昨日は都心で雪が降るかもしれないという予報が出されていたが、午前中のロータリーには冷たい雨が降っていた。
タクシー乗り場に3台、タクシープールに1~2台のタクシーが常時待機していた。
10時50分近くに高花線のバスがロータリーに入って来て車両の止まっていないコミュニティバスと西白井線のバス停の前を一気に通り過ぎて専用バス停で止まった。2人の乗客は前扉から傘を開きながら降りていた。雨の日は西白井線のバス停で降ろすのかと思っていたが、予想ははずれた。
残念なことに停車位置が道路側の区画線寄りのため、バスに乗る人は歩道から道路に降りてバスに乗らなければならない。途中、停車位置を直していたが、車体の傾きを微調整しただけだった。しかし、11時に駅から出て行ったバスには運転手以外乗っていなかったので実害は生じていない。
国土交通省中部運輸局の作成した「適切なバス停車施設のあり方に関する調査報告書」によればストレート型(バスベイなし)のバス停の場合、路上駐車があると正着しづらいことが指摘されている。新鎌ヶ谷駅のバス停はすべてこの型のバス停なのでバスが歩道に寄せて正着することは運転技術の低い運転手には難しいのかもしれない。
コミュニティバスのバス停の移動理由は後付けとしか考えられない。鎌ヶ谷市はバス停の移動理由を利用者が道路で乗降することがあるので利用者の安全に配慮してバス停を移動したと説明しているが、路上駐車が横行している新鎌ヶ谷駅ではコミュニティバスに限らず、路線バスや病院のバスも日常茶飯事のように道路上での乗降が繰り返されている。
そもそもバスの利用者が望んで道路で乗降しているわけではなく、バスの運転手が止めた場所が歩道から離れているから利用者は仕方なく道路上で乗り降りすることを余儀なくされており、利用者の問題でないことは自明だ。運転手の技量とモラルが問われるべきだ。
コミュニティバスのバス停の本当の移動理由はおそらく市民には説明できない内容なのだろう。おかしなことばかりだ。
移動前に福祉車輛乗降場と共用だったバス停が福祉車輛専用の乗降場になったはずだったが、福祉車輛が停車しているところはほとんど見かけない。それどころか、民間の秋元病院が時刻表を上屋の柱に取り付けて専用バス停として使っている。市は許可したわけではないと説明しているが、以前、放置状態のままだ。
上屋にない新たなコミュニティバスのバス停について市は高齢者の熱中症のリスクを認め、上屋の設置を検討すると答えていたが、その後、何の動きもない。時間がかかるという言葉だけで期限は示されていない。そもそも、バス停を移動する前に対策を立てておくべきだったはずだ。熱中症だけでなく、利用者は雨風にも悩まされている。
コミュニティバスの運営については国のガイドラインでは市民の代表が入った地域公共交通会議(以下、交通会議という。)に諮ることが前提となっているが、今回のバス停の移動については交通会議には諮られておらず、駅前広場利用旅客輸送者連絡協議会(以下、協議会という。)で決定したと市は説明している。日頃、手続きが適正だから行政行為が適切だと主張している役所が必要な手続を踏まずに事業者の意向と思われるようなバス停の移動を決めているのだから呆れてしまう。内容もお粗末の一言に尽きる。
過去に市は『新鎌ヶ谷駅バス停位置変更には、「鎌ヶ谷市地域公共交通会議」と「新鎌ヶ谷駅駅前広場利用旅客輸送者連絡協議会」の開催が必要だが、バス停が変わるくらいのことでは、これらの会議を開くことが難しいかもしれない。』と新規参入を希望する事業者側に説明したようで明らかに矛盾している。
協議会の運営主体は旅客輸送事業者だ。本来、市民の生活に直接影響する今回のコミュニティバスのバス停の移動についてはパブリックコメントを用いた上で交通会議に諮るべきだったはずだ。バス停移動についての市の説明を聞いてみて、市が現場の実情をきちんと調べて決定したとは思えなかった。バス停の移動の運輸局への届出の必要性すら認識しおらず、事業者任せで事が進められたことが伺われる。
利用者が道路上で乗降するので安全性の観点からバス停を移動したいと聞いて納得する市民がどれくらいいるだろうか。バス停の移動により問題がどう改善されるのかを現場の状況を把握していない市が説明できたとはとても思えない。現実にバス停の移動後も道路上での乗降はなくなっていない。さらに移動後の新しいバス停の仕様について市は説明せねばならなかっただろう。交通会議をスルーすることでこうした問題からもスルーしたのだろう。
市は協議会には警察が入っていると強調していたが、利用者が道路で乗降する問題について警察がどういう認識を持っているのか知りたいものだ。路線バスや病院のバスも道路での乗降が日常茶飯事なのに、コミュニティバスの利用者の道路での乗降だけがバス停移動の理由になるのだろうか。
さらに不思議なのは、移動後のコミュニティバスのバス停の標識は後方の福祉車輛専用乗降場から10mの場所に設置されているが、前方の西白井線のバス停までの距離は10mが確保されていないのはどうしてなのだろうか?
