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強盗キャンペーン?

逃げるが勝ち?
逃げるが勝ち?

 安倍首相が国会で「Go To キャンペーン」を強盗キャンペーンと言い間違えたことが報じられている。

 

 一方、コロナによる経済萎縮で疲弊した事業者を救済するための持続化給付金事業を受託した団体が幽霊法人だったことが判明している。社団法人として義務付けられている決算公告すら行っていない。

 

 役所の周囲には天下り先の確保のためにたくさんの外郭団体や業界団体が存在する。追及されているサービスデザイン推進協議会は事務所こそ存在するが、役員はすべて非常勤、従業員もすべて電通等の出向者になっている。単なる公共事業の受け皿として設置されたことは誰の目からも明らかだ。出資企業には天下りがいるのではないだろうか。

 

 役所が事業の執行を外部の不透明な業界団体に委託するのは日常茶飯事だ。彼らの言い分は、例外なく適正な手続きにより決定したというものだ。

 

 適正な手続きと中身が適正かという問題は彼らには関係ない。中身の検証は役所の事業の承認機関と化している審議会で済ませているというのが彼らの論法だ。

 

 審議会等の委員の人選は役所の決定に従う御用学者や有識者が選ばれ、少数の異論を言う人間も入れることで公平な判断が下されたというのが彼らのシナリオだ。

 

 公開される議事録や資料は、いつも黒塗りだらけの代物ものだ。黒塗りの理由は委員の自由な発言を担保することだったり、事業者の企業秘密を守るためだったりという常套句だ。

 

 責任を取らないことが彼らの行動の中心にある。安倍政権、というより安倍首相の法令無視の行動原理の裏にあるのも責任を追及されないということなのだろう。官僚と安倍総理の行動原理は一致している。

 

 成田空港線(スカイライナー&アクセス特急)の事業認可でも千葉ニュータウン鉄道というペーパーカンパニーが京成の社内に設置されているが、こちらは事務所スペースすら存在せず、非常勤の役員と形だけの出向者だけの京成100%出資の子会社だ。

 

 北総鉄道と千葉ニュータウン鉄道の役員には国土交通省の天下りが就任している。京成の常務取締役は国土交通省の天下りの指定ポストになっている。役所と事業者が一体的になって動いている。千葉ニュータウン鉄道に公団線が払い下げられた理由として京成が一体的に鉄道事業を運営することが望ましいということがプレス発表に書かれていたが、陰で役所が京成を支えている。そして、千葉県の首長や議員の大半が京成のサポーターであることを有権者知っておく必要がある。

 

 千葉ニュータウン鉄道は決算公告こそ行っているが、会社の中身はまったくわからない。累積赤字を計上しているが、資本金10,000,000円しかない会社がURからの150億円の鉄道資産を購入しているのだから赤字は当たり前だ。赤字の原因は京成からの減らない貸付金の利子等だ。

 

 千葉ニュータウン鉄道は赤字だが、京成は貸付金の利子収入が営業外収入として計上されており、利子収入以外の千葉ニュータウン鉄道からの収入を含めて損益を通算すれば大幅な黒字だ。北総線沿線住民から見れば、高額運賃収入が京成に中抜きされている形だ。

 

 京成は今回のコロナによるインバウンド客の蒸発で事業に大打撃を受けているだろうが、北総線沿線住民は冷めた目で見ていることだろう。

 

 運賃を下げられない理由が一つ増えて意外とほっとしているのかもしれない。元本の返済が中心の鉄道運輸機構からの債務の返済、沿線住民の将来の少子高齢化という理由にコロナ禍による需要減という理由が運賃の値下げができない理由としてもうじき公表される北総鉄道の決算報告に書き足されることになるだろう。

 

 安倍総理は強盗キャンペーンと言い間違えたが、役所間の予算獲得のための仁義なき抗争はこれからも続くことだろう。昔から多くの予算を獲得して使い切ることが彼らのアイデンティティだからだ。

 

 アメリカのミネアポリス市の警察が人種差別問題で解体されることが決まったようだが、経産省や国土省ももう一度解体して組織を再編するべき時期に来ているのだろう。