8月2日からナッシー号のルートが変更になります。ルート改正日は8月1日(日)ですが、日曜日はナッシー号が運行していないため、新しいルートの運行開始は翌日の8月2日(月)からです。白井市のホームページに「令和3年8月2日から、ナッシー号の運行ルート・ダイヤを改正します」という告知が出ています。
そこで白井市地域公共交通活性化協議会の議事録概要等から改正内容について検証してみました。
<ルート改正の概要とその目的>
結論から先に言いますと改正の内容は新鎌ヶ谷駅までの直通ルートの全廃と千葉ニュータウン中央駅直通ルートの追加を柱とする大幅な増便というのが実態です。
最初に白井市のホームページに掲載された内容から検証してみたいと思います。
オリンピックは多くの国民が反対していますが、嘲笑うかのように強行開催されることになりそうです。ナッシー号も2週間後に新しいルートでの運行が開始される予定ですので改正内容に問題があってももはや手遅れです。
それでも今回のルート改正について問題点を記録として残しておくことには意味があると思います。市民には正しい情報を知る権利があります。残念ながら市や議会だけでなく、いわゆる市民派と思われていた議員たちも今回はナッシー号の問題点についてなぜか言及していません。
市民派と思われる方々はちばにうの支援者です。ちばにうも今回のコロナで厳しい事業運営を強いられており、彼らが懸命に支援していることは投函されたちばにうへの寄付のお願いビラ等で知っております。
ですから今回のナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートの廃止は路線バス事業者にとっては路線存続のためにはプラスであることが容易に想像されます。
しかし、ちばにうとちばレインボーバスの白井駅及び西白井駅(ちばにうのみ)への乗り入れ前からはナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通便は多くの市民が利用していました。西白井駅と新鎌ヶ谷駅の乗降者数はそれぞれ1位と2位だそうです。新鎌ヶ谷駅への直通便は2社が路線バスを運行させる前から市民に定着していた実績があります。それが今回のルート改正によりとうとう新鎌ヶ谷駅直通便は全廃されることになりました。
コミュニティバスが路線バスの補完だとしても後から参入した事業者を保護するためにコミュニティバスの既存ルートを廃止するという理屈に疑問を抱かざるを得ません。本来であれば、新鎌ヶ谷駅直通ルートを廃止するのではなく、路線バス事業者が利便性を高める努力の中でナッシー号の利用者が減少して行くという姿が望ましかったはずです。利用者を増やすためにコミュニティバスに遠慮してくれというのは少し情けなく思います。
ナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートは前回のルート改正で大幅に削減されており、1時間に1本もない時間帯もあり、決して路線バスの運行を圧迫するような頻度で運行されていませんでした。しかも、運行時間帯は通勤・通学の時間帯や通勤・通学帰りの時間帯にかからないように調整されていましたから路線バスへの影響など高が知れています。
前回のルート改正後は直通便を利用しているのは主に高齢者や交通弱者と思われる限られた人たちです。実態は駅から離れたところに住む高齢者や交通弱者の方の足を補完していたものと思われます。
彼らがナッシー号を利用するのは費用面で代替する適当な交通機関がないことと駅まで行かずに最寄りのバス停から新鎌ヶ谷駅に行けるからでしょう。健康な老人や若者は新鎌ヶ谷駅まで自転車で行く方も多く、徒歩で(最短で30分)行く人もまれではありません。
こうした実態を無視して一律に新鎌ヶ谷駅直通ルートを全廃するというやり方はあまりに乱暴すぎると思います。しかも富士地区の住民から出された新鎌ヶ谷駅直通ルート復活の要望は今回のルート改正の検討を行った白井市地域公共交通活性化協議会の場では一顧だにされませんでした。直通ルート廃止ありきだったことは協議会議事録概要から明らかです。
