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2021年8月2日からのナッシー号のルート改正の不都合な事実(3)~最終章

 

 

 市は今回のナッシー号のルート改正で「循環型」から「ピストン型」に運行方法が変わることにより速達性が向上すると説明しています。速達性の向上については目的地までの所要時間がどれくらい短くなったかを示してもらう必要があります。

 

 循環型とピストン型の違いは始点と終点の連続性がないということだけのようですので事業者や運転手側から見た違いにすぎないと思います。利用者が気にするのはバス停に到着したバスが自分の向かう目的地に何時に到着するかということであり、循環型かピストン型かは利用者にはどうでもいい話です。

 

 運行方法の変更により速達性がどれくらい向上したかについては具体的な事例による説明がなく、市の主張がイメージできません。そこで、最も乗降客が多い西白井駅のバス停を出発地としたときの目的地までの所要時間について改正前と改正後の運行ダイヤから調べてみました。

 

 一番望ましいのは乗降者の最も多いバス停から二番目に乗降客の多いバス停までの所要時間を調べて比較することだろうと思います。しかしながら、二番目に乗降客が多いバス停は今回、廃止される新鎌ヶ谷駅のバス停ですので比較することができません。

 

 そこで利用者が多いと思われる白井駅経由の白井市役所を目的地として西白井駅からの所要時間を改正前と改正後でどう変わったか調べてみたのが下の表です。

  

 驚いたことに西白井駅から北総線で1駅2分の白井駅まで西ルートだと34分、南ルートだと37分もかかります。「改正前は、白井駅と西白井駅の両方に停まるバスは北ルートのみでしたが、改正後から北ルートに加え西ルート及び南ルートが両駅に停まるようになり、市内移動のアクセス向上を図ります。」と市は説明していますが、白井駅に停車するだけで速達性は無視されているようです。

 

 市役所には新庁舎の完成とともに出入口近くに立派なナッシー号専用のバス停が設置されています。市役所はナッシー号のルートの起点になるバス停です。事業者側も市役所がバスの運転手の休憩場所となる交通結節点だと説明しています。市内のルートからの速達性が最も求められる場所だろうと思われます。

 

 本来、4つのどのルートからも最重要インフラ兼交通結節点である市役所への速達性を考慮したルートとダイヤが設定されるべきだろうと思います。市役所に行けばどの地区にも効率的にアクセスできるようなルートとダイヤの設定が大切だと思います。単にアクセスできればいいということではないはずです。

 

 しかし、西白井駅からの市役所へのアクセスは西ルートと南ルートは改悪と言ってもいいレベルで速達性が低下しています。改正前は最短5分、最長25分で両ルート16便中12便が10分以内に市役所に到着することができました。北ルートのバスは7便で所要時間17分でした。

 

 改正後は市役所行きの西ルートと南ルートの便数は2便減の14便となり、市役所までの所要時間はそれぞれ37分と40分となっています。もはやナッシー号で市役所に行く気が失せるような内容です。一方、北ルートは2便増えて9便となり、所要時間も17分から10分に短縮されています。

 

 西白井駅から10分以内で白井市役所に到着するバスが12便から9便(すべて北ルート)になったという見方もできますが、西白井駅から20分以内で市役所に到着するバスが19便から9便(すべて北ルート)になっており、到底、速達性が向上したとは言えません。

 

 そして、最寄駅への速達性も重要です。今回の改正で西白井駅と白井駅へアクセスするルートが強化され、前者は2ルートから3ルートに増え、後者はすべてのルートからアクセスすることができるようになります。

 

 しかし、白井駅へのアクセスが追加された西ルートと南ルートの西白井駅からの所要時間はそれぞれ34分と37分です。この2ルートを白井駅に行くために利用する人はいないと思います。ちなみに2便増えて9便になった北ルートは従来の8分から7分の時短になっています。

 

 下の図は西白井駅もしくは白井駅から目的地までの路線バス別の所要時間と運賃を示したものです。西白井駅からはちばにうのバスが白井市役所まで10分で運行していますが、改正前から運行していますので改正により速達性が上がったという根拠にはなりません。

 

(お詫び)運賃に誤りがありましたので訂正しました。
(お詫び)運賃に誤りがありましたので訂正しました。

 今回の改正のキーワードが二つあります。

 

 キーワード1 ナッシー号は路線バスの補完

 

