の街の活性化事業」として自治体と協定を取り交わして沿線の活性化に取り組んでいます。また、西鉄は「まちとともに」をキャッチフレーズにして様々な沿線活性化の取組を行っています。

 

 🔗福岡の人口がどんどん増え続けている理由~福岡市は人口153万人。政令指定都市の中では第5位だが、人口増加数と人口増加率では断トツのトップ(2015年データ)。「住みやすさ」を語るうえで、これほどわかりやすい数字はないが、福岡の何がそれほどに住みよいのか。…西鉄グループの代表、倉富純男氏を訪ね、その理由を聞いた。…福岡市の1番の特徴は、なんといっても街がコンパクトなところ。地理的に山も海も近いため、狭い平野部にいろんなものが集約されています。空港も港も都心のすぐそばにあり、狭い区画の中に行政施設から商業施設まであらゆるものが密集していて、何をするにも自転車の移動で足りるという利便性がある。住宅地も都心部から近く、「通勤に30分もかかるようなら遠い」と言われるほど職場と家が近い。これが働きやすさにも繋がっています。…みんなで街をつくるという精神はいま「We Love 天神協議会」というエリアマネジメント活動に受け継がれ、各事業者、地域住民、そして行政と連携して、一緒に議論しながらやっています。その中で当社は鉄道、バスという公共交通の分野で街の発展を支えることをミッションとしてやってきたわけです。福岡がコンパクトな街と言われるのも、交通ネットワークの密度、充実度と深く関わっていると思います。特にバスはバリアフリーな交通機関で、乗り方さえわかればこんな便利な乗り物はない。当社がバス路線網を全国1の規模にまで拡充させてきたことが、福岡のコンパクトシティ化に貢献できたのではないでしょうか。

 

 残念ながら北総鉄道というよりも京成には沿線の活性化という視点はないように思います。事業者としての損得勘定だけで共存共栄という観点からの街づくりには関心がないようです。北総線は自分たちのものであり、どういう事業運営をするかを決めるのは事業者の勝手だという方針のようです。

 

 先程触れた白井のコミュニティバスの路線改訂の理由となったのは小規模なバス事業者が千葉ニュータウン中央からの沿線の利便性を高めるために新しいバス路線の運行を始めたことです。それと対抗するように京成グループの事業者が同じルートに路線を開設しています。通勤時間帯を除けば1時間に1本程度の路線に競合する路線をぶつける京成の視野の狭さには疑問を感じます。

 

 市の対応にも疑問を感じます。市のホームページには路線バスの事業者が次のように紹介されています。しかし、先行して白井駅から新鎌ヶ谷駅のルートの認可申請をし、市役所前にも停車する「生活バスちばにう」の運行事業者は紹介されていません。民間にできることは民間でと言っておきながら、一方の事業者に肩入れするような扱いは行政として公平性を欠いています。

 

(注)2018年11月現在では市のホームページに「生活バスちばにう」も紹介されています。いつ修正したのかは分かりませんが、少なくとも4月以降です。しかし、現在(2021年7月1日)は路線バスの案内そのものがホームページからなくなっているようです。

 

 🔗「運賃高すぎ」北総線の値下げは可能なのか 地元による安価な並行バス路線が好調

    *この記事は新しい路線バスの運行事業に関わった方が執筆しています。内容の客観性については確認しておりません。

 

 正直、需要がそれ程あるとは思えない路線ですので日中の利用者はそんなに多くは見込めないと思います。京成のバスが日中、新鎌ヶ谷駅を空で出て行くのを見かけるとコストにシビアなはずの京成がなぜ採算を度外視したような路線を開設したのだろうかと思います。その理由は先程触れました。

 

 こうした新しい動きが今後、北総鉄道というよりも京成の経営に影響を与える可能性を排除したかったのかもしれません。こうした路線を認めることで京成の地域独占が崩れることを恐れたのかもしれません。印西では路線バス事業者はほとんど京成に買収され、京成の傘下に入っています。

 

 こうした新しい路線バスを利用する人は高すぎる北総線の運賃に困っている高齢者が中心と考えられます。もともと北総線を普段それ程利用していない層や勤め先から十分な交通費が支給されていない人たちが自衛策として定時性と速達性を犠牲にして利用しているのだろうと思います。

 

 だから、もしこの程度の他社路線バスすら許容できないような事業者との間に地域の活性化や街づくりについて市民が期待するような関係性をつくることは困難だろうと思います。沿線の住民の生活を支えるという経営理念が欠如した事業者に何かを期待しても結局は失望で終わると思います。彼らは自社のテリトリーを守ることが最優先なのでしょう。仮に京成と街づくりで提携することを想像した場合、これまでの京成の対応を考えると街づくりへの協力も補助金が前提になるのでしょう。

 

 現在のところ行政や事業者に住みやすい街づくりを期待することはできません。それなら、私たち市民が協力して私たち自身で街づくりを進めるしかないと思います。行政や政治に頼らず、街づくりをどうするかを自ら考え、生活利便性を高めるための模索を始めたいというのが倶楽部の趣旨です。交通利便性向上は目的ではなく、生活環境の質を上げて日々の暮らしを楽しむためのベースに過ぎません。

 

 お疲れ様でした!

<参考>

🔗「実家=空き家」整理が社会問題化…田園都市線なら保有?東武伊勢崎線は即売却?

(ビジネスジャーナル)

 

(注)2035年は平成47年ですので北総鉄道の鉄道運輸機構への債務の返済が完了する年です。2035年までに浅草・京成・北総線沿線の生産年齢人口が30%近く減少することが予測されています。