これまでナッシー号を利用して新鎌ヶ谷駅に行っていた人々は今回の改正で最寄り駅まで行って路線バスに乗るか、北総線に乗るかの2つの選択しかなくなります。事業者優先の貧弱な市の交通政策にはあきれるばかりです。
今回の改正についての市の説明は詭弁とこじつけに満ちています。改正の内容ついてこの後、分かりやすく解説していきます。市民は議会の主導権を握る自公によって行政が歪められている実態を知るべきだと思います。ただし、今回のナッシー号のルート改正については議員全員が責任を問われるべきものと思います。
白井駅と西白井駅に停車する路線バスの運行は白井市民の交通利便性を改善することを目的にして始まったわけではありません。それどころか、ちばレインボーバスが後発事業者としてちばにうに対抗するために白井駅に乗入れたために前回のナッシー号のルート改正で新鎌ヶ谷駅直通便が大幅に減便になり、南ルートの直通ルートは廃止されてしまいました。
ちばにうについてはもともと千葉ニュータウンの住民に北総線に代わる交通網を提供することを目指して路線バスの運行を開始していますが、白井市内での停車は千葉ニュータウン中央駅と新鎌ヶ谷駅間をノンストップで運行する”直行便”の利用者が想定より伸びなかったために収支改善策として行われたものです。直行便の利用はコロナ前から減便せざるを得ない状況でした。当初は白井駅への乗り入れだけでしたが、さらなる収支改善のために西白井駅にも停車することにしたものです。
ちばレインボーバスに至っては白井市民の交通利便性を上げるためではなく、単に自社のテリトリーに侵入してきた事業者を排除することが目的だったことは自明です。もともと新しい路線は2社で奪い合うような需要などありません。最初から採算の見込めない路線を開業したのは営業妨害行為と言われても仕方のないものです。実態は千葉ニュータウンの高花線の延伸(内部補助)にすぎません。
そして、案の上、ちばレインボーバスの新路線はちばにうの利用者を奪うどころか、コロナ前から利用者が伸びず、1台の乗客は数名でした。新鎌ヶ谷駅のロータリー内では乗客を増やすためと思われる悪質な違法行為を繰り返していました。過日、文書で関東運輸局宛に改善指導を求めもしました。
ちばにうのバスはICカードが使えず、バス停も改札と反対側のロータリーというハンデにもかかわらず、善戦できたのは運賃、各停の運行本数、そして土休日の運行だと考えられます。バス利用者が最も重視するのは運賃と運行本数等の利便性だということを物語っています。そして新鎌ヶ谷駅までの速達性です。
ナッシー号の乗り換えが増えるような今回のルート改正は速達性を向上させるどころか、利用者のさらなる減少につながることになるでしょう。費用を抑えるためにナッシー号を利用せずに最寄り駅に行き、そこから路線バスを利用する人が増えるのかもしれません。私は前回の改正以後は、ナッシー号はときどき利用する程度でした。最近はほとんど利用していません。しかし、先日、464号線ですれ違った新鎌ヶ谷駅に向かうナッシー号が満席で乗客が立っている姿を目撃し、コロナ禍でも直通便は一定のニーズがあることを再確認しました。
今回のルート改正の問題を考えるにはどういう風にルートが変更されているかを知る必要があります。そのための資料として市のホームページに掲載されているルート図を加工してどこが変わるのかを示したのが下のルート図です。
市がホームページに「主な改正点」を列挙していますので一つ一つ検証してみたいと思います。
1.「運行の方法・ルートを変更します」について
(1)「始点と終点が同じ『循環型』から、始点と終点が異なる『ピストン型』で運行するとこで、速達性を向上させます。」
正直、ルート図を見ても「循環型」と「ピストン型」の違いと利点がよくわかりません。違いを強いて言えば、東ルートの千葉ニュータウン地区の一部がカットされ、カットされた部分が北ルートに変更になったことで東ルートの千葉ニュータウン寄りの地区の運行ルートが円状でなくなっていることでしょうか。しかし、こじつけの説明としか思えません。
