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すし詰めのナッシー号

 アクロスモール前を通り過ぎていくナッシー号の車内はすし詰めだった。乗降扉の前にまで人が立っているのが見えた。バス停で降りた乗客の数は全部で27名だった。11時08分着のナッシー号ではこれまでの最高記録だと思う。座席数は12席だから倍以上の利用者が狭いバスの中で立っていたことになる。

 

 一方、12分頃にロータリーに入って来たちばレインボーバスの北総循環線の車両は珍しく専用バス停で停車した。いつもなら手前のコミュニティバスのバス停と西白井線のバス停の間か西白井線のバス停で乗客を降ろしてから専用バス停に向かうのが常だ。

 

 理由はすぐ分かった。降ろす乗客がいなかったのだ。白井市はちばにうと京成が白井駅北口に停車する路線を開業することを理由にして新鎌ヶ谷駅への直通バスを大幅に減便する路線改定を実施している。その説明は民間にできることは民間でというものだった。

 

 あれから1年半以上経過したが、京成の北総循環線の利用者はほとんど増えていないどころか、そもそも利用者がいないという惨状だ。運賃をちばにうより高く設定してICカードが使えることとバス停が近いという優位性で利用者を獲得、というよりちばにうの利用者を掬い取るのが目的なのではないかと疑われても仕方がないような運営が続いている。

 

 北総鉄道は多額の利益を計上しているが、少子高齢化で将来的に経営状況が厳しくなるという理由も挙げて北総線の運賃の値下げを頑なに拒んでいるが、バス事業の北総循環線は明らかな不採算路線なのに利用者を増やそうとする努力は見られない。

 

 人手不足で運転手が足りないというのになぜこの不採算路線を廃止しないのだろうか。採算はどうでもいいのだろう。あの西鉄バスですら運転者不足で路線を減らしているのが昨今の状況だから説明のつかない不可解な対応だ。

 

 北総循環線の運行がロータリーのバス用地の独占が目的なのではないかと疑われても仕方ないように思う。京成バスのトップは京成電鉄の取締役も兼務している。市のナッシー号の路線改定は北総線の利用者に影響を与えたくないという京成の意向によるものだということは明白だと思う。

 

 11時30分定刻に北総循環線のバスが駅を出て行ったが、乗客は2名だった。回送状態だ。バスの採算で回送を減らすことが一番大切だと指摘し、岡山で低運賃でも黒字を続けているバス事業者もある。

 

 同じ日の同じ時間帯でナッシー号が27名、北総循環線0名。民間にできることは民間でという市の説明が本当に空々しい。

 

 民間にできることは民間でと言いながらナッシー号の全体の便数を減らさずに新鎌ヶ谷駅への直通便の減便で利用者が激減し、直通便以外の路線は回送状態の路線が多い。利用者が減った分は税金から事業者に補填することになる。しかも、ナッシー号の運行事業者が京成だというのだから笑えない。京成の懐は痛まない。

 

 新鎌ヶ谷駅へ出るのにナッシー号を利用しているのは主に高齢者だが、北総線の運賃が高いからナッシー号を利用している人が大半のように思う。高齢者の足を削って事業者の利益を優先する市のやり方に怒りを覚えている人は多いように思う。

 

 閑話休題、アクロスモールの斜め向かいの「新鎌ふれあい公園」の広場には今日も子供たちが駆け回っていた。この公園はいつも子供たちが溢れている。