日曜日の昼過ぎに国道464号線でちばレインボーバスの北総循環線とすれ違った。後からネットで時刻表を見たら、土休日の北総循環線の運行は12時20分千葉ニュータウン中央駅発、13時10分新鎌ヶ谷駅折り返しのみになっていた。気がつかなかった。
目撃したのは千葉ニュータウン中央駅から新鎌ヶ谷駅に向かうバスだったようだ。乗客はバスの前部座席の男性1人だけだった。貸し切りだ。しかし、日曜日のこの時間の需要を事業者はどう考えているのだろうか。どんな人が千葉ニュータウン中央駅のバス停から乗車し、折り返しの新鎌ヶ谷駅のバス停からどんな人が乗車するのだろうか。途中の白井駅で乗降する人はいるのだろうか。誰のために運行しているのだろうか。
北総線を利用してほしいなら土休日の運行はやめるべきなのではないだろうか。新鎌ヶ谷駅のバス停を維持するための実績作りが目的なのか。新鎌ヶ谷駅のロータリー内には北総循環線・高花線・鎌ヶ谷線の共用バス停、西白井線のバス停、そして鎌ヶ谷市のコミュニティバスのバス停がある。鎌ヶ谷観光がコミュニティバスの一部ルートを運行しているが、すべて京成グループのバス停だ。
バス停を他の事業者に明け渡すわけにはいかないからバス停維持のために涙ぐましい努力が続けられている。バス停を他の事業者と共同利用する余地は十分ある。北総循環線・高花線・鎌ヶ谷線の利用状況からするとバス停を独占する理由が乏しいように思う。利用者が少ない、便数が少ない(とりわけ高花線と鎌ヶ谷線の便数に至っては意味不明だ!)、運賃も安いとは言えない、代替交通機関もあるこの3路線を廃止したとして困る利用者がいるのだろうか。大切なバス停が利用者の利益のために使われずに無駄になっているように思える。誰のためのバス停なのだろうか?
土休日のみ北総循環線と同じバス停から高花線の延長路線が千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅間をノンストップで3往復している。始発設定の新鎌ヶ谷駅でのトイレ休憩をはさんで1時間半ほどかけて1往復している。
高花線は千葉ニュータウン中央駅と高花地区を結ぶ路線バスで高花地区の住民にとってだけでなく、北総鉄道にとっても重要なバス路線なのだろう。平日の通勤時間帯(6~8時)は1時間に4本のバスが走っている。土休日も1時間に3本走っている時間がある。おそらく、採算が取れる路線なのだろう。だから、新鎌ヶ谷駅行きのバスは住民サービスなのか。京成は内部補助に否定的だが、ちばにうとの競争で仕方なく不採算路線を維持しているということか。
以前は土休日に新鎌ヶ谷駅から北総循環線が4本、高花線が5本の計9本が運行されていたが、気がついたら半分以下の4本まで削減されていた。コロナ禍で余裕がなくなったのか。あるいは、一向に利用者が増えないためしびれを切らして運行本数を減らしたのか。ダイヤ改正は昨年の11月16日に実施されていた。
ダイヤ改正後のバス停の時刻表がみすぼらしい。以前の時刻表はカラー印刷の立派で見やすいものだったが、新しい時刻表はExcelで作成した白黒の時刻表を拡大コピーでもしたような代物がガラスの向こうに無造作に貼られている。赤字路線を象徴しているかのようだ。
白井市が民間にできることは民間でと宣言して新鎌ヶ谷駅へのコミュニティバスの乗り入れを縮小し、今年の8月にとうとう新鎌ヶ谷駅への乗り入れを全廃してしまったが、事業者は何の成果も出していない。それどころか路線バスが赤字で苦しいから補助金を出してくれというのが本音なのだろう。
昨年11月20日に開催された白井市地域公共交通活性化協議会の場で学識経験者枠の副会長は「市にとっては予算制約がある中で、ナッシー号についてしっかり交通ネットワークを維持していこうということでこれまで議論を重ねているところですが、今後はここから幅を広げて、これまで路線バスで維持していただいていた地域について、例えば一定程度の補助金を支出して継続させるとか、交通ネットワークを見直していくとか、そういったことも含めてこの場で議論をいただく必要があるのではないかと考えております。 」と発言して事業者を援護している。行政機関の諮問会議での御用学者の役割は行政の追認だからこれは市の考えでもあると思われる。
市は補助金を出す代わりに利用者が激減するようなコミュニティバスのルート改正を実施して「現行の運行経費水準を極端に増大することなく」運行本数を1.5倍に増便して事業者に配慮している。1グループ企業が地域の公共交通(鉄道、路線バス、コミュニティバス)を独占しているからこういうことが起こる。地域住民に自助努力を強いる一方で事業者に不要な支援を続ける行政に対して住民はノーという声を上げなくてはならない。事業者の声を優先する議員にさよならするときだと思う。選挙が待ち遠しい。