· 

2021年8月2日からのナッシー号のルート改正の不都合な事実(2)

 

 前回の不都合な事実(1)では市のホームページに公表された内容について逐一検証してみました。続きの(2)では🔗白井市地域公共交通活性化協議会(以下「協議会」と表記)の議事録概要やパブリック・コメントからナッシー号のルート改正の経緯を追ってみたいと思います。

 

 <ルート改正の経緯と手続き>

 

 この後、協議会での発言を引用しますが、その発言の意図を知るためには協議会という組織についての予備知識が必要です。

 

 協議会は🔗白井市附属機関条例に基づいて設置されています。同条例別表(第2条関係)で協議会の役割と組織の内容が定められています。組織は会長・副会長・委員で構成され、定数は24人以内で任期2年と定められています。同表に構成員について定めがありますが、それぞれの構成員の人数は定められていません。会議の議長は会長が務めると定めています。

 

 条例では会長と副会長は委員の互選よると定められていますが、協議会の🔗運営要綱で会長は市職員の委員の中から充てるものとされ、副会長は委員の中から会長が指名することになっています。構成員のそれぞれの人数も運営要綱で定められています。市職員の委員は6人もいますが、市民は2人です。他に事務局の4人を入れれば協議会に10人もの職員が投入されています。

 

 最初から多勢に無勢ですから市民の声を積極的に取り入れるつもりがないことは明白です。それどころか市民の声は邪魔なのだろうと思います。職員には国や県、事業者や支援者とのしがらみだらけの政治家の意向に従って仕事をする習性が染みついています。天下りも彼らにとって仕事の動機づけになっています。

 

 平成31年度第2回協議会の議事録概要の中に組織の構成についての委員と議長の質疑応答が残っていますが、まるで子供だましのようなやり取りです。こんな見え透いた詭弁を使う人を信用できるでしょうか。

 

 委員:活性化協議会の名簿を見ますと、24 名いる中で利用者の立場として参加されている方は5~6名ほどと思うのですが、この活性化協議会の役割としてはどのような位置づけになっているかお伺いしたいと思います。

 

 議長(会長の副市長):活性化協議会は法律に基づき組織されており、構成員として位置づけなければならない方々が多くいらっしゃいまして、その方々の他に住民の方も当然入れなければならないというのが法律で定まっています。もちろん、住民の人数を増やすというお話もありますが、より住民のお話を聞くのであれば部会をつくり意見を集約した結果を代表者の方にお話しいただくとか、市民の方にアンケートを取るといったことも考えられますが、現状、何人かに御発言を活発にいただいておりますので、人数の問題ではなく発言の質でバランスが取れていると考えているところです。ただし、大きな見通しの際には、住民の意見を広くとっておくべきと考えており、方法としては必ずしも会議で発言するだけでなく、アンケートや意見をいただく場を作ったりすることで意見を収集し、検討していく形になるのかと思っています。バスやタクシーなど様々な立場の方に御出席いただいておりますが、立場が変われば全員利用者であるので、皆様にはぜひ公共交通に乗っていただいて積極的な意見交換をいただくことも大切かと思っております。

 

 「”何人”かに御発言を活発にいただいております」と言っていますが、市民の委員は2人と決まっているので何人かという表現は適切でないことは明らかです。市民の数の問題に向かわないように誘導しているようにも見えます。

 

 「立場が変われば全員利用者であるので、皆様にはぜひ公共交通に乗っていただいて積極的な意見交換をいただくことも大切かと思っております。」と結んでいますが、全員利用者と言うのは本当にバスを利用する可能性を前提にしての発言でしょうか。事業者も利用者なのでしょうか。事業者の委員は事業者の立場に立って意見を言うことに意味があるように思うのですが…。

 

