北総線の入口とも言える西白井駅のロータリーには鎌ヶ谷大仏行き、七次台行き、ナッシー号(コミュニティバス)・北環状線(千葉ニュータウン中央⇔新鎌ヶ谷駅)の3つのバス停がある。
西白井駅を利用する住民の生活圏は北総線沿線のはずなのになぜ遠く離れた新京成線の鎌ヶ谷大仏行きのバス停があるのだろうかという疑問どころか、鎌ヶ谷大仏行きのバスが西白井駅から運行されていることに私は長らく気づかなかった。
現在では、津田沼方面に行く場合は新鎌ヶ谷駅で乗換えるのが普通だろうから鎌ヶ谷大仏行きのバスを利用する人は限られているはずだ。とても採算が取れる路線とは考えられない。それでも京成が路線を維持する狙いは、おそらく別のところにあるのだろう。
鎌ヶ谷大仏行きと七次台行きは船橋新京成バスが運行し、ナッシー号は同じ京成グループのちばレインボーバスとの2社による共同運行だ。北環状線は、鎌ヶ谷市でも同じ京成2社がメインで運行しているききょう号(コミュニティバス)の一部を運行している鎌ヶ谷観光がちばにうの名称で運行している。
新鎌ヶ谷駅北口ロータリーのバス停の場合は、鎌ヶ谷観光はききょう号のバス停を運行事業者として共用しているにすぎない。西白井駅では駅の改札から最も遠いバス停が北環状線とナッシー号の共同バス停になっている。
船橋新京成バスは駅から近い2つのバス停を先行事業者として占有している。しかし、鎌ヶ谷大仏行きと七次台行きのバスの実態は1つの路線と考えられる。2つの路線は七次台⇔鎌ヶ谷大仏間の区間を切り分けているにすぎない。
七次台⇔鎌ヶ谷大仏が鎌10として運行され、西白井駅⇔鎌ヶ谷大仏が鎌12として運行されている。他に平日の朝の通勤時間帯だけ運行する七次台→西白井駅の西白01がある。鎌12と西白01は共に西白井駅を終点とした鎌10の路線の一部にすぎない。こうした路線の切り分けは日中の利用者の少ない七次台⇔西白井駅間の運行を減らすために採られたものだろう。
平日の七次台行きの終バスが19時35分というのは厳しい気もするが、おそらく家族のマイカーによる迎車か、自転車を利用しているのだろうか。雨の日の自転車通勤はちょっと辛い。あるいは、駅までの徒歩通勤を健康のためにと前向きに転化している人もいるのかもしれない。しかし、結局、公共交通機関の利用者が減少し、マイカー利用を後押しすることになるのだろう。
こうしたことを考えると実質的に1路線を運行しているバス事業者に2つのバス停を占有する理由は見当たらない。2つのバス停の運行本数からして1つのバス停で十分運行可能なことは、2事業者の共同バス停であるナッシー号・北環状線のバス停の運行本数を見れば明らかだろう。この路線は鎌ヶ谷大仏⇔北総白井病院の鎌01の内部補助路線なのだろう。
新鎌ヶ谷駅の北口ロータリーのバス停もちばレインボーバスが運行する北総環状線と鎌ヶ谷線のバスの運行状況はバス停を占有するための口実としか思えない。この2つの路線は鎌ヶ谷線と千葉ニュータウン内を運行する高花線のそれぞれの延長路線で典型的な内部補助になっている。自社路線の駅への新規参入を排除するのが京成の鉄則になっているようだ。
市は「白井駅・西白井駅周辺地域の活性化に関する協定」を事業者と締結して白井駅・西白井駅周辺地域のにぎわいづくりを進めるというが、肝心の市民からの視点が全く感じられない。市の交通政策は事業者の意向を忖度するようなものばかりだ。
北総線の10月からの値下げで西白井駅から1駅の新鎌ヶ谷駅までの運賃はわずか30円しか下がらない。通学定期が大幅に下がることを強調して選挙での支持につなげたい議員がいる。しかし、北総線を通学で利用している人たちが一体、どれだけいるだろうか。彼らもいずれ社会人になれば通学定期割引の恩恵は受けられない。
これまでも通学定期利用者に対する補助金、通学定期の割引を維持するための事業者への補助金という形で多額の税金が注ぎ込まれてきたが、北総線を利用している一般の利用者に対する施策は何ら行われてこなかった。
それどころか、北総線に配慮して日中の新鎌ヶ谷駅への代替交通として高齢者が利用していたナッシー号の新鎌ヶ谷駅への乗り入れも昨年7月末で廃止されてしまった。代替交通の役割を担うちばにうの北環状線のバス停は駅の改札から最も遠いバス停のままでナッシー号との共同バス停だ。
少なくとも運行本数の少ない七次台行きのバス停にナッシー号のバス停を移すくらいの調整を市は積極的に行うべきだ。七次台行きとナッシー号の運行事業者は京成なのだから合理性のある施策だと考えられる。何の役にも立たない北総線の副駅名や駅のホームのガラス張りの待合室などいらない。
市は市民の交通利便性をないがしろにした交通施策をいつまで続けるつもりだろうか。昨年8月のナッシー号のルート改正後に市内で見かけたナッシー号に2人以上乗っているのを私は目撃したことがない。
ふとナッシー号のルート改正で七次台の住民の人たちはどうなったのだろうかという疑問が湧いた。七次台はどう考えても西白井駅が最寄り駅のはずだ。だから、西白井駅と七次台を結ぶ路線バスがある。しかし、ルート改正でナッシー号を利用したときの最寄り駅は白井駅になってしまっている。
七次台3丁目でナッシー号の西ルート(下図の山吹色のルート)に乗ると西白井駅に向かう途中で清水口3丁目方面に左折して無理やり、白井駅に運ばれてしまう。ショッピングエリアのフォルテ白井経由で10