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ちばにう試乗の記事

 

 乗り物ニュースという交通系のニュースサイトにちばにうの試乗体験レポートが掲載されていた。

 

 🔗北総線値下げは脅威? 並行するバス路線「生活バスちばにう」に乗ってみた(乗りものニュース)

 

 この記事のライターは実際に試乗したにもかかわらず新鎌ヶ谷駅→白井駅の運賃を間違った金額で紹介していた。実は私も同じように間違った運賃をブログに掲載していたことに気づき、後から訂正している。新鎌ヶ谷駅→白井駅の運賃は昨年の改定で150円から220円に値上げされている。交通分野の記事を専門に書いている人でも間違うのは、運行事業者の鎌ヶ谷観光バスのサイトに掲載されている運賃表がわかりにくいことにも一因があるのかもしれない。ジョルダンの乗換案内で検索しても未だに150円のままになっている。

 

 🔗バス停の時刻表が一番

 

 私は各停の北環状線で新鎌ヶ谷駅⇔西白井駅間しか乗車したことがないので西白井駅より先のバスの実際の乗車状況については知らなかったが、この記事のレポートと私の想像に大きな違いはなかった。

 

 昨日、北総線の運賃値下げ申請が行われて値下げ後の新しい運賃が公表されたが、記事のタイトルのような北総線の運賃がちばにうのバス事業に影響を与えるようなレベルの運賃にはなっていない。この記事の筆者も「大きく値下げとなることはないと予想されます。」と記事を結んでいた。

 

 はしゃいでいるのは自治体の長だけで市民は今回の値下げを冷静に受け止めていることだろう。政治家にとっては成果なのかもしれないが、通学生を持つ親以外の市民の生活は何も変わらない。運賃が少し下がったから電車でも利用しようということにはならない。行政と事業者はシルバー民主主義の是正をめざしているのだろうか。

 

 市民のための交通利便性は何も改善されていないどころか北総線の値下げとバーターのように新鎌ヶ谷駅へのコミュニティバスの直通ルートが廃止され、高齢の利用者の生活利便性が下がってしまっている。ちばにうの西白井駅への乗り入れでせっかく新鎌ヶ谷駅までの便が増えたのにコミュニティバスルートの廃止でバスで新鎌ヶ谷駅まで行く場合はちばにうを利用するしかなくなってしまった。ちばにうのバスを利用するためには駅まで行かねばならず、最寄りのバス停から乗車することができなくなった足腰の弱い高齢者には大きな負担だ。鉄道よりバスの方がコストだけでなく、体力面でも高齢者にはやさしい。

 

 本来、高額運賃の北総線の代替バスという観点だけで路線バスを考えるべきではないと思う。北総線は通勤・通学を主体とする公共交通機関であり、路線バスは駅を基点として生活利便施設を結ぶ地域住民全体の交通利便性を担う交通機関だと思う。

 

 速達性、定時性、輸送力のすべてにおいて鉄道に劣る路線バスの目的は地域住民の生活環境を向上させるツールにすぎないように思う。しかしながら、一事業グループが鉄道、路線バス、コミュニティバスのすべての運行を独占しているために鉄道からの利益を最優先して利用者の交通利便性が疎かにされている現実がある。そして、行政が事業者の意向を優先する国や議員に忖度して交通行政を歪め、市民のための交通利便性の阻害要因になっている。

 

 路線バスの交通利便性を考えるときに目的地に応じた最寄り駅までリーズナブルな運賃で行けるというのは最低限度の条件であり、それだけでなくよく利用する公共機関、ショッピングセンター等の生活利便施設を結び簡単にアクセスできることが重要だ。今、マイカーを利用することで生活に支障のない人もいずれ車を手放す日が来る。その時に足腰の衰えた高齢者を支える交通機関として路線バスの役割は大きい。

 

 自分たちの都合だけで共存共栄関係を構築しようとしない事業者はいらない。市民の交通利便性に寄与しないコミュニティバスや赤字の路線バスの維持はやめるべきだと思う。市民目線の路線バスの再構築は不可欠だと思う。現状を維持するために補助金を要求するような事業者とはさようならするべきだと思う。法外な利益を上げ続け、相手の弱みに付け込むような値下げしかしようとしない事業者に怒りをぶつけるべきだ。誰か任せの市民が変わらなければ何も変わらない。