 市職員の大半はマイカー通勤でしょうから彼らですら休みの日(土曜日)にナッシー号を利用している人間などいないのではないでしょうか。それどころか市民ですら前回のルート改正で交通利便性が下がったナッシー号を利用している人は限られているのではないでしょうか。現実に私の周囲にナッシー号を利用している人はほとんどおりません。高齢の人でもほとんどがマイカー利用者です。議長(副市長)自身、休みの日にコミュニティバスを利用した経験があるのでしょうか。適当なことを言うなと言いたくなります。

 

  市民の意見を協議会で反映するためには委員としての議決権が必要です。議決権が公正かつ平等に割り当てられていなければ市民の代表として協議会に参加してもガス抜きで終わってしまい、議決の結果に影響を与えることはできません。どこかのポエマー大臣のような発言はやめてほしいと思います。

 

  実際にどんな人たちが協議会のメンバーになっているかに市民は関心を持つべきです。以下が市のホームページに公開された最近の委員名簿です。委員の所属と肩書を見ればどういう方向で協議会が運営されているのか想像できると思います。個人の名前は必要ないので外してあります。

 

 京成側の人間(千葉県バス協会を含む)が5人、京成の味方の市職員が6人、そして会長(副市長)が指名した副会長を含めるとそれだけで定員の半数が京成派で占められているように見えます。実際には京成派の人間が他にもいるでしょうから京成に有利な議決になることは目に見えています。

 

 今回のルート改正の検討がいつから始まったのか調べてみました。2018年12月の平成30年度第2回協議会では俎上にも上がっていなかったようです。その時の議事録概要には次のような発言があります。

 

 会長(副市長):重複路線については、利用動向をおさえなければ重複しているだけで減らすようなものではないというお話だったと思います。それと課題に出されている受益者負担については、慎重に手続きを踏まえていかなくてはいけないという御指摘でしたが、事務局何かありますか。

 

 事務局:御指摘いただいた通り、重複しているからといってすぐにコミュニティバスをやめるといったことは、拙速であると考えております。重複していても路線バスがカバーしている朝夕の時間帯は減らし、昼の時間帯を走らせるといったことも考えられます。昼間の時間帯は、高齢者の方が日々の生活を過ごすために市内を移動したいということがあり、そういったところをコミュニティバスで補完できれば、重複ルートにおいても競合はしないと考えておりますので、利用動向のデータを整理しながら、考えていきたいと思っております。受益者負担については、現在の収支率は低い状態となっており、解消したいと思うところはありますが、ルートを変更した際の、コミュニティバスのサービス水準を勘案しながら、慎重に考えていきたいと思います。

 

(注)白井駅と西白井駅に発着する新鎌ヶ谷駅直通の路線バスが開業する前から北総線の利用者に影響を与えないために北総線が「カバーしている朝夕の時間帯は減らし、昼の時間帯を走らせる」形でナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通便のダイヤが組まれていました。一方で北総線は平日の日中と休日の利用者を増やすために33.3%引きの割引回数券を発行しています。ナッシー号が休日の運行をしていないのも北総線の利用者に影響を与えないためと思われます。すべては支援など不要の北総線のためなのでしょう。

 

 この時点の市側の発言については市民として容認できるものです。しかし、ルート改正の議論が始まると「市としましても今回のルート見直し案、特に西ルート見直し案に関してですが、他の路線バス 事業者との重複路線はなるべく避けるべきだろうと考え、配慮してきたところです。」と方向転換を図っています。真の目的は北総線の利用者に影響を与えないことだと思います。

 

 市は協議会の中で度々、「交通弱者や交通空白地域の救済が目的で乗降者数第一ではない」、「交通弱者の足の確保というコミュニティバスの使命を優先、収支率は一番ではない」という発言をしていますが、西ルートの利用者の大半は交通弱者の高齢者です。

 

 彼らがナッシー号を利用している一番の要因は運賃かもしれませんが、離れた駅まで歩いて駅ではホームまで降りる必要があります。確かに駅にはエレベーターが整備されていますが、エレベーターを利用している人をあまり見かけたことがありません。

