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定点観測から分かったこと~誰がツケを払うのだろうか

 新鎌ヶ谷駅の定点観測を始めてから2か月。こちらの都合で主に午前中の10時頃から11時半頃まで時間帯に駅周辺を通りかかったときの観察が中心であるが、それでも何回もバスの動向を見ているとそれなりに分かることがある。

 

 京成グループのちばレインボーバスはどうやら白井駅に停車して新鎌ヶ谷駅まで直行する新しいバス事業を成功させようと思っていないようだ。北総線沿線の住民にとっての最大の関心事は運賃だから白井駅から新鎌ヶ谷駅まで250円という設定は何の魅力もない。

 

 北総線の白井駅から新鎌ヶ谷駅までの普通運賃は370円(IC利用369円)だが、昼間割引回数乗車券か土・休日割引回数乗車券を購入した場合の運賃は247円(370円×10÷15枚)なので駅から電車に乗れば4分のところを3円の差のために15分以上の時間をかけて便数も1時間に1本程度しかない、遅れることが多いバスにわざわざ乗車する利用者は限られているように思う。

 

 従来、ナッシー号なら150円で済んだが、白井駅に停車する新鎌ヶ谷駅までの直行バス路線が登場したことでナッシー号の新鎌ヶ谷駅への白井駅からの直通便が廃止されてしまっただけでなく、西白井駅周辺の地域以外からの新鎌ヶ谷駅への直通ルートがなくなってしまった。残ったナッシー号の直通便も大幅に減便されている。

 

 市は民間にできることは民間でという説明をしているが、これは明らかな詭弁。コミュニティバスはもともとマイカーを持たない人や高すぎる北総線が利用しづらい人たちのための公共交通機関の提供が目的だったはずだ。民間では採算面から運行が難しいために自治体が補助することで市民の足を確保することを目的にしていたはずだ。

 

 つまり民間にできない地域の交通を支えるためにコミュニティバスの運行を自治体が資金を出して行っているのが現実だ。京成やちばにうの新しい路線バスは従来のコミュニティバスの代替路線になり得ないことはバス停の数だけを見ても明白。

 

 これらのバスは補完にはなっても代替にはならない。京成に至っては代替するバス停は白井駅北口1か所だけだ。鎌ヶ谷市や印西市のコミュニティバスは土日も運行しており、運賃も100円と市民目線で運行されている。私たちの税金が無駄なインフラや補助金を投入する理由が乏しい北総線の耐震化工事に使われ、市民の暮らしの改善のために必要な交通政策がないがしろにされている。

 

 今回の定点観測で分かったことは、京成の白井駅に停車して新鎌ヶ谷駅に直行する路線は完全な不採算路線だということだ。新鎌ヶ谷駅着の日中のバスは、乗客は多くて3~4人、新鎌ヶ谷駅発は始発設定で20分近く停車しているが、1人か2人乗車すればいい方で空で出ていくことも珍しくない。もともとこの路線の白井市民の利用は期待できないように思う。

 

 ちばにうも日中の新鎌ヶ谷駅発の利用者はそれ程多くないように思うが、新鎌ヶ谷駅着のバスは直行便に比べて利用者が増えているように思う。この差はやはり運賃設定が大きいように思う。SuicaやPASMOは利用できないが、白井駅⇔新鎌ヶ谷駅間の運賃が200円に設定されていることが影響していると考えられる。

 

 京成が北総線への影響を考えているのは明らかだ。だから運賃も北総線の割引回数券並みの設定にしているのだろう。わずか3円の差で速達性、定時制というメリットを捨てる利用者はそれ程いないように思う。北総線が高いと感じている通勤通学利用者以外の定期券を持たない利用者が鉄道の回数券とバスの回数券のどちらを購入するかは明白だと思う。

 

 だから京成はこの路線の採算を問題にしていないのだろう。競争でなく、他の事業者の妨害が目的なのではないかとさえ思える。ICカードが使える優位性、バス停の立地の優位性、定時制の確保(始発)という策も奏功していないようだ。しかし、それでも不採算路線を撤退しないとすれば、他に目的があるのかもしれない。例えば、駅に近いバス停を他の事業者に取られないための場所取りとか。

 

 白井市の昨年8月のコミュニティバスの路線改定は京成への協力ということは明らかだと思う。予想した通り、新鎌ヶ谷駅への直通ルートの大幅な削減が利用者の大幅な減少につながったという市議の作成したチラシが最近、ポストに入っていた。対前年比で3割近い減少だというから何のための路線改定だったのだろう。コミュニティバスの利便性を犠牲にして事業者の利益を優先するような行為は許されないと思う。

 

 どんな言い訳をしようと市民のニーズを無視した結果だろう。市はこの期に及んでも北総線とバスの利用者を拡大させることを計画しているそうだから何を考えているのだろう。これから市の人口が減少していくことが予想されるだけでなく、生産年齢人口の減少が既に始まっており、通勤利用者で成り立っている北総線の利用者が減少していくのは免れない。そうかと言ってリタイアした高齢者に積極的に北総線を利用してもらうなどというのは妄想の域を出ない。

 

 市は北総鉄道と心中するつもりだろうか。私たち市民が何もしないでこのまま市の行政運営を盆暗な人々に任せていると白井市の未来はないだろう。自分たちの未来を国や自治体に任せたままにすれば、結局、そのツケを払わせられるのは私達自身になるだろう。原発事故後のツケを電気料金として国民が負担していることを忘れてはならない。誰か任せはもう止めましょうと…

 

 白井市、鎌ヶ谷市、印西市は路線バスだけでなく、コミュニティバスの運行も京成グループが独占している。東電を始めとした独占企業はたいてい行政と癒着しているのが現実。選挙がすべての政治家には行政を変えられない。白井市の生活利便性を改善したいなら、市民が主体になって行動する必要がある。

 

 

ナッシー号の運行情報

(白井市のコミュニティバス)

ききょう号の運行情報

(鎌ヶ谷市のコミュニティバス)

ふれあいバスの運行情報

(印西市のコミュニティバス)