ピストン型のルートには「他ルートまたは他公共交通でカバー」という注釈が付いていますが、これは目的地によっては乗り換えが発生するということです。乗り換えは普通、速達性の断絶ですから速達性が向上しますという市の説明は意味不明です。
本来、「他ルートまたは他公共交通でカバー」という注釈は「目的地によっては乗り換えが発生します」というのが正しい表記ではないかと思います。市の説明には利用者目線が全く感じられません。こうした説明に理解を示す市民がどれだけいるでしょうか。市民の読解力の問題なのか、それともどうせ市民に分かるはずがないと思っているのでしょうか。いずれにせよ分かりやすい表記をすることが行政には求められます。
(2)「民間バスとの重複や他に交通手段があるバス停は見直し、より効率的なルートとします。」
「市内の公共交通は、それぞれの持つ特性に応じた適切な役割分担と連携による効果的な公共交通ネットワークを形成しています。今回の改正では、市内公共交通の最適化を目指したルート・バス停配置とします。」と市は説明しています。
鉄道を「市内外を結ぶ基幹的交通」とし、路線バスを「市内主要施設を結ぶ幹線的交通」としていますが、路線バスが新鎌ヶ谷駅から千葉ニュータウン中央駅に直通運転している時点で鉄道と重複しており、”市内外を結ぶ”交通になっているのではないでしょうか。これでは「適切な役割分担と連携による効果的な公共交通ネットワーク」となっていないのではないかという疑義が生じます。まして、ちばにうの新鎌ヶ谷駅への直行便は北総線ともろに利害がぶつかるはずです。ただ、路線バスについては自由化されていますから規制したくてもできないということでしょう。
この問題は結局、北総線の現在では”理由のない”常識外れの高額運賃問題に帰結します。高すぎて鉄道を利用できないために生まれたねじれ現象のようなものです。「それぞれの持つ特性に応じた適切な役割分担と連携による効果的な公共交通ネットワーク」の形成を阻害しているのは紛れもなく北総線の高額運賃とそれを維持したい北総鉄道の経営方針そのものです。
しかし、実際には速達性、定時制、輸送力を考えれば鉄道と路線バスが競合状態にあるとは言えません。路線バスは速達性、定時制、輸送力では鉄道には敵いません。新鎌ヶ谷駅直通の路線バスは運賃で利用者の選択肢の一つになっているにすぎません。
ナッシー号も輸送力と快適性では路線バスに敵いません。運賃も他の自治体のコミュニティバスに比べれば安いとは言えません。そもそも路線バスの運賃と比べてコミュニティバスの運賃が安すぎるという議論自体を他で聞いたことがありません。
西白井駅から新鎌ヶ谷駅までのルートだけを切り取って路線バスに比べて定額制のコミュニティバスの運賃が安すぎるというのは言いがかりの類ではないでしょうか。まるで西白井駅から新鎌ヶ谷駅間の464号線が路線バスの専用ルートだとでも言っているようです。
しかし、奇妙なのは、ちばにうの西白井駅⇔新鎌ヶ谷駅間の運賃はナッシー号と同じ150円で据え置かれていることです。ただし、昨年の9月1日の改定で白井駅までの運賃は220円に値上げされております。
一方、ちばレインボーバスの白井駅⇔新鎌ヶ谷駅の運賃は250円です。この運賃は北総線の平日の昼間と休日に利用できる割引回数券の金額(380円×66%)に相当します。偶然の一致とは考えにくい運賃設定です。ちばにうより高い運賃を設定している理由が推測できます。割引回数券を利用すれば北総線なら同じ運賃でより早く目的に到着できますよという駅員の声が聞こえて来そうです。
親会社の意向で運賃で相手に対抗できいないため、ナッシー号の運賃が路線バスに比べて安すぎると主張している気がします。一方でナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートの廃止とちばにうの値上げで価格競争の必要性が薄れつつあるのかもしれません。ナッシー号の運行も自分たちで請け負っているのですから面の皮の厚さには驚くばかりです。それに応える白井市のレベルの低さが市民として恥ずかしくなります。