 

 エレベーターを使うことで階段やエスカレーターを使わずに済む一方で改札の入り口までと改札を通ってからホームまで2台のエレベーターを利用する必要があり、歩行に不安のある人には負担かもしれません。

 

 一方でコミュニティバスは最寄りのバス停に行って乗車すればそのまま新鎌ヶ谷駅まで行けます。鉄道は速達性、定時制、輸送力で優れていますが、高齢者には優しい乗り物とは言えません。

 

 多くの自治体は少子高齢化が進む中でいかに高齢者のための公共交通を提供するかに腐心しています。路線バスとコミュニティバスの重複を避けるという理由だけで新鎌ヶ谷駅までのルートをカットすることは乱暴すぎます。

 

 新鎌ヶ谷駅直通のちばにうのバスは白井駅から先は西白井駅にしか止まりませんから新鎌ヶ谷駅までの速達性はコミュニティバスより優れています。私も乗車できる便があればちばにうのバスを利用していました。

 

 しかし、ちばにうのバスは直行便に近いものであり、各停のコミュニティバスとは異なります。つまり、今回のルート改正は特急があれば各停は不要だと言う論理に等しいものです。各停の利用者は特急停車駅まで行って乗り換えてくださいというものです。

 

 各停の利用者は乗り換えの不便だけでなく、乗り換えに伴う特急料金(北総線の運賃もしくは路線バスの運賃)の負担まで新たに発生します。

 

 コミュニティバスは利用者も限られ、運行本数も少なく、路線バスを補完しているのが現状です。今回の改正で路線バスは多少、増収になるかもしれませんが、高齢者のマイカーから公共交通機関へのシフトという流れを阻害する要因になる可能性があります。

 

 それにも関わらず、市は新鎌ヶ谷駅ルートの廃止をメリットとしてアピールしています。市民が増便を望んでおり、新鎌ヶ谷駅ルートを廃止することで増便が実現できると説明しています。しかし、増便は北ルートと東ルートの千葉ニュータウン中央駅直通便に極端に偏ったものとなっています。

 

 市民の増便の要望の大半は減便された新鎌ヶ谷駅直通便の増便だったと思われます。都合よく、増便という声を利用したとしか思えません。

 

 今回のルート改正で西ルートの住民と北ルートの住民が対立するようなことは起こらないでしょうが、ナッシー号を見限る利用者が増え、さらに利用者が減ることになると思います。所詮、コミュニティバスは限界交通機関だという認識が固定化することになるでしょう。空気を運んで走るバスが増えれば、定額制の維持が困難になる可能性があります。

 

 正直、個人的にはコミュニティバスの維持にあまり関心がありませんが、抜くに抜けないはずの伝家の宝刀と言える「交通ネットワークの維持」を軽々と主張し、声高に補助金の必要性を訴える事業者には共感できません。彼らが本当に経営努力しているのか疑問に思っています。その典型は北総鉄道です。必要な資本増強を自ら否定して20年以上にわたって高額の利益を上げながら決算報告で毎年、伝家の宝刀を抜き続けています。

 

 私は時間が合うときはナッシー号もたまに利用していましたが、今後はナッシー号を利用することはないと思います。オリンピックと同じで勝手にすればという無関心の市民が増えていくように思います。市民の公共交通に対する期待が今以上に希薄になり、やっぱりマイカーが便利だよねというのが落ちでしょう。

 

 今回のルート改正後の収支率を約16%程度と見積もっていますが、この数字はかなり甘い見込みです。新鎌ヶ谷駅へのルートの廃止を減収要因とし、1.5倍の増便を収入増と仮定してはじき出された希望的観測に基づくまったく当てにならない推計です。

 

 おそらく、シビアに計算した収支率があるはずです。現実に近い数字は公表できないレベルのルート改正の大義が疑われるものなのではないでしょうか。増便したら増便した分だけ収入が増えるならバス事業者が赤字に悩むはずがありません。収支率の結果については監視していく必要があります。

