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バス停の移設

 今日は用事があって新京成線に久しぶりに乗った。五香で下車して用事が予定より早く済んだため徒歩でさくら通りを常盤平まで歩いてみた。通りの桜が高齢のため根元から切られたり、若い木に植え替えられたりしていた。

 

昔はさくら通りで魚屋さん等の個人商店が活発に商売をしていた時期もあったが、今はシャッター通り化が進み、店舗が住宅に変わっているところもある。

 

 地域住民の高齢化が進み、通りは人通りも少ない。以前、常盤平は交通が便利な閑静な住宅街として人気が高かった時期があったが、今はどんどん寂れつつあるようだ。新京成線沿線はどの駅前も寂れつつあるように感じる。京成の沿線はシャッター街化が進み活気がない街が多いように思う。これは偶然だろうか。

 

 京成は不動産の売買は手掛けているが、街づくりには消極的なように思う。過去の不動産投資の失敗による経営危機が教訓となっているのかもしれないが、鉄道事業者が街づくりにかかわらずに生き残っていくのは厳しいように思う。

 

 駅前まで来て西友に寄ってみた。私は以前、松戸に住んでいたときに車でよく西友に買物に来ていた。その頃は幼い子供を連れの若い夫婦がたくさん買物に来て店に活気があったが、今は撤退したテナントもあり、売り場が随分と縮小されていた。

 

 この間来たときにあった一階のフロアの無印良品の売り場がなくなっていた。昨年の3月の閉店のお知らせがネットに残っていた。同じ時期に伊勢丹の松戸店も閉店している。松戸は常磐線で日暮里まで16分程度なので交通の便は悪くないように思う。松戸始発の新京成線は運賃も安く、日中でもそれなりに利用者がいるが、沿線の衰退が進んでいるように思う。

 

 常盤平の駅ビルの一階の薬局くすりの福太郎も2017年5月に閉店していた。代わりにラーメンの日高屋がオープンしていた。

 

 適切な時期に適切な街づくりに着手しないと今後はどの地域も少子高齢化であっという間に生活の利便性が失われることを物語っているように思う。単に公共交通の運賃が安いというだけでは人は集まって来ない。

 

 交通利便性は低廉な運賃、便数、そして生活利便施設が不可欠だと思う。高額運賃の北総線の沿線では多少の運賃の値下げは街づくりという観点からは何の効果もないだろう。新京成線は低廉な運賃と便数という面では合格だが、生活利便施設という面では急激に魅力が失われつつあるように思う。

 

 ところで、今日の行きは新鎌ヶ谷駅着9時26分の西白井線(ちばレインボーバス)に乗った。乗客は14人。60歳以上の高齢者4人、20代と思われる若者が5人乗っていた。

 

 西白井線とナッシー号の利用層は明らかに異なる。若者はナッシー号をほとんど利用していない。西白井線はどの時間帯(これまで乗ったバスについて)のバスにも若い人が乗っている。その理由はナッシー号の本数が少ないだけでなく、通勤・通学に使える便がほとんどないことだ。一方、西白井線はもともと白井工業団地の通勤の足となっているので通勤・通学時間帯に利用できる便があるということが一番の理由だろう。ただし、便数は多いとは言えない。

 

 駅前のアクロスモール前まで来たときに北総循環線(ちばレインボーバス)とナッシー号とすれ違った。2台とも乗客は0だった。さらに信号待ちでちばにうのCNT直行便とすれ違った。乗客は3人だった。

 

 今日から実施されたコミュニティバスのバス停の移設は道路のバスの区画線の書き直しだけだったようだ。コミュニティバスのバス停にナッシー号が着いたときに屋根のない青空の下に利用者が並んでいた。昨日まで使っていた後ろの屋根付きのエリアは福祉車輛専用乗降場になる。イオンのある南口のロータリーにも福祉車輛専用のスペースが2区画あるが、あちらには屋根がない。

 

 鎌ヶ谷市のホームページでは「新鎌ケ谷駅北側駅前広場にある鎌ケ谷市コミュニティバス『ききょう号』のバス停留所は、障がい者乗降スペースと共用として使用されていましたが、コミュニティバス利用者の乗降の際の安全性を考慮し、下記のとおり移動をします。」と記載されており、同じ文面の掲示がナッシー号の運転席の後ろに白井市役所名で貼られていた。

