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副駅名称看板をクラウドファンディングで調達?~看板に偽りあり

 

 昨日、2月1日発行の公報がポストに投函されていた。一面の見出しに『北総線「白井駅・西白井駅」に副駅名称看板を設置する資金調達(クラウドファンディング)で総額4,446,350円が寄せられました!誠にありがとうございます!』という文字が躍っていた。

 

 私は副駅名称看板設置資金を市がクラウドファンディングで募集していることを知らなかった。副駅名に関心がある人がそんなにいるのだと感心してしまった。

 

 白井駅が「ときめき 梨の里」、西白井駅が「梨も騎手も育つ街」という副駅名に正直、う~んという感じだ。ときめきという言葉はいらないように思う。「騎手も育つ」というが、市内で騎手の姿を目撃したことは一度もない。

 

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 看板のデザインもオリンピックやラグビーを支援する目的で作られた特別仕様のナンバープレートのようだ。人それぞれ好みがあるが、看板を見てどれだけ“ときめく”人がいるだろうか。

 

 副駅名の名称や看板のデザインに関わった人たちを批判するつもりは毛頭ない。そもそも副駅名自体の必要性がわからない。高額の運賃のまま北総線のイメージを変えたいのだろうか。外部から見たときに市と市民が北総鉄道を応援しているようなイメージ作戦なのだろうか。

 

 ついこの間も公園にコロナ対策への協力を呼びかける看板で注目を集めたばかりなのに市のセンスには疑問符が付くことが多すぎる。市民のためではなく、特定の事業者を支援するために市民の利益を犠牲にするような施策ばかりだ。施策の必要性の理由もこじつけであることが多い。

 

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 市のホームページで改めて資金調達の内容を確認してみた。広報では「目標を達成できました。」となっていたが、当初目標金額は6,000,000円だから達成率74.1%、1,553,650円の不足ではないのだろうか。本来は「目標は残念ながら未達でしたが、創意工夫で看板設置費用を抑える等により本事業を実施します。寄付をいただいた皆様には心より感謝申し上げます。」とでも公報に記載するべきなのだろう。

 

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 目標額のうちクラウドファンディングの目標額は3,420,000円で実際に集まった資金は1,127,000円。達成率は32.9%(支援者91人)だ。野球の世界では打率3割2分9厘なら高成績だろうが、企業の懸賞キャンペーンなら成績不振で営業担当者は別室に呼ばれているだろう。

 

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 しかも、11月29日現在の集計で市窓口受領額165,000円が含まれている。クラウドファンディングで寄付金を窓口で受領するしくみがあるのだろうか。同じサイトの進行中のプロジェクトで「対応している決済方法」に自治体が郵送する払込取扱票で支払う郵便振替が掲載されていたが、窓口受領の項目はない。窓口で受領するなら市の通常の寄付と変わらないのではないだろうか。

 

 クラウドファンディングの経費相当額(見込)は346,455円だ。受領額の3割程度が経費として引かれて残る正味受領額は780,545円だ。

 

 かんぽ生命や保険会社では社員がキャンペーンの目標達成のために自ら保険に加入するのはまれではない。市の職員や事業者の従業員も寄付をしているのではないだろうか。

 

 企業の粉飾決算や役所の不正統計も根は同じところにある。数字を操作して計画を達成しようとするのはたいてい上層部のイエスマンや洗脳された幹部が自分の保身から同調圧に弱い部下を叱咤激励することから生じている。数字は実態を表していないことが多い。今だけなんとかなればという人間が組織の中には多い。

 

 しかし、クラウドファンディングのサイトに掲載された白井市の副駅名看板を見て91人の人が寄付したというのはある意味驚きだ。看板のデザインを見ても説明を読んでも心に響かない。

 

 おそらく、事前に副駅名のことを知らなければ駅のホームで看板を見た人が副駅名に気づくことはないだろうと思う。そもそも「ときめき 梨の里駅」とか、「梨も騎手も育つ駅」とか言う表記でなければ副駅名として認識する人はいないだろう。単なる標語にしか見えない。それくらいなら、ありふれた「梨の里 白井へようこそ」という文言にした方が来訪者に市の名産物をストレートに伝えることができるのではないだろうか。

 

 私はときどきクラウドファンディングの寄付を利用することがあるが、それは提案している製品が他では買えないものでダメもとでも応援したいという気持ちが湧いたときに思わずクリックしている。ダメもとだから完成して送られてきた商品が期待外れでもしょうがないと諦めがつく。

 

 今回、寄付した人は鉄道マニアか、返礼品目当てなのだろうか。驚いたのは「遠山珈琲 コーヒー5種類 年12回お届け」100,000円が品切れ中になっていたことだ。看板プロジェクトに感激してこんな高額の寄付をする人はいないだろうからよほどのコーヒー好きなのだろう。私が寄付するとしたら「しろいの自然薯1㎏」10,000円だろうか。

 

 しくみはふるさと納税と変わらない。私はふるさと納税の制度自体が嫌いだからふるさと納税を利用したことがない。今回の寄付で大きなウェート占めているのがふるさと納税だ。実に寄付金受取額の74.6%の3,319,350円がふるさと納税によるものだ。

 

 先程の目標額6,000,000円からクラウドファンディング目標額3,420,000円を控除した差額2.580,000円が寄付金目標額なのかと思ったら、既寄付金受領額が2.580,000円となっていたので目標額に足りない分をクラウドファンディングで集めようとしたようだ。

 

 市のホームページには「ふるさと納税受領額には、企業版ふるさと納税の充当額を含みます。」と記載されている。

 

 私は企業版ふるさと納税なるものの存在を初めて知った。ネットで調べたら「企業版ふるさと納税の登場によって、新たに寄付額の3割が控除され、あわせて税負担の軽減効果が2倍の約6割となったのがポイントです。例えば、企業が1,000万円の寄付をすると実質負担額は約400万円でよいことになります。」と書いてあった。あ~あという感じだ。

 

 私がもし、プロジェクトの関係者だったら市や事業者の取引先に寄付で6割の税金が軽減されますから一口お願いしますよと言うかもしれない。看板プロジェクトへ寄付した人を洗い出したら大半が市や事業者の関係者ということでないことを願うばかりだ。

 

 安倍政権以降、成果は上げるものではなく、創るものだということになってしまった。国が発表するGDPを信じる人はそのうちいなくなることだろう。政治のビジネス化、政治家のサラリーマン化が止まらない。保身と同調圧はいつまで経ってもなくならない。