 

 しかし、バスの台数を増やさずに1.5倍まで増便したのは何か別の理由があるようにも思います。つまり、増便が必ずしも目的ではなく、事業者への委託費の増額が目的だった可能性も考えられます。委託費を上げる理由が増便だった可能性があります。委託費が1.5倍になっていることはないのでしょうか。

 

 昨年2月に開催された平成31年度第2回協議会の議事録概要に平成28年度の収支率が30%、1人当たりの市の負担額が400円であるという記録が残っています。しかし、令和2第1回協議会で事務局から示された以下の説明資料ではそれぞれ19.04%と740円になっています。1人当たりの市の負担額は平成28年度の1.85倍に膨らんでいます。今回のルート改正でさらに委託費が1.5倍以上になっても不思議ではなさそうです。

 

 平成30年度第2回協議会の後の2019年8月に開催された平成31年度第1回協議会では唐突に以下のルート見直しのたたき台が協議会に資料として提出されています。たたき台となっていますが、実際には今回の改正ルートそのものです。

 

 つまり、前回は議論すらされなかったルート見直しのたたき台が突如、協議会の場に示されたのです。おそらく、翌月から西白井駅に発着することになっていたちばにうの路線バス対策だったのでしょう。京成側から提案があったものと推測されます。

 

 たたき台を作成するためにはちばレインボーバスとの協議が必要です。市が独自にルート見直しのたたき台を作成できる能力があるとは到底、思えません。京成のテリトリー防衛に市は協力することにしたのでしょう。ちなみにバス事業者2社の競合の中心は千葉ニュータウン地区です。

 

 そして、京成が最も重視しているのは、北総線に乗らずに新鎌ヶ谷駅に行く人口を抑制し、北総線の駅の乗降客を増やすことだろうと思います。ナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートの廃止はコロナの影響で厳しい経営を強いられているちばにうにとっても恩恵かもしれませんが、それは副次的なものです。ちばにうを支援する市民派の議員が今回の理不尽なルート改正を黙認しているのもちばにうの経営にプラスだと考えているからだと思います。

 

 2020年2月の平成31年度第2回協議会議事録概要の委員と議長及び事務局とのやり取りを読むと今回のルート改正の目的が分かります。

 

 委員:地域の事情のみを押し通すつもりはありませんが、すでに長く生活に根付いた路線を全く無くすといったことからこだわっています。これが、他の市町村に出ないようにするという原則があると仕方ないと思いますが、印西市は残して新鎌ケ谷だけ廃止するというお話でした。このルートの変更によって不便だった地域がこれだけ便利になるということであれば、具体的に指し示していただけると説明もしやすいです。 現在、一人当たりの市の負担額が400円となっている中で利用者が減ると、より市の負担も大 きくなるのではないかと思っております。

 

 議長:多くの方に御利用いただいているものを無くす際には納得のいく説明が必要との趣旨であったかと思います。ルート素案図を見たときに市外から出さないという説明であると、千葉ニュータウ ン中央駅まで行くということが矛盾点として残りますが、事務局いかがですか。 

 

 事務局:まず、市外への運行はしないという前提は決めておりません。その中で桜台地区は千葉NT中央駅の駅圏となっており、バスの運行所要時間を3~5分しかかかっていない状況です。また、桜台地区だけでなく、路線バスの通っていない市北部の地域からや、バスの運行が少ない神々廻地区等のルートを確保しながら設定していますので、少しの運行時間を割くだけで、こうした地域 の方たちの利便性が高まると考えています。

 

