北総循環線と高花線のバスが“決められた停留所”以外の場所で日常的に利用者を降ろしている問題で昨年6月に詳細な法令違反の状況を記したメモを作成して事業者を指導するよう運輸局に申し入れた。
もともと運輸局は法令違反があるのなら、教えてほしいと言っていた。情報があれば事業者をきちんと指導するとも言っていたのでわざわざExcelで一覧表を作成して送付した。しかし、6ヶ月近く経っても何も改善されなかったため11月に再度、6月以降の法令違反の状況をまとめて運輸局に資料を送った。
12月の前半は法令違反がなくなったように見えた。無論、すべてのバスを確認しているわけではないので実際に法令違反がなくなっていたのかはわからない。事業者も反省したのだろうと思っていたが、11月19日以降、また法令違反が見られるようになり、今年も年明けから法令違反を目撃した。この目撃は氷山の一角に過ぎないのかもしれない。
1月7日に電話で事業者を指導するよう再度、運輸局に申し入れたが、9日以降も法令違反が続いている。さすがに堪忍袋の緒が切れてしまった。役所と事業者がつるんでいるのか、役所が事業者に忖度しているのかはわからないが、やる気のない役人に期待するのは無駄であることがよくわかった。運輸局は指導結果は事業者のネガティブ情報になるので教えられないが、任せてほしいとも言っていた。
実は、昨年5月に千葉運輸支局に北総循環線と高花線のバスが西白井線の停留所とコミュニティバスの停留所付近で乗客を降ろしている件で問い合わせをしている。
西白井線の停留所には、いつ設置されたのかはわからない降車場の標識が以前から設置されていた。この降車場の標識と北総循環線と高花線のバスが西白井線の停留所で乗客を降ろしていることと関係があるのかを確認するためだった。
電話に出た監査担当者の回答は、調べて折り返すというものだった。その日の夕方に電話があり、降車場の標識があるなら問題ないとの回答だった。それなら認可日(実際には運賃変更の伴わない停留所の新設・位置変更は事後届出制)を教えてほしいと伝えたが、確認するのに3週間近くを要した。
監査担当者は降車場の認可日については輸送担当者に確認してほしいということだった。しかし、輸送担当者と話すと認可されていると言ったかどうか覚えていないというようなあいまいな返事だった。結局、回答を引き延ばされ、5月末になって届出がされていないことが判明した。どうも回答までの期間に支局内や事業者との間で回答内容について得意の想定問答をしていたようだ。
回答時に輸送担当者が路線の認可日を答えたので事業計画に降車場のことが書かれているのかと質問したら書かれていないことをやっと認めた。つまり、届出はその時点で出ていなかった。
コミュニティバスの停留所の位置変更の届出も出ていないことがわかり、鎌ヶ谷市役所の担当者に確認した。千葉運輸支局に変更届が必要なことを確認している旨伝えると地番の変更だけだから届出の必要はないと考えているが、確認してみるとの回答だった。
このときに千葉運輸支局も鎌ケ谷市も事業者の法令違反の是正について前向きでないことを認識したので6月3日付で関東運輸局あてに次の文書を送付した。
国土交通省関東運輸局 自動車監査指導部 御中
(写)国土交通省自動車局旅客課 御中
(写)鎌ヶ谷市長 清水聖士 殿
新鎌ヶ谷駅のコミュニティバスのバス停の移動及び西白井線の降車場の設置について
標記バス停及び降車場が無届けのままバスが運行されており、事業者であるちばレインボーバスに対する行政処分及び違法行為の是正を要望します。
(1)コミュニティバスのバス停の移動(無届け)について
2019年2月1日に既存のバス停を廃止し、現在の場所に移動されましたが、2019年5月28日現在で無届け状態になっております。(関東運輸局千葉支局確認済み)
バス停の移動については鎌ヶ谷市地域公共交通議会に諮られておらず、事業者を中心にした新鎌ヶ谷駅駅前広場利用者旅客輸送連絡協議会(自治体、バス及びタクシー事業者、警察で構成)で検討しただけでバス停の移動を決めており、市民に対するパブリックコメントも実施されておりません。
バス停の移動によりバス停に上屋がなくなり、現在、コミュニティバスを利用する高齢者の熱中症のリスクが高まっています。