白井市地域公共交通活性化協議会では受益者負担によるナッシー号の運賃の値上げも今後の検討課題になっているようですが、新鎌ヶ谷駅への直通ルートがなくなって乗車動機が減少したコミュニティバスの運賃を値上げすることが現実的に可能だとは到底、思えません。
そんなことをすれば交通弱者の人だけでなく、交通空白地域の人もコミュニティバスを利用しなくなるのではないでしょうか。マイカーから公共交通機関へという社会の流れに逆行して乗れる間はマイカーでということになると思います。交通利便性と逆行する白井市の交通政策は何を目指しているのでしょうか。
北総線は高すぎて乗れない、コミュニティバスも高くてより不便になっても鉄道と路線バスを維持していくためですからと言われて市民が納得できるでしょうか。市民に適当なことが言えるのは、結局、政治家も市の職員も自分たちが痛みを感じていないからでしょう。彼らは、コロナ禍でも職や収入を失うリスクのない高みの席であぐらをかいている現実を認識していないのでしょう。
税金は足りなくなったら上げればいいと考えていても不思議ではありません。そうでなければ利用者が減り、収支が悪化するのが最初から分かっている今回のようなルート改悪を強引に進めるはずはないと思います。財政が苦しくなったら、市民としては賃金の高い正規の職員から人員削減してほしいと思います。
白井市内を運行している路線バスは1ルートを除き、すべて京成グループの事業者が運行しており、ナッシー号も同じ京成グループの事業者に運行委託されています。そして、これまでもナッシー号は北総線や路線バスに影響を与えないように事業者によってルートやダイヤが調整されてきました。
これらのバスの運行収入はすべて京成グループの懐に入っているわけですからナッシー号の運賃が安すぎるというのは言いがかりのようなものです。しかも、コミュニティバスの経費と利益は委託費で保証されているわけですから京成側は何のリスクも負っていません。乗っても乗らなくても経費と利益が確保できるナッシー号は事業者にとって有難い収入源です。
白井市内を走るちばにうの路線バスの運行ルートはこれまで京成グループが運行していないルートでしたが、京成グループの路線バスはちばにうに対抗するために同じルートで運行を始めたものです。この2つの路線はナッシー号が各停だとすれば、特急や快速のようなものです。
後発で運行を開始したのに新鎌ヶ谷駅に向かう途中で同じ幹線道路を走行しているというだけで重複路線としてナッシー号を問題視するのはどうでしょうか。その理屈がコミュニティバスは路線バスを補完するためにあるというのは虫がよすぎるように思います。
これを各停は特急や快速を補完するためにあると表現すると言いたいことが分かっていただけるように思います。ちなみに、北総線の線路を線路使用料を負担せずに走っているノンストップのスカイライナーは誰のために運行されているのでしょうか。北総線はスカイライナーを補完するためにあるのでしょうか。どちらも共通点は京成の利益になるということです。
市や事業者が受益者負担を市民に対して言う前に事業者自らリスクをとって利用者に十分な交通利便性を提供する努力をすることが先決だと思います。何か事あるごとに補助金を要求するような事業者と市民が街づくりで協力し合うことは不可能だと思います。市民の利用離れが進むコミュニティバスへの委託費の増額は単なる事業者への補助金のように見えます。
一方で、鉄道と路線バスのルートの重複は法律上も問題はありません。鉄道は通勤・通学の足として発展してきた経緯があります。路線バスは駅と居住地を結ぶ生活路線として利用され、住民の身近な生活の足として運行されてきた交通です。
北総線沿線の住民には他地域の住民とは異なる理由で鉄道と路線バスが並行して走るニーズがあります。それは北総線の法外な運賃により北総線沿線の住民が生活を圧迫されているという事実があるからです。北総線の高額運賃を合理的に説明できる理由がもはや存在しないことについては下記のブログをお読みください。ここで改めて言及するつもりはありません。