 議長:北ルートについては他に公共交通の選択肢がないので、手厚くすることに市内からも大きな反対はないと思います。しかし、手厚くする方法としてバスの台数を増やすことができるのであれば、新鎌ケ谷行きを残すこともできたかもしれませんが、それが厳しいということで、現在の交通資源で考えるならば、どこかを厚くどこかを薄くしなければならず、すでに代理の交通機関のある地域のサービスのレベルの高さを検討してみて、それでも地域に与える影響が大きいということであれば、次の見直しの時に改めて検討するということで良いかと思っています。そういった意味では、今まで便利に使われていた方の犠牲を少し頂きながら、不便であったところを便利にしていくという案になっているので、素案のルートについて、どうしていけばより良くなるかという御意見をいただけると、建設的な議論になると思いますが、いかがでしょうか。

 

 この市側の説明を読めば、最初からルート改正ありきだったことが分かります。西ルートの新鎌ヶ谷駅直通ルートの代わりに北ルートに千葉ニュータウン直通ルートを新しく設定したいというのが市側の意思だということです。

 

 議長はルート改正について「どうしていけばより良くなるかという御意見」が建設的な議論になると議論の方向を誘導しています。他の市職員が副市長である議長に反論するような意見を述べる可能性はゼロでしょうから残り5人の市職員の委員は議決に必要な頭数としての意味しかないように思います。

 

 桜台地区はちばにうとちばレインボーバスの路線バスが走っており、千葉ニュータウン中央駅までは重複路線になっているのではないでしょうか。北ルートから新設された千葉ニュータウン中央駅直通便は北ルートの起点(白井聖地公園)から片道18分、往復で36分かかります。

 

 一方、今回廃止される西ルートの起点(大松集会所)から新鎌ヶ谷駅まで片道12分(鎌ヶ谷総合病院まで14分)です。往復で30分かかりません。終点の鎌ヶ谷総合病院まで乗り通す乗客はせいぜい数人で病院から駅に戻るバスは空のことが多いのが実態です。仮にナッシー号を新鎌ヶ谷駅止まりにしても同じバス停から頻繁に発着する鎌ヶ谷市のコミュニティバス「ききょう号」で鎌ヶ谷総合病院に行くことができます。

 

 2020年11月に開催された令和2年度第2回協議会で🔗パブリック・コメント募集結果(案)について質疑が行われていますが、副会長(公共交通分野の専門家である大学教授)の発言からパブリック・コメントが単なるガス抜きにすぎないことが分かります。28人の42件の意見の中から素案の修正に採用されたのは1件のみです。

 

 🔗白井市循環バス「ナッシー号」の見直しについて(パブリック・コメント資料)

 

 副会長: 外部からの視点で資料1パブリック・コメント募集結果(案)を見ると、やはり新鎌ケ谷方面 への意見が多いというのが率直な印象です。利用者数が多いことについては私も承知しており、利用者が多い路線を廃止するのは何事かという御意見について、一定の理解ができるところです。一方で白井市地域公共交通網形成計画を策定した時点で、必ず新鎌ケ谷へのバスのルートを通さなければならないというような公共交通の将来像を作ったわけではないという事もあり、協議会としては当面、この改正案で運行すればいいと私はこれまで申し上げておりました。

 

 おそらくこの方はナッシー号に一度も乗ったことなどなく、新鎌ヶ谷駅のバス停やロータリーの状況についても何の知識もないことが伺えます。「白井市地域公共交通網形成計画を策定した時点で、必ず新鎌ケ谷へのバスのルートを通さなければならないというような公共交通の将来像を作ったわけではない」と発言していますが、白井市地域公共交通網形成計画には千葉ニュータウン中央駅へのバスのルートを必ず確保しなければならないことになっているのでしょうか?