移動の理由として示された「コミュニティバス利用者の乗降の際の安全性」という問題は移動後も改善されておりません。市はその安全性の内容について「道路に降りて乗降する人がいたため」と説明しています。
しかし、バス停移動直後の2月2日(土)午前11時頃、バス停付近に乗用車2台が停車していたため道路で利用者を降ろしていました。
バス停の移動によって路線バス以外の車両の停車場所が減少し、一般車両や病院のバスが日常的にコミュニティバスのバス停付近に停車しており、バス停の移動で利用者の乗降の際の安全性は反って悪化しているのが現実です。
さらにちばレインボーバスが運行する北総環状線、高花線の車両が自身のバス停の手前のコミュニティバスのバス停付近及び西白井線のバス停で常時、乗客を降ろしております。
(2)西白井線の降車場の設置(無届け)と北総循環線及び高花線の車両の専用バス停以外での降車について
別紙「北総循環線及び高花線の新鎌ヶ谷駅のバス停の降車状況(法令違反:専用バス停以外での降車)観察期間:2018/3/27~2019/5/28」のとおり届出バス停と異なる複数の場所でバス停以外での降車が繰り返されており、組織的、常習性が高い悪質な法令違反と考えられます。
西白井線のバス停付近に設置された降車場の標識が無届け(2019年5月28日現在)であることは関東運輸局千葉支局に確認済みです。
11月になってもバス事業者の法令違反の状況は変わらなかったため、11月半ばに関東運輸局にコミュニティバスの停留所の位置変更の届出日と降車場の新設の届出日の確認をするために電話をした。その結果、コミュニティバスの停留所の位置変更の届出日(6月24日以降3事業者より届出済み)は確認できたが、降車場の届出日はその日は確認できなかった。
その後、降車場の新設の届出が提出されることなく、降車場の標識が11月18日に撤去されていたことを関東運輸局に電話して確認した。最初の電話から10日も経っていた。その日のうちに6月以降の法令違反状況のメモを作成して関東運輸局に郵送した。しかし、前述のとおり無駄だったようだ。
(注)事業者は降車場の標識について停留所を移動したので前扉から降りる乗客のために設置したと運輸局に説明したようだ。西白井線で停留所に並んでバスを待っているとバスは前扉と中扉の中間に標識が来る位置で停車している。前扉から乗客が降りた後に並んでいた先頭の人から後ろの中扉に戻るように乗車している。降車客が通りすがりに停留所の標識の隣に設置されている降車場の標識を見ることなどあり得ない。そもそも運行路線が1本の停留所(乗降所)に別途、降車場の標識が必要なはずがない。
バス事業者の“決められたバス停留所”以外での降車は他の停留所だけでなく、ロータリーの至る所で乗客を降ろすという悪質極まるものだった。市役所も運輸局も事業者が法令違反を繰り返しても適切な対応ができない。
警察に対しては重箱を突っつくようなやみくもな取締りを期待していない。駅前広場を公平なルールに従って悪質な法令違反を取り締まってほしいだけだ。そうでないと放置駐車違反以外の取締りが困難になるだろう。
タクシー乗り場以外でのタクシーの恒常的な客待ち(駐車違反)を放置すれば、ロータリーでの一般車両の交通違反の取締りに対する市民の不公平感を助長する可能性がある。
市は病院のバスの駐停車については条例等を通じて適切な停車・待機場所を確保するべきだと思う。警察には対応できない問題だからだ。場合によってはマイカーの駅前広場への乗入れ禁止ということも視野に入れる必要がある。駅前広場のすべての利用者を満足させるような解はないように思う。駅前広場に停車しているマイカーも乗り入れ禁止なら禁止なりの創意工夫をすることになるだろうと思う。
運輸局も悪質な法令違反に対しては厳しい措置を取るべきだと思う。もし、そうした体制があれば、緊張感のないなれ合いによる目こぼしの余地などなくなるはずだ。今回も事業者に対する指導内容を教えることはできないとの説明を受けたが、最初から届出日しか聞いていない。その届出日まで事業者のネガティブ情報というなら話は別だが、事業者との間でうまく立ち回ろうとするからきちんとした指導ができないのだと思う。
必要な情報公開すらしないから事業者が役所を甘く見ているのではないだろうか。情報公開をしなければ、役所が責任を問われるリスクが少ないので安易な行政指導がまかり通るのだと思う。事業者のネガティブ情報は行政処分をしたときにだけホームページにその旨掲載されるだけだ。正直、関心のない一般市民が閲覧する可能性は極めて低いから事業者への抑止効果があるのか疑問だ。