 

 分からないのは“コミュニティバス利用者の乗降の際の安全性を考慮”という件だ。正直、意味不明だ。バス停を10メートル西白井線のバス停側に移動することがどうしてコミュニティバス利用者の安全性につながるのだろうか。どんな危険を利用者は避けられるのだろうか。

 

 危険性の具体的な説明なしに屋根のない青空バス停の利用を強いられる利用者の立場からは行政はちゃんと説明責任を果たしてほしい。私はこれまでコミュニティバスの乗降で身の危険を感じたことはない。だから、きちんと説明をしてもらわないとどんな危険があるのか想像できない。夏場の暑さの中で屋根のないバス停でバスを待つ高齢者には熱射病にかかるリスクがあるのではなのだろうか。

 

 それともバス停の屋根は後日、移設するのだろうか。それについては何の情報もない。「民間にできることは民間で」というナッシー号の新鎌ヶ谷駅への直通便の減便の説明と同じで杜撰としか言いようがない。

 

 新しいバスの区画線は西白井線の区画線を拡張しただけでコミュニティバスの停車位置はバス停のポールしか目安になるものはならない。西白井線の従来の白線の前後が消され、新しい白線が前後に伸びた様子はまるで五目並べで相手の石をはさんで取る陣取り行為のようにも見える。

 

 今回のバス停の移動前はコミュニティバスと西白井線のバス停の間に空間があり、主に病院の送迎バスが利用していた。しかし、移動後はそのスペースがなくなってしまった。病院の送迎バスはどう対応するのだろうか。

 

 停車場所を失った車両が昨日までのコミュニティバスのバス停(今日からは福祉車輛用のエリア)に止めるケースが増えるのではないかと予想していたが、13時13分発のナッシー号に乗るためにバス停に並んでいたら東邦鎌ヶ谷病院の送迎バスがそこにバスを止めて乗客を降ろしていた。

 

 病院の送迎バスもお客の患者を駅から遠いところで降ろすことは病院への苦情につながる可能性があり、運行事業者は躊躇することが想像される。東邦鎌ヶ谷病院の送迎バスは乗客を降ろした後、西白井線のバス停の先に向かい、待機していたもう1台の東邦鎌ヶ谷病院の送迎バスと入れ替わって停車した。

 

 そこは歩道側に植込みがあり、バスの停車位置としては適切な場所だとは言えない。しかも、一般車両が停車していることが多い。そのときも一台の軽がその先に止まっていてバスは苦しい形で停車していた。

 

 言いにくいことを言えば行政が特定の事業者に加担して便宜を図ったと思われても仕方がないように思う。京成グループ以外の事業者を新鎌ヶ谷駅から排除することにつながる可能性がある。

 

 現実に新しいコミュニティバスの停車エリアはこれまで毎月、白井メモリアルパークの見学会の送迎バスが停車場所として使っている。その停車時間は西白井線の運行のない時間帯(10時45分から11時まで)の15分程度に過ぎない。

 

 それなのに1月5日(土)には11時始発の高花行きのバスが西白井線のバス停後方にはみ出すように停車してまるで見学会の送迎バスの停車を妨害しているような構図だった。高花行きのバスはぎりぎりまでそこに停車し、直前に専用バス停に移動して駅から出て行った。

 

 その一方で昨年の12月に北総循環線・高花線のバス停に京成グループのツアーバスが待機場所として利用しているのを目撃している。

 

 路線バスとして認可されたバス停をどう利用するかは事業者の自由なのだろうか。もしこうした行為を是認すれば、特定の事業者だけが公共の場所である駅前のロータリーを独占利用することを認めることになる。そして、他の事業者の営業を妨害し、排除することにつながる。独占禁止法にも抵触するのではないだろうか。

 

 貸し切りバスで駅のロータリーを利用できる事業者とできない事業者という差別化が可能になるだろう。そして駅に近い路線バスと駅から遠い路線バスという差別化は既に実現している。しかし、利用者は駅からの近さより運賃の安い方を選択しているようだ。

 

 帰りに乗った13時13分発のナッシー号の乗客は15人、うち14人が高齢者だった。