 キーワード2 現行の運行経費水準を極端に増大することなく、運行本数を増便する

 

 「ナッシー号は路線バスの補完という方向性で今回の改正を行っております。鉄道や路線バスがあってのナッシー号です」という議長(副市長)の発言が2020年11月20日に開催された令和2年度第2回白井市地域公共交通活性化協議会議事録概要に記録されています。ポロっと本音が出ていますね。ナッシー号は路線バスだけでなく、鉄道の補完でもあるようです。

 

 2020年8月26日開催の令和2年度第1回白井市地域公共交通活性化協議会に提出された「『ナッシー号』見直し運行ルート全体図(案)」に見直しの考え方として「現行の運行経費水準を極端に増大することなく、運行本数を増便する」とわざわざ記載されています。普通なら極力、運行経費を増やさずにと記載するのが一般的だと思います。この論法だと”極端に”増やさなければ、経費の抑制に努力しなくても構わないと解釈できます。しかも、どこまでが極端でどこまでが極端でないかを誰がどうやって判断するのでしょうか。議会でどこまでが極端でどこまでが極端でないかを多数決で決めるのでしょうか。

 さらに「見直しの手法」として「1便あたりの所要時間を減らすことで、速達性の向上を図るとともに便数を増加する。」とも記載されています。しかし、1便あたりの速達性を向上させることが速達性を向上させることになるのか疑問です。

 

 全体の運行時間が短くなって便数が増えても優先度の高い施設(駅、病院、市役所等)への到達時間が長くなってしまっては意味がないように思います。どこへ行く場合でも今までより運行本数が増えて便利ですと言われても納得がいかないのではないでしょうか。

 

 白井の場合、路線バスといっても限られたルートに1時間に1便程度しか運行していないのが現実です。コミュニティバスの重複ルートが逆に貧弱で不便な路線バスを補完していたのではないでしょうか。西白井駅に乗入れたちばにうのバスも1時間に1便程度で時間に余裕のあるときか、出かけるときに利用できるバスがあれば”北総線代わりに”利用している人が多いのではないでしょうか。

 

 西白井駅へのちばにうの乗り入れで少し選択肢が増え、バスを使い始めた人もいたかもしれません。今回の改正でナッシー号の利用者が北総線に乗り換えることはほとんどいないでしょうから選択肢を奪われてちばにうを利用する人が増える可能性はあると思います。

 

 足腰が衰えて駅のバス停まで行くのが困難な人の中にはマイカーに戻る人が出てくる可能性があります。社会が高齢者の公共交通の利用を促しているときに今回のナッシー号の改正は逆行するような奇策です。

 

 交通ネットワークの維持という建前ですが、実態は事業者の支援が目的なのではないでしょうか。全国の自治体で赤字の路線バスに補助金を投入していますが、どこも利用者が増えるどころか減少傾向に歯止めがかからずに補助金が毎年、増え続けています。とても持続可能な政策とは思えません。

 

 始めたらやめられない、問題先送りしかできない日本の行政組織と選挙だけで行動する政治家の責任は重いように思います。挙句に彼らは結果責任を負いませんから質が悪すぎます。政策ミスで増えた支出のツケは税金や行政サービスの低下という形で市民に回ってきます。

 

 コミュニティバスの法律的な建付けは路線バスの補完かもしれませんが、コミュニティバスの運行委託費が自立運営を原則にしている路線バス事業者への補助金代わりになるようなことは許されないと思います。

 

 🔗コミュニティバスの導入に関するガイドライン

 

 とりわけ、ナッシー号の運行開始後に新設された千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅直通便については採算が改善する見込みがないなら、潔く撤退するべきだと思います。2社の新路線については、少なくとも白井地区では住民の要望で始まった事業ではありません。

 

 千葉ニュータウン地区の住民の交通利便性のために運行を始めた事業の採算の帳尻を白井の住民に負わせるような真似は許されないと思います。とりわけ、ちばレインボーバスは北総鉄道の代理戦争に参戦している感があります。

 

 ナッシー号の新鎌ヶ谷直通便が北総鉄道にマイナスだとしても前記ガイドラインには「公的資金によって支えられるコミュニティバスは、自立運営を原則とする路線バスを補完し、これと一体となって当該地域の交通ネットワークの一部を形成するものであることから、その導入にあたっては、路線、区域、運行時刻等において路線バスとの整合性を図るよう十分留意する必要がある。」と書かれており、鉄道への影響を配慮することを求めていません。