道交法ではバス停の標識から10m以内の場所は駐停車禁止になっており、コミュニティバスのバス停の標識から前方10mは西白井線のバス停の上屋の中になる。本来ならバス停の上屋の中に西白井線の区画線が引かれているはずだったのではないだろうか。
西白井線だけでなく、コミュニティバスの主な運行主体はちばレインボーバス(京成)だ。そう考えると福祉車輛専用乗降場の先から西白井線のバス停の前方10mのエリアが道交法上、バス以外の車両の駐停車が禁止された特定の事業者の占有エリアになってしまっている。
分かりやすく言うと福祉車輛専用乗降場の先から西白井線のバス停の標識10m以内の場所に駐停車した車両は道交法で取締りを受けた場合に抗弁ができないことになる。これまでの定点観測からすると現実に警察が道交法を盾に取締りをすることはないように思える。西白井線のバス停の先には常時、一般車両や病院のバスが停車している。それでも、事業者は法律上、いつでも警察に取締りを要請できる立場にあるので占有権は担保されている。
さらに西白井線のバス停の先にある北総循環線と高花線(土休日のみの運行)が共用しているバス停もちばレインボーバスのバス停なので福祉車輛専用乗降場の先から北総循環線のバス停の標識10m以内のエリア(ロータリーの半分)を京成が占有しているというのが現実だ。北総循環線と高花線の利用者は少なく、コミュニティバスのバス停を利用しているバス路線の本数を考えれば、西白井線のバス停に北総循環線と高花線を集約することは十分可能だ。北総循環線の共用バス停は白井駅方面行きの平日2本・土休日3本しかない鎌ケ谷線も使っているが、乗客が乗っているのを目撃したことがない。
事業者にも弱みはある。西白井線のバスが上屋の後ろ半分に止めた場合、コミュニティバスのバス停の標識から10m以内になるので道交法の規制にかかるのではないだろうか。規制にかかるなら、西白井線のバス停の上屋の真ん中辺りに区画線を引き、現在、上屋近くに設置しているバス停の標識を前方の区画線ぎりぎりまで移動するよう警察は事業者に指導する義務があるのではないだろうか。
このように考えるとそれぞれの区画線を引かずにコミュニティバスと西白井線の区画線が一体化している理由が理解できる。前方に延長された西白井線の区画の3メートルくらいは乗降時に使われていない。もし、バス停の標識を前方に移動すれば、雨の日に上屋からはずれた先頭の利用者は傘をさしてバスを待たねばならない。前扉から降りる降車客も傘が必要になる。
6月上旬に関東運輸局に対してコミュニティバスのバス停が無届になっているので事業者を指導するよう文書で申し入れた。2月にバス停が移動されて4か月以上届出が出されていなかった。
本件については5月に千葉運輸局に確認済みだったが、のらりくらりの対応だったので関東運輸局に別件を含めて事業者への指導を要請した。
ちなみに、鎌ヶ谷市は地番の変更だけなので届出の必要はないと考えていたと答えている。コミュニティバスの運行委託者としての自覚が全然ないのか、とぼけているのかわからない。以前、聞いてもいないのにバス停の移動については事業者であるちばレインボーバスの協力?を得て実現したと言っていた。届出の義務があるのは運行事業者だが、バス停の移動に協力してくれた事業者が届出を放置したことになる。
ひょっとすると地番変更だけだから届出は必要ないという説明を事業者から受けていたのだろうか。というのはバス停の届出が出ていない点について市の担当者に確認したときは半信半疑の対応だったからだ。
しかし、西白井線のバス停の区画が上屋をはみ出して移動しているはずなのにちばレインボーバスはなぜ上屋の移設費用を市に対して請求しないのか不思議でならない。利用者の安全対策を優先?したのだろうか。協力はするけれど、代償は求めなかったのだろうか。
バス停の移動の届出はコミュニティバスを運行する3事業者から6月下旬から7月上旬にかけて提出されたことを11月下旬に関東運輸局に問い合わせて確認した。運賃の変更を伴わないバス停の位置の変更については道路運送法15条第4項により「遅滞なく」国土交通大臣に届けなければならないことになっている。
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バス停の移動日から届出日まで5か月近くの間、バス停は無届状態だったが、遅滞なくいう条文の指す期間について役所は見解を示さなかった。しかし、6月に文書で指摘しなければ、おそらく事後届をいいことに事業者は届出を出さなかったことだろう。運輸局が届出の遅延を指導した様子はなく、ひょっとする届出の提出を事業者に依頼しただけかもしれない。
事業者に対するネガティブ情報は行政処分になったときしか運輸局から公表されない。ひょっとすると無届のバス停はいくらでもあるのかもしれない。運輸局や事業者にとってはたいした問題ではないのかもしれない。「遅滞なく」という文言は便利な言葉で役所の裁量の余地はいくらでもある。桜を見る会の騒動での内閣府の役人の説明を聞いていると法律は解釈次第だし、法律に書いてないことは役所の自由裁量のようだ。何が法治国家だろうか。放置国家と改めてはどうだろうか。
バス停の移動について市に監査請求する必要があるのかもしれない。それが市民への情報公開につながる。