 

 パブリック・コメントの意見について彼は次のようなコメントをしています。

 

 (1)新鎌ケ谷方面の病院に通院される方については、別の公共交通を利用してもらうことを考えていましたが、ナッシー号のルート改正により、運賃の問題ではなく、停留所の場所が違う等が原因で、新鎌ケ谷方面の病院に行けず、著しく不利になる方がいらっしゃるのが少し気になりました。

 

 (2)そう考えると、今回のパブリック・コメント募集結果(案)のとおり対応するとしても、こういう方々が一定数いるということに配慮し、何らかの方法で新たな市民の足を検討するか、別の方法を検討するといったことは考えた方がいいかもしれないと感じました。いくつか考えられますが、例えば新鎌ケ谷方面まで利用したい方が一定数以上いるのであれば、路線バスを設定するのも一案です。

 

 (3)一方で、これまで路線バスが西白井駅の南北から新鎌ケ谷方面へつながるような形で運行していないというのは、おそらく単独で路線開設をしても黒字にならず、現状の枠組みの中では継続的にサービスとして提供するだけの準備が整っていないのだろうと承知しております。

 

 (4)本来、コミュニティバスが市境を超えてはいけないというような理由はありませんので、例えば簡単ではございませんが、鎌ケ谷市さんと共同でコミュニティバスの路線を 1つ試験的に開設してみるような方法もあるのではないかと考えています。

 

 (5)これまでの話を私の意見としますが、西白井駅の南北にお住いの方の利便性に関しては、今後も検討していく必要があるのではないかと感じています。

 

 (1)の発言はパブリック・コメントの「ちばにうで代替の件:足腰が痛く不安定。杖をついて歩行しております。“ちばにう”の停留所(終点)から病院まで歩いたこともありましたが、遠くて苦痛でした。特に降雨の際は不可能でタクシー利用となりました。」という記述のことを指していると考えられますが、これは誤解だと思います。

 

 そもそもちばにうのバス停がコミュニティバスのバス停のあるロータリーと反対側の駅の改札から遠い場所にバス停を設置せざるを得なかったのは鎌ヶ谷市の不作為(🔗バス停に係る「鎌ヶ谷市地域公共交通会議」と「新鎌ヶ谷駅駅前広場利用旅客輸送者連絡協議会」の開催の拒否)を利用して京成が自社のテリトリーを守るために改札に近いロータリーからちばにうを排除したという経緯があります。

 

(注)上記のリンクのブログには鎌ヶ谷市の担当者の発言として「既存バス事業者から『(駅への送り迎えの)一般利用者からの苦情がある中で、新規参入の北口ロータリーへの受入は困難』との声があった。」という記述があります。新鎌ヶ谷駅の既存バス事業者はききょう号の運行を一部分担している鎌ヶ谷観光を除けば、京成グループの事業者だけです。鎌ヶ谷市も白井市と同じで京成の味方のようです。その鎌ヶ谷市の元市長が維新から次の衆院選に出馬することを表明しています。突然、北総線問題を公約の1番に掲げています。通学定期の値下げを第1歩と表現しているので注意が必要です。通学定期の値下げ期間の期限が近づいて来ています。通学定期の値下げのために県側に補助金を出してもらおうとでも考えているのではないでしょうか。これまでと同じことの繰り返しになりそうです。敵に塩を送るだけで終わるだけだと思います。鉄道の維持のためには補助金が必要だと主張した初代社長の精神が脈々と北総鉄道には流れているのではないでしょうか。共存共栄より自己の生き残りが一番の京成らしい対応です。北総線の運賃値下げにいつまでも期待するから事業者だけでなく、政治家にまで選挙の度に利用され続けているのだろうと思います。下記のリンクの文中でもこの件を取り上げています。反発承知で言えば、できもしないことをいつまで経ってもできると言い続けている人たちに私は正直うんざりしています。

 

 🔗倶楽部の構想の背景~堅実な街づくりと健康な生活を目指して

 

 ちばにうのバス停は駅の改札から多少離れていますが、病院まで歩いたことのある方なら新鎌ヶ谷駅のコミュニティバスのバス停までは数分ですので歩ける距離だと思います。

 