現在、北総線と並行するような形で路線バスが運行されているのは北総線の運賃が高すぎるためという必然的な理由があるからです。事業者寄りの市の政策は国や県、そして京成の労使からの支援を必要とする政治家の都合があるように思います。
将来、ちばにうが路線バスから撤退することになれば、おそらくちばレインボーバスは採算を理由に新鎌ヶ谷駅から千葉ニュータウン中央駅直通の不採算路線を躊躇なく廃止することになると思います。現在、路線バスは自由化により届け出だけで簡単に廃止されています。もともと好きで始めた路線ではなく、“テリトリー侵害”のちばにうの路線が出てきたために対抗上、採算度外視で直通ルートを維持しているだけだと思います。現在では、バス事業の自由化により以前のように事業者間でテリトリーを調整することはできません。ちばにうは事業者間の利害調整を目的に設立されているバス協会のメンバーではありません。
ちばにうが撤退すれば、京成の味方の市は「各公共交通機関の役割分担」を理由に北総線の利用促進を今以上に市民に迫ることになるでしょう。今回のルート改正もナッシー号による路線バスへの「内部補助」という側面があると思います。白井市地域公共交通活性化協議会の場で学識経験者の立場の副会長(流通経済大学教授)が「これまで路線バスで維持していただいていた地域について、例えば補助金を支出して継続させる等議論が必要」とまで踏み込んだ発言をしています。
遠い将来、北総線の大幅な値下げが実現(その可能性はないと思いますが)すれば単なる並行バスはお役御免になる可能性があります。
北総鉄道に対する見解は異なりますが、平成31年度第2回協議会の場において副会長も鉄道の運賃と並行バスの関係を認めています。このときは副市長欠席のため副会長が議長を代行しており、以下はそのときの議長としての発言です。
・新鎌ケ谷へのルートは黒字が出てもおかしくない利用者がおり、そこへ生活バスちばにうが走るということは個人的には良いと思っております。鉄道の料金が高く、かつ、並行する路線がないことで、選択肢がないということが問題視されていましたが、現状では選択肢があり、その選択肢の中から住民の方がニーズに合わせて選んでいただければ良いと思っております。
・地域によって事情は様々であるので、特定の地域だけでなく幅広く意見を伺うべきだとは思いますが、一般的な話として、黒字が見込める路線はコミュニティバスではなく路線バスが運行するのが筋ではないかと思っています。鉄道の運賃が下がらない間は、路線バスの需要も一定以上見込めると感じており、営利路線の設定も可能ではないかと思っております。しかし、北総線も高くしたくて運賃を設定しているわけではなく、建設費の償還等を考慮して設定せざるを得ない事情があると思いますし、この協議会ではコミュニティバスだけでなく区域内の路線バス等を含めて議論をしてもかまわない場所です。そのため、路線の開設等で鎌ケ谷観光バスには特に御尽力いただいている部分もあることから、そういったことについて御提案をいただくのも一つの手であるのかなと思っております。
ちばにうのバスは印西市内では駅以外の一部施設も運行していますので生活路線バスとしての実態がありますが、白井市内に関しては新鎌ヶ谷駅までの速達性を損なわずに効率的に運行したいと考えていると思います。千葉ニュータウン地区のための路線バスとしての経済合理性があるかもしれませんが、白井から見れば集客の期待できそうな白井市役所、白井駅、西白井駅のルート途上にバス停を設置しているだけのように思います。白井市民にとっては必ずしも生活路線バスとは言えません。
ちばにうのダイヤ編成を見れば、そのことがよく分かります。白井市内に停車する各停の間を縫うように千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅直行便が走っています。北総線の線路を走行するスカイライナーに似てなくもありません。意地悪な見方をすれば千葉ニュータウン路線を維持するための対策にすぎず、この路線だけに依存するのは白井市民にとってはリスクがありそうです。