情報を提供しても裁量でどういう処理をしたのか検証できない。事業者のネガティブ情報は公開できないという決まり文句は役所にとって都合のいいフレーズだ。忙しくて処理を放置したとしても上司や同僚でもわからないのではないだろうか。役所の担当者は短期間で代わってしまうので国民は担当者が代わるたびに一から同じ説明をしなければならない。役所の無責任体制は不滅のようだ。
ということで今回、役所に代わって徹底的に情報公開することにした。SNSのような短い文書では正確な内容を伝えることは難しいのでブログで情報公開することにした。無責任な情報を流すつもりはないので極力、根拠と情報の出所を明らかにしている。疑問についてはリンクの情報も参照してほしい
下の表は、事業者の法令違反の状況(2018/3/27~2020/1/10)の概要だ。詳細は本文の最後に路線別に掲載している。観察件数148件のうち124件(84%)の法令違反を確認している。124件中、119件が降車違反(決められた停留所以外での乗降違反)で道路運送法違反だ。それにしても北総循環線の降車違反率はほぼ90%だから、決められた停留所で降車する方がめずらしいという状況だ。
降車違反119件のうち、96件(81%)が2月のコミュニティバスの停留所の移動により拡大された停留所区画線内(コミュニティバスの停留所と西白井線の停留所の間の仕切り線はない)での降車だ。降車違反と11月17日まで西白井線の停留所の標識の隣に設置されていた降車場の標識と何か関係があるように思える。
この問題を一気に解決するいい方法がある。北総循環線と高花線の共用停留所を廃止して西白井線の停留所にコミュニティバスの停留所を含めて集約することだ。すべての標識を1か所に集めれば道路運送法違反、道路交通法第44条違反、そしてコミュニティバスの停留所の上屋の三つの問題が同時に解決できる。北総循環線と高花線の利用者も停留所が駅の改札に近くなり、きっと喜ぶだろう。利用者も増えるかもしれない。
一つの停留所に路線が集まりすぎるなら、西白井線の停留所をコミュニティバスの停留所に変更して西白井線の停留所を北総循環線と高花線の共用停留所に移動する方法もある。そうすればコミュニティバスの停留所の上屋の問題も解決できるし、コミュニティバスの停留所の後方に病院の停車エリアを確保することも可能だろう。
乗車場と降車場が分かれている事例はあるが、乗降場と降車場が同一の事例は知らない。JR新小岩駅前広場には共用降車場(京成バス、都営バス、京成タウンバスの3社の共用)が設置されているが、これは利用者の多い停留所(乗降場)を乗車場と降車場に分けることで乗り降りの流れをスムーズにすることを狙ったものだろう。
北総循環線と高花線の共用停留場は西白井線の停留所の目と鼻の先に設置されており、1便の利用者も平均すれば、数名に過ぎない。乗車場と降車場を分離する理由が見当たらない。千葉運輸支局は、仮に西白井線の停留所を北総循環線と高花線の降車場として利用する場合は乗車場所と降車場所を別々にしなけらばならないと説明しており、降車場の設置について否定しなかった。つまり、現在の北総循環線と高花線の共用停留場は乗車専用なり、西白井線の停留所を専用降車場として利用するということだ。
現在、北総循環線と高花線は両方の停留所での違法降車を繰り返しているが、降車場の設置届けを出せば合法になるのだろうか。しかし、乗降所(西白井線)と専用降車場(北総循環線・高花線)が同一の停留所という事例が他にあるのだろうか。そうであれば、コミュニティバスも運行しているちばにうがコミュニティバスの停留所に別路線の専用降車場を設置した場合、運輸局は届出を受理することになるのだろう。
こうした事例が認められれば、他の事業者も前例として事後届出で既存の駅の改札に近い停留所を別路線の専用降車場として利用するケースが増えるかもしれない。利用者も駅から離れている路線の停留所での降車より駅に近い停留所で降車することを望むだろう。事後届出だから事業者の判断で自由に専用降車場を設置できる。問題が生じたら事業者の責任で処理することになるのだろう。
