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変わらぬ光景

 正月明けの土曜日。まだまだ寒い。年が変わってもロータリーの光景は変わらない。

 

 タクシー専用降車場の後ろでタクシーが客を降ろしていた。どうして降車場の後ろでわざわざ客を降ろすのだろうか。前方の客待ちのタクシーは2台だったので降車場の区画の中で客を降ろせない理由はない。

 

 客を降ろすとタクシーは待機している車両がいないタクシープールをショートカットしてロータリーから出て行ったから駅のロータリーを利用できる仲間の事業者の車ではなかったのだろう。地面にタクシーの文字が書かれた区画をタクシー乗り場と勘違いしているのだろうか。

 

 11時近くにロータリーに入って来たタクシーが降車場の中に入って停車し、客待ちのタクシーの列が4台になった。客待ちができるタクシー乗り場の区画は2台分しかないが、タクシー事業者は独自ルールで3台の客待ちを行っている。先頭の車両が客を乗せてタクシー乗り場から出て行くとタクシープールの車がタクシー待ちの列に移動するしくみだ。

 

 しかし、たまに4台で客待ちしていることがある。今日は2~4台目が同じ黒の車両で同じ会社のタクシーのようだった。赤信号、みんなで渡れば怖くないということだろうか。3台目と4台目はもともと駐車禁止違反だが、独自ルールすら破っても仲間から文句を言われないようだ。タクシープールに車両がいなかったから割り込みにならないという言い分なのだろうか。

 

 さらに酷いのは先頭車との車間を開けるためなのか、2台目の車両が区画から半分後ろにはみ出して停車していたことだ。無線で呼ばれたときに列から離脱するための準備なのだろか。場所取りはしたいけど、無線で呼ばれたら列からいつでも抜けられるような態勢を取っておきたい。こっちは生活が懸かっている。フーテンの寅さんも天国で嘆いていることだろう。「それを言っちゃあ、おしまいよ!」

 

 10時47分頃、高花線のバスが入って来て専用バス停に直行した。歩道と水平に停車したが、車道側の区画線からの距離が15㎝くらいしか残っていなかったので、前扉から降りて来た大学生らしい若者は車道に降りてから歩道に上がっていた。

 

 バス停で先に待っていた2人の高齢の女性もしばらくして中扉が開くと車道に降りてバスに乗り込んでいた。1人は杖をついていた。国のバリアフリー政策は現場に浸透していないようだ。

 

 12時50分過ぎにアクロスモールの前を歩いていたときにイオン側から12時48分の白井車庫行きの鎌ケ谷線のバスがロータリーに入って来て一気に共用バス停(2番バス停を北総循環線、高花線、鎌ケ谷線で共用)に直行して停車するのが見えた。毎回、同じように誰もいないバス停で空のバスが停車して中扉を開けて空気を入れ替えているとすればちょっと滑稽に思える。無論、運転手さんはまじめにルール通り仕事をしているだけだ。

 

 運転手不足の時代に利用者のニーズのないバス停にバスを停車させるという事業者の仕事に疑問を持っているだけだ。駅のロータリーの場所取りのためにバス停を維持しようとする経営方針に疑問を抱かざるを得ない。共存共栄より対抗事業者を排除する経営姿勢に共感できない。公共交通事業の担い手なら、せめて事業者間での住み分けくらいできないものだろうか。

 

 12時57分過ぎに今度は、13時10分の北総循環線のバスがバス停に到着した。このバスも車道の区画線から20~30㎝くらいの位置に停車していたので、3人の乗客は車道に降りていた。歩道とバスの間の距離が見えるところまで歩いて行ったが、思ったより歩道から離れていた。おそらく80㎝以上あった。

 

 バスが歩道に正着する確率は低いようだ。高齢者は足を鍛えるだけでは足りない。幅跳びの練習も必要かもしれない。歩道に届くか、届かないかの中途半端なところに止められるよりましかもしれない。あんまり厳しい要求をするとバスの運転手のなり手がなくなってしまう。自動運転で問題解決できる日は遠いように思えるのだが…