ちばレインボーバスに至っては桜台地区と白井駅にしか止まりませんからとても「市内主要施設を結ぶ幹線的交通」の生活路線とは言えません。北総線の並行バスを京成グループのちばレインボーバスが運行せざるを得ない理由を考えるべきです。今のままでは白井の未来は完全な京成の植民地と化す可能性があります。
残念ながら2社とも白井にとっては収支上の理由から停車しているだけでその反射的恩恵を一部の住民が得ているにすぎません。ちばにうの新鎌ヶ谷駅直行便はコロナ前から乗車客が少なく、西白井駅に乗入れていないちばレインボーバスも実態は直行便に近い運行状況です。両者とも今回の改正で利用者が大幅に増えることはないだろうと思います。
大幅に増えるのは白井市が負担するナッシー号の運行経費ではないでしょうか。市は「現行の運行経費水準を”極端”に増大することなく、運行本数を増便する」と説明していますが、運行経費の増額ありきでルート改正を進めてきたのは明らかです。運行経費が増えて潤うのは運行によるリスクを負わないちばレインボーバスです。
「運行によるリスクを負わない」という言葉は現在、千葉ニュータウン鉄道が保有する区間を公団が運行していた時代の北総鉄道を思い出させます。この区間は現在では京成の利益の源泉となっています。京成はリスクを取らない事業者です。そして、京成はちっぽけな白井市などが支援する必要などない大企業です。
市は前回のルート改正で「民間にできることは民間で」と言う理由で京成のためにナッシー号の白井駅発着の新鎌ヶ谷駅直通ルートを廃止しましたが、その後もコロナの影響とは関係なくちばレインボーバスの利用者はほとんど増えていません。
今回のナッシー号のルート改正についての「現行の運行経費水準を”極端に”増大することなく、運行本数を増便する」という市の説明は責任逃れにしか聞こえません。こんな説明を許している議会の監視機能が問われるべきです。
ナッシー号は「路線バスを補完する支線的交通」と定義されていますが、西ルートの西白井地区と七次台地区のバス停はちばレインボーバスと船橋新京成バスの運行する路線バスと重複したままなのはなぜなのでしょうか。
白井市地域交通協議会の場で事業者が「来年の 8 月にルート等変更するにあたってスケジュールについて御説明いただいたところですが、ナッシー号と並行して走っている当社の西白井線(鎌ケ谷大仏~ニュータウン七次台)について、8 月までにダイヤ改正の可能性があることをお話しておきたいと思います。」と発言していたことと何か関係があるのでしょうか。
(3)「白井駅・西白井駅の両方を発着するルートを設定し、市内移動のアクセスの向上を図ります。」
「改正前は、白井駅と西白井駅の両方に停まるバスは北ルートのみでしたが、改正後から北ルートに加え西ルート及び南ルートが両駅に停まるようになり、市内移動のアクセス向上を図ります。」と市は説明していますが、千葉ニュータウン中央駅に停まる北ルートの新設については一言も触れられていません。不自然としか言えません。後ろめたいのでしょうか。情報公開が不十分と言わざるを得ません。
市がホームページに掲載した西白井駅と白井駅への発着に関する説明図は以下の通りです。
市が作成しないので参考までに千葉ニュウータウン中央駅への発着に関する説明図を作ってみました。
2 .「運行本数を増やします」について
(1)「現行の1日40便から1日61便に増便(約1.5倍)し、運行本数を増加させます」
驚くのは21便の増便のうち16便、実に四分の三以上が千葉ニュータウン中央駅への直通ルートに充てられており、千葉ニュータウン中央駅直通便は8便から23便と実に3倍近く運行されることになります。ホームページにはこの事実について何の説明もありません。
たいした問題ではないと考えたのか、市民に対して合理的な説明ができないためにスルーしたのか、どちらなのでしょうか。賢い市民なら今回のナッシー号のルート改正の目的がわかると思います。事業者の方しか見ていない市と市民をバカにしているとしか思えない行政のこうした作為を許すことが貴方はできますか?