 

 前回のナッシー号のルート改正で白井駅からの新鎌ヶ谷駅直通便が廃止され、今回の改正で西白井駅からの新鎌ヶ谷駅直通便も廃止されます。これだけの後方支援を受けてもコロナ後に2社の路線バスの収支が改善しない場合は自立運営できない事業として撤退するべきだと思います。元々、路線バスの開通前からナッシー号が走っていた路線です。ガイドラインの趣旨も民間の事業者が自立運営できない路線はコミュニティバスでということだと思います。

 

 白井の場合は鉄道事業者とコミュニティバス事業者を分離するべきだと思います。鉄道事業との利害調整のためにコミュニティバスの運行が歪められて市民の交通利便性が低下するような状況が容認されるべきではありません。

 

 印西のコミュニティバスが新鎌ヶ谷への直通便を運行することはないでしょうし、鎌ヶ谷のコミュニティバスはそもそも北総線と競合しません。北総線の利用者に影響を与えるコミュニティバスは白井だけです。路線バスとの重複だとか運賃が路線バスより安いという議論が行われているのもおそらく白井市だけではないでしょうか。

 

 印西では北総線を使わないという「脱北」にコミュニティバスが利用される可能性はありません。鎌ヶ谷はそもそも”脱北”の必要性がないだけでなく、北総線以外に運賃の安い鉄道が2路線利用できます。しかし、白井は高額運賃の北総線と貧弱な路線バスしか存在しません。

 

 白井の住民の脱北は必然の行為です。鎌ヶ谷寄りの地区なら車で10分もかからずに新鎌ヶ谷駅に行けます。だから、マイカー利用者が減らないという側面もあります。

 

 印西も鎌ヶ谷も白井同様、京成グループの事業者がコミュニティバスを運行していますが、白井以外の地区でコミュニティバスの運賃が安すぎるという話を聞いたことがありません。コミュニティバスはほとんどの自治体で距離に関係ない低料金の定額制が採用されています。

 

 都バスも定額制です。エリアのどこに住んでいても距離に関係なくバスが利用できるというのは様々な分野に拡がるサブスクリプションという時代の流れに沿うものです。定額制は事業者にとってもバスの利用者を維持するための方策なのだと思います。同じ区間で二つの路線バスが定額制と距離制で競えばどちらを利用者が選ぶかは明らかだと思います。

 

 印西と鎌ヶ谷市のコミュニティバスの運賃は100円です。これらの地域で京成のバス事業者がコミュニティバスの運賃を問題視するような発言をしたのを聞いたことはありません。もし、割に合わない商売ならコミュティバス事業から撤退したらどうでしょうか。

 

 鎌ヶ谷市については新京成電鉄と東武の2つの事業者が低料金で鉄道を走らせており、競争原理が機能していることで路線バス事業者がコミュニティバスの運賃が安すぎるという意見が出しにくい環境があると思います。

 

 印西市についてはコミュニティバスが北総線の利用者に影響を与える可能性はないと思います。コミュニティバスの運行は事業者にとってもリスクのない安定収入源です。

 

 路線バスとコミュニティバスを同一事業者が運行している場合、コミュニティバス事業の収益は路線バス事業の補填となっている可能性があります。コミュニティバスは利用者が減って縮小される可能性はあっても事業者側が赤字になることはありません。

 

 京成の路線バスの運転手とコミュニティバスの運転手は兼務でしょうから利用者が減っても運行経費と利益が確保できるコミュニティバスは経営を維持する上で事業者にとって魅力的な事業のはずです。コロナ禍で路線バスの収入が減少し、事業者の収入に占めるコミュニティバスの委託収入のウェートが高くなっているのではないでしょうか。

 

 コロナ禍で利用者が減っているのは路線バスだけでなく、コミュニティバスも同じはずです。それなのになぜこの時期にコミュティバスの5割増しの増便が必要なのか全く理解できません。まして、多くの事業者は運転手不足のためにやむなく減便等による路線の縮小に追い込まれています。

 

 おそらく京成も同じ状況だと思います。本来ならコミュニティバスも利用者の少ないルートを見直して利用状況に合ったルートと運行ダイヤに改善するのが先だと思います。その上で交通弱者や交通空白地帯の利便性を優先するというなら話が分かります。

 