あるいは、千葉運輸支局の乗車場所と降車場所を別々にしなけらばならないという説明は、西白井線の停留所に降車場を設置する場合は停留所を専用降車場としてしか使えないという意味だったのかもしれない。この点に関しては確認してないのでわからない。もし、そうだとすれば、現在の北総循環線と高花線の共用停留所は西白井線を含めた4路線の専用乗車場としてして利用しなければならないことになる。4路線と書いたのは北総循環線と高花線の共用停留所を利用者の乗降を一度も目撃したことがない幽霊のような鎌ケ谷線のバスも利用しているからだ。
また、西白井線の停留所が現在、道路交通法第44条に抵触していると思われることを前回のブログで伝えたが、この問題の最終的な判断は警察がすることになるだろう。
降車違反は観察期間(20ヶ月弱)以前から繰り返されていたものと思われる。最近まで無届で設置されていた降車場の標識のことを考えると事業者は確信犯だった可能性がある。コミュニティバスの停留所の移動がこうした法令違反の隠ぺいが目的だった可能性すらある。そうでないとするなら市と事業者は新鎌ヶ谷駅駅前広場利用者旅客輸送連絡協議会の議事録を公表して身の潔白を主張してほしい。
停留所の新設・変更については前記の「一般乗合旅客自動車運送事業にかかる手続き一覧」の標準処理期間がブランクになっており、役所の裁量でどうにでもなるようだ。下に掲載した道路運送法第15条四項の「遅滞なく」の目安を運輸局に聞いたが、あいまいな答えしか返ってこなかった。
事業者はこうした役所の対応を経験的に知っているだろうから、届出に対する規律が希薄になっている可能性がある。バレたら出せばいいくらいにしか考えていないのではないだろうか。どうせ「軽微な事項」の事後届だからどうにでもなると考えても不思議ではない。現実に降車場の標識も長期間設置しておいて「やっぱりヤーメタ」でお咎めなしのようだ。コミュニティバスの停留所の位置変更の届出も誰かに指摘されなければ、おそらく今も無届になっていたはずだ。未届けと無届は過失と故意くらいの違いがある。
<停留所の「名称及び位置の変更」に係る道路運送法及び同法施行規則条文(抜粋)>
(道路運送法)
第十五条 一般旅客自動車運送事業者は、事業計画の変更(第三項、第四項及び次条第一項に規定するものを除く。)をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
2 第六条の規定は、前項の認可について準用する。
3 一般旅客自動車運送事業者は、営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の国土交通省令で定める事項に関する事業計画の変更をしようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
4 一般旅客自動車運送事業者は、営業所の名称その他の国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(道路運送法施行規則)
第十五条の二 法第十五条第四項の国土交通省令で定める軽微な事項は、次のとおりとする。
一 主たる事務所の名称及び位置
二 営業所について、イからニまでに掲げる事業の種別(運行の態様の別を含む。)に応じ、それぞれイからニまでに定める事項
イ 路線定期運行又は路線不定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業 名称及び位置
ロ 区域運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業 名称及び位置(営業区域内における位置であつて、新設、変更又は当該営業区域内に他の営業所が存する場合における廃止に係るものに限る。)
ハ 一般貸切旅客自動車運送事業 名称
ニ 一般乗用旅客自動車運送事業 名称及び位置(営業区域内における位置であつて、新設、変更又は当該営業区域内に他の営業所が存する場合における廃止に係るものに限る。)
三 停留所又は乗降地点の名称及び位置並びに停留所間又は乗降地点間のキロ程
2 第十四条の規定は、法第十五条第四項の届出について準用する。この場合において、第十四条第一項中「事業計画変更認可申請書」とあるのは「事業計画変更事後届出書」と、同条第二項中「申請書」とあるのは「届出書」と読み替えるものとする。