(増便の内訳)
東ルート 5便
西ルート 1便
南ルート 4便
北ルート 11便(うち10便が千葉ニュータウン中央駅ルート)
(合計) 21便
(千葉ニュータウン中央駅直通ルートの増便の内訳)
改正前 改正後
東ルート 8便 → 13便(+5便)
北ルート 0便 → 10便(+10便)
(全体) 8便 → 23便(+15便)
北ルートについては以下のような注釈が付けられています。
「※北ルートの増便数は+11便と、他のルートに比べ多くなっていますが、これは北ルートには元々路線バスが運行する区間がほとんどないこと、また、見直し後の北ルートは、途中で『平塚・今井』経由のルートと『工業団地』経由のルートに分かれることが、白井第2小学校へ通う児童の足を確保するため、登下校時間帯は終点まで行かず途中で折り返すルートが含まれていることから、他のルートより多く増便となっています。」
上記の説明は真実ではありません。路線バスについては🔗白井工業団地から東武野田線の高柳駅までちばレインボーバスの鎌ヶ谷線が平日だけでなく、土休日も1時間に1本以上、通勤・通学時間帯は1時間に2本運行されており、高柳まで17分で到達できます。
また、🔗白井工業団地から同じ鎌ヶ谷線で白井駅まで10分で行けます。平日はほぼ1時間に1本、土休日も12本が運行されています。
そして、🔗白井工業団地からは西白井線も運行されており、平日13本、土休日5本が運行されています。鎌ヶ谷線の白井駅行きと同レベルの運行本数が確保されていますが、新鎌ヶ谷駅までの所要時間は23分です。
「北ルートには元々路線バスが運行する区間がほとんどない」という記述はどこから来ているのでしょうか。ほとんどないというのは見解の相違なのでしょうか。白井工業団地内での路線バスへの乗り換えは他の地域より恵まれているとさえ言えます。
そして、今回のルート改正で千葉ニュータウン中央駅までの直通便が新たに新設されたのですから北ルートの交通利便性はさらに上がったのではないでしょうか。北ルートの工業団地からはナッシー号か路線バスを利用することで東武野田線の高柳駅、新鎌ヶ谷駅、西白井駅、千葉ニュータウン中央駅の4つの駅に直通でアクセスが可能です。
●「新鎌ヶ谷方面の廃止について」
「廃止するメリット」というタイトルには驚かされます。市民の立場からすれば新鎌ヶ谷駅直通便の全廃はメリットであるはずがありません。どこかの国の首相やコロナ担当大臣の発言に似ています。市民の感情を逆なでするような表現であることに思い至らない市の幹部は総辞職するべきだと思います。職員の中に森友学園問題で毅然として信念を曲げなかった赤木さんのような人間はいないのでしょう。市民のためにではなく、自分の保身のためにだけ仕事をするような職員を尊敬することはできません。
「市内から新鎌ヶ谷方面までのバスの所要時間は往復で約30分です。現在1日に14便“運航”しているので廃止により、1日約420分の運行時間が確保でき、その分ナッシー号全体の便数を増やすことができます。」という文言を平気でホームページに載せる市のレベルの低さに怒りを通り越して哀れみさえ感じます。
ちなみに白井市地域公共交通活性化協議会の場でパブリック・コメント募集結果(案)の中の文字が運行でなく、“運航”となっていることを委員から指摘されているのにホームページの文章でまた同じ過ちを犯しています。
普通の人間なら同じ間違いを犯したくないと考えて次に同じ間違いを犯さない工夫をするものです。きっと誤字や脱字など彼らには大した問題でないのでしょう。緊張感が微塵も感じられません。最近のお役人は感覚が麻痺して自分の仕事に対して矜持など持っていないのでしょう。与えられた仕事を言われた通りこなして給料がもらえればそれでOKなのでしょう。