 実際にちばレインボーバスは「採算面でいえば、当社の白井市内を走る路線バスは、程度こそ違え全て赤字ですが、交通のネットワークとして維持をするという考えで、他の路線や他の事業により補てんし維持しております。」(令和2年度第2回白井市地域公共交通活性化協議会の議事録概要より)と説明しています。

  

 事業者は路線バスの収支が悪化すれば、簡単に便数を減らしています。それなのにナッシー号のルート改正では利用者が減少することを認識しながら1.5倍の増便後の収支率さえ問われても即答できない市の無責任ぶりには呆れてしまいます。運転手不足で路線バスを減便せざるを得ない事業者がコミュニティバスの5割アップの増便要請にどうして応えることができるのか不思議です。重複ルートは削減してほしいけど委託費は増やしてほしいという数式の解が増便だったとしか思えません。

 

 「収支率については、現在具体的な数値としては捉えておりませんが、一番利用者の多い西ルートの新鎌ケ谷行きを無くすことで収支率は下がるであろうと考えておりますが、計画の方針として民間路線バスとの役割分担、交通弱者の足の確保というコミュニティバスの使命を優先し、ルートを設定しているものであり、収支率を一番の目的とはしていないところでもあります。しかしながら、当然収支率についても考えていかなければなりませんので、北ルートの桜台方面への移動の確保や便数を増やすことによる利便性の向上をもとに、利用客の増加に努めたいと考えています。(「平成31年度第2回白井市地域公共交通活性化協議会 」での事務局答弁)

 

 次に開かれた令和2年度第1回白井市地域公共交通活性化協議会になってやっと収支率や市民の負担額を示す資料が開示されましたが、おそらく京成側から資料の提供を受けたものと思われます。収支率が一番ではないとしても普段から収支率くらいは市として把握しておくべきです。事業者にお聞きしないと何も分からないのかもしれません。

 

 しかし、上記答弁で新鎌ヶ谷駅直通便の廃止と北ルートの千葉ニュータウン中央駅への延伸ありきだったことがわかります。南ルートの住民からの新鎌ヶ谷駅直通便の復活の要望は門前払いしておいて北ルートの千葉ニュータウン中央への延伸について住民から強い要望があったようにも思えず、根拠があいまいなままなぜ増便を強行する必要があるのでしょうか。前者の確実な減収を後者の増便で少しカバーできればという程度の根拠の乏しい政策が不可避の決定事項だったのでしょう。

 

 最も違和感を覚えるのは「現行の運行経費水準を極端に増大することなく、運行本数を増便する」という市の方針です。なぜ、“極端に”という形容詞を付けたのでしょうか。おそらく、運行経費が大幅に増えることに対する責任追及を回避するための伏線なのではないかと思います。

 

 運行経費が高すぎると追及されたときに「確かに運行経費は大幅に増えておりますが、最初のお約束通り“極端に”増大しているとまでは言えません。市民の要望に応えて大幅な増便を実現しており、交通空白地帯の解消と交通弱者の方の救済につながっているものと確信しています。」とでも市長が答弁しそうです。どこかの国の官房長官の発言のようですね。

 

 要は前回の改正時に使われた「民間にできることは民間で」というフレーズと変わらない幼稚な言い訳のように思います。そして「ナッシー号は路線バスの補完」、「民間路線バスとの役割分担」というフレーズも同じことだろうと思います。前回の「民間にできることは民間で」という政策でもちばレインボーバスの利用者が増えていないのに、利害調整のためにさらに市民の交通利便性を差し出すような改正を強行する行政の無能さには驚かされます。

 

 こうした政策は事業者への配慮もしくは忖度から生まれているように思います。ナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートの廃止により西白井地区の新鎌ヶ谷駅へのバス便の全体の本数が減少します。ナッシー号を利用していた通学生には打撃になります。期限切れが近づいている通学定期の値下げ問題では今回の改正が北総鉄道には有利に働くことが予想されます。

 

 直近の決算報告で北総鉄道は値下げを表明していますが、前回の値下げ同様、通学定期の値下げを人質にして補助金を前提にした値下げを要求して来る可能性があります。

 

 鎌ヶ谷市長時代に北総線の高額運賃問題に熱心だったとはとても思えず、かつて北総線沿線の千葉ニュータウン内の自治体だけが実施していた通学定期代の補助問題に関心を持っていたとは思えない前鎌ヶ谷市長が維新からの衆院選出馬を表明し、その重要政策として唐突に北総線の値下げ問題を掲げ、「”まずは”通学定期を半額に。京成本線並みに」と主張しています。”まずは”だけ終わる可能性が大です。選挙の度に繰り返される政治家のパフォーマンスとデジャブにはうんざりしています。

 

 国会で北総線問題を取り上げた議員は過去に何人もいます。古くは自民党(後にみんなの党)の水野賢一氏が北総線問題に一時熱心でしたが、なぜ民鉄線方式で建設された鉄道の事業者が多額の支払利息で大赤字になるのかという根本の原因を理解しないまま運賃が高額だという市民感情だけで北総線問題に取り組んでいたために巨額の負債を盾にする国や事業者を追及することができませんでした。

 

 民鉄線方式で鉄道建設を行っていた鉄道運輸機構の償還のしくみを理解していれば、初期に多額の支払利息がなぜ発生し、後半には急激に支払利息が減少するということが分かったはずです。問題の所在が支払利息でなく、支払利息と反比例して急激に膨らむ元金の償還だということを理解できたはずです。北総鉄道の問題は高額運賃を維持するために必要な資本増強を拒否して利益を垂れ流してきたことです。

 

 公明党の副代表の斉藤鉄夫氏が国会で質問する姿がテレビ中継されたこともありました。最近では、元衆議院議員の共産党の斉藤和子氏が「北総鉄道の運賃に関する質問主意書」を政府に提出しています。もともと北総線の高額運賃に関心があったとは思えない元鎌ヶ谷市長が仮に国会議員となっても聞く耳を持たない政府や役所に対処できるとは思えません。まして、政権にしがみつかなくては何もできない、野党と共闘できない維新に期待するのは無意味だろうと思います。

 

 今回の改正は西白井駅もしくは西白井駅ルートの交通利便性を下げるのが目的ではないかとすら思えます。なぜ北ルートの交通利便性をこれほどまで優先するのかという疑問も残ります。この地域の住民と強い利害関係を持った有力者でもいるのでしょうか。

 

 今回のルート改正は北総線からの脱北を市が取り締まるような政策です。しかし、賢い市民はますますマイカーに依存することになるでしょう。北総線?ナッシー号?関係ねぇや、好きにすればというのが大方の市民の感覚だろうと思います。

 

 ナッシー号の運賃が安すぎるはずなのにちばにうの運賃はナッシー号より安い区間があります。例えば、白井駅⇔市役所の運賃は120円です。西白井駅⇔新鎌ヶ谷駅の運賃はナッシー号と同額の150円です。一方でちばレインボーバスの白井駅⇔新鎌ヶ谷駅の運賃は250円です。

 

 ちばレインボーバスはICカードが利用できる、新鎌ヶ谷駅のバス停が改札に近いという点でちばにうに比べて優位な立場にあります。これで運賃を下げれば、勝利間違いなしのようにさえ思います。

 

 ちばにうに対抗して新路線を開業したはずなのにやることがちぐはぐですね。本当にやる気があるのか疑問です。この状況の中でナッシー号の新鎌ヶ谷駅直行便が廃止されてもちばレインボーバスの利用者が増えるとは到底、思えません。運賃を下げても収支改善に貢献しないと考えているのでしょうか。しかし、利用者が増えなければ収入も増えません。

 

 おそらく、目的は市と同じで北総線からの脱北につながるナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通ルートをできるだけつぶすことが目的なのかもしれません。路線バスの補完であるコミュニティバスは市内を走っていろと言うためにこの路線を維持しているのかもしれません。

 

 でも市外の千葉ニュータウン中央駅は市境からの距離が短い(新設される北ルートからの千葉ニュータウン中央駅までの運行時間と距離は廃止される西ルートからの新鎌ヶ谷駅までの運行時間と距離より長いという矛盾が説明できていませんが)から例外ですという説明はオリンピックのバブル対策の例外扱いと同じ類です。今回の改正で東ルートから北ルートに変更される桜台の既存のバス停が千葉ニュータウン中央駅の駅圏だという説明をする市職員の忠誠心には驚かされます。きっと問い合わせたら見解の相違とでも答えることでしょう。

 

 もう一つの疑問があります。桜台にはちばうとちばレインボーバスの路線バスのバス停がありますから桜台⇔千葉ニュータウン中央駅は明らかに重複ルートのはずです。民間バスとの役割分担の観点からすれば本来なら桜台⇔千葉ニュータウン中央駅は路線バスを利用してもらうのが筋だと思います。

 

 ちばレインボーバスの路線は高花線を延伸することで始まった新鎌ヶ谷駅直行便がちばにうに対抗して白井駅に停車する形になったものです。その名残で今でも土休日だけ高花⇔新鎌ヶ谷駅の直行便(高花線)が3便運行されています。京成は駅のロータリーを独占する政策をとっていますからちばにうが白井駅北口を占有使用することが許せなかったのかもしれません。

 

 京成はちばレインボーバスの運賃を下げて北総線の利用者に影響が及ぶことを望んでいないのかもしれません。昨年のちばにうの値上げで千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅間の運賃がちばにうより30円安くなったことはちばレインボーバスにとってプラスでしょう。私は前回のブログでちばにうが撤退したら、ちばレインボーバスも撤退するだろうと書きましたが、駅のロータリーのバス停の確保とナッシー号の新鎌ヶ谷駅直通便の復活を阻止するための口実に路線を維持する可能性があるかもしれません。

 

 京成は西白井駅もコミュニティバスのバス停を含めて3つのバス停を確保しています。ちばにう(鎌ヶ谷観光)のバス停はコミュニティバスとの共用です。新鎌ヶ谷駅の改札側のロータリーの3つのバス停も京成のバス停です。3つのバス停のうち、コミュニティバスのバス停は一部のルートを委託されている鎌ヶ谷観光との共用です。

 

 こうしたことを考えるとバス停の確保のために収支に関係なく路線が維持される可能性の方が高いのかもしれません。駅のロータリーのバス停を制する者が競争を制するという社是があるのかもしれません。会社の方針を守れない人間は脱落者扱いされるとしたら社員は必死になることでしょう。同情はしませんが、日本の大企業のサラリーマンの大半が社畜ですからやむを得ないのかもしれません。最近は、人事権を握られた議員や官僚も社畜と変わりません。矜持とかプライドはお金になりません。

 

 仮にちばにうが撤退したとしてもナッシー号を路線バスの補完であるという制約でしばるために路線バスを維持する可能性があるかもしれません。その代わり、便数を減らしたり、運賃を上げたりするのかもしれません。この路線はもともと千葉ニュータウン地区の高花線の内部補助で成り立っているようですから生かさず殺さずということになるかもしれません。

 

 そうなると私たち市民が交通利便性を改善するためには北総線の高額運賃を支え続けている行政を変える必要があります。それには次の選挙で京成側の候補者に投票しないことだと思います。白井の交通政策を変えるためには事業者や連合との利害関係で動く政治家に投票するのをやめるべきだと思います。ただし、維新は信用でできません。

 

 白井の交通利便性を上げるためにそろそろバス事業で京成以外の事業者と提携して京成の利害から離れた市民のための交通ネットワークを形成する時期に来ていると思います。

 

 北総線は通勤・通学路線です。バスは生活路線です。幸いにして白井は地理的に“脱北”が可能なエリアです。白井の新しい路線バスは新鎌ヶ谷駅と市内を頻繁に短時間で運行する循環型の路線にすることが望ましいと思います。

 

 地区によっては循環型以外の路線バスの設定が必要かもしれませんが、コミュニティバスは循環型路線バスの交通結節点に接続する形が考えられます。“脱北”と“忘北”にこそ白井の活路があると思います。

 

 北総線の前身の公団線が京成グループによる一体的な運営が望ましいという理由でペーパーカンパニーの千葉ニュータウン鉄道に売却されましたが、この決定が誤っていたことは明らかです。この売却が北総鉄道の高額運賃の維持の役割を果たしてきたことは紛れもない事実です。

 

 ここでは触れませんが、公団線の買収原資となったのは北総鉄道の余剰金でしたから北総鉄道が公団線を買収することもできましたが、京成にとってどちらが得かという判断で千葉ニュータウン鉄道名義で買収するスキームを選択しただけの話です。

 

 現在、バス事業も京成グループによって一体的に運営されているために北総線に配慮した運営が行政を巻き込んで続けられています。そのために、今回のような市民を無視したコミュニティバスのルート改正が行われているという不都合な事実を認識してもらうのが今回のブログの狙いです。誰か任せにしていては何も変わりません。