 新鎌ヶ谷駅のコミュニティバスのバス停は白井と鎌ヶ谷の共用バス停(8月からは鎌ヶ谷の単独バス停)になっています。このバス停から鎌ヶ谷総合病院行きのバス(鎌ヶ谷市のコミュニティバス「ききょう号」)が頻繁に発着しています。運賃は100円です。

 

 反対側のロータリーのちばにうのバス停の時刻表と鎌ヶ谷総合病院行きの鎌ヶ谷市のコミュニティバスの時刻表を事前に確認しておけば、乗り換えによるロスタイムを少なくすることが可能だと思います。

 

 もし、交通費の負担が問題でないなら北総線で新鎌ヶ谷駅まで行ってききょう号に乗って病院に行く方法もあります。しかし、交通費も歩く距離もちばにうを利用する場合の比ではありません。とりわけ、体力のない高齢者の場合は行き帰りの北総線の改札からホームまでの乗降も計算に入れると相当負担になるはずです。

 

 参考までに新鎌ヶ谷から鎌ヶ谷総合病院までの時刻表を以下に掲載します。

 

 (2)~(5)の発言に至ってはこの方は地域の実情をまるで分かっていないことが分かります。ちばレインボーバスが新鎌ヶ谷駅までの新たな路線バスを運行しないのは収支上の理由だけではなく、京成の利益の源泉である北総線の利用者に影響を与える可能性のあるバス路線を運行したくないからです。

 

 新鎌ヶ谷駅直通の西白井線も元々は白井工業団地の通勤利用者のために運行されていたものですが、その後に西白井地区に住宅街ができたことで従来、通過していた西白井地区にバス停が設置され、後発的に新住民の需要が発生したもので白井市民のための路線として出発したものではありません。

 

 京成グループのちばレインボーバスは北総線の利用者の減少につながるような路線バスを運行するつもりなどないはずです。今回のルート改正も市民を北総線の利用に誘導するための政策の一環です。おそらく、会長や事務局の人間は副会長が地元の状況を理解していないことを都合がいいと思っているのではないでしょうか。

 

 とりわけ、(2)の「例えば新鎌ケ谷方面まで利用したい方が一定数以上いるのであれば、路線バスを設定するのも一案です。」という発言は支離滅裂です。今回、ナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートの廃止の理由がちばにうとちばレインボーバスの路線バスの重複区間だからということだったはずです。協議会は年に2回しか開かれませんから副会長の頭の中の記憶があいまいになっている可能性もあります。あるいは、忙しいため事務局が作成した資料に当日、目を通しているのかもしれません。副会長の仕事は腰掛け仕事なのでしょう。

  

 この時の質疑の中で事務局はルート改正に必要な委託経費を本年度予算で既に計上済みであると発言しています。協議会で決定する以前に令和3年度実施予定のナッシー号のルート変更のための経費を前倒しで令和2年度予算(令和2年3月議決)に計上済みだったことになります。

 

 出来レースに市民は付き合わされただけです。パブリック・コメントはどこでもガス抜きのための事後承認の手段に使われています。市民もバカにされたものです。そして、それを知っていて市民に知らせなかった議員も信用に値しません。次の選挙で誰に投票するか見定める必要があります。

 

 現在の行政は言い訳するときに「適正に決定した」という決まり文句を使います。これは、内容の適正さや公正さを示すものではありません。法律で決められた手続きに従って決定したというだけのことです。

 

 手続きが適正であれば、その結果の良し悪しとは関係なく、役人は決定した内容について責任を負う必要がありません。ですから役人の責任逃れをきちんと監視できる人を選挙で選ぶ必要があります。

 

 誰になっても優秀な役人がいれば、問題ないと思っている方もいるかもしれません。しかし、そもそも彼らは市民のために行動できるような立場にありません。現在は役人も民間のサラリーマンと変わりません。組織の論理で動く駒にすぎません。

 

 誰が市民の生活に関わる大切な事項の決定を行っているのか一人一人が関心を持たないと事業者や政治家の利害関係だけで市政が運営されてしまうリスクがあります。