国会で法案の誤字を繰り返し指摘されていたことを思い出します。昔は企業内でも大切な文書は読み合わせが必ず行われていたものです。緊急事態宣言発令中でも飲み会を開いてコロナに感染するようなどうしようもない役人がいるくらいですから役人の意識の低さは共通した現象なのかもしれません。
新鎌ヶ谷駅直通便の廃止の理由についてこんな説明しかできない職員の想像力のなさと低い能力に市民として恥ずかしく思います。
「少子高齢化による人口減少や自家用車への依存度が高いことなどにより利用者が減少し、民間の交通事業者の存続が危ぶまれており、利用者の多い区間を行政が安い運賃で運行してしまうことは、市内全体の交通ネットワークの持続性を損なうことになりかねません。現在では、民間の路線バス2路線が新鎌ヶ谷方面への運行を開始しており、この考え方の重要性が増してきています。」という記述はまるで北総鉄道の決算のときに使う言い訳と同レベルです。出来の悪い作文の見本のようです。
もし、本当に路線バスとの運賃の公平性や受益者負担を言うのなら、ナッシー号の運賃を定額制から距離制に変更するべきです。そうした場合、駅から遠い交通空白地帯の人は交通費の負担が増すことでコミュニティバスの利用が困難になるのではないでしょうか。
定額制だから住んでいる地域に関係なく、多くの市民が平等にコミュニティバスの恩恵を受けることができるのではないでしょうか。利用者の多いルートが利用者の少ない地域を支えていることになります。利用者の多いルートは採算の低い交通空白地帯の内部補助として機能していると考えられます。
コミュニティバスは健康保険のようなものです。路線バスは任意加入の医療保険のようなものです。赤字路線に対する補助金はどこの自治体でも毎年、増え続けているのが現実です。市内を運行しているというだけでやみくもに民間の路線バスを維持しても市民のためにはなりません。内容をよく精査したうえで必要な支援を実施するべきです。
少なくとも、京成の運行している新鎌ヶ谷駅直通路線はその目的と利用状況から見て支援するに値しないように思います。この路線が市民の交通利便性に貢献するとはとても思えません。
利用者の多いルートは全体の収支率を上げて利用者全体の負担を抑制することにつながります。収支率を管理しないでコミュニティバスを安定的に維持することは困難です。いずれ破綻する可能性があります。そうなれば、事業者自身も困ることになるでしょう。
路線バスの場合、運賃を上げれば確実に利用者が減りますが、コミュニティバスは運賃が上がって利用者が減っても事業者は困りません。リスクを負わず、採算もを考える必要のない事業を他でカバーするのは容易ではないはずです。
鉄道と利害関係のない事業者にコミュティバスの運行を委託するべき時期に来ているように思います。そして、市民のためになる路線バスを新しい事業者との協力のもとに再構築するべきだろうと私は思っています。
次の選挙で誰に投票するか市民は真剣に考えるべきです。少なくとも、自公の候補ではないでしょう。そして、自民党にしがみついている維新もやめた方がいいと思います。
突然、北総線の高額運賃の値下げ問題を争点にして維新から衆議院選への出馬を表明した元鎌ヶ谷市長がこれまで北総線問題に言及した記憶はありません。鎌ヶ谷市には運賃の安い東武野田線と新京成電鉄が走っており、北総線の運賃問題に関心がある鎌ヶ谷市民が多いとは思えません。千葉ニュータウン沿線の自治体が通学費の補助をしていた時期にも鎌ヶ谷市は同調しませんでした。維新の候補が正義の味方なのか、京成の味方なのかよく吟味する必要があると思います。
記事の内容に疑問を感じた方は是非とも市に問い合わせをしてみてください!お腹に不満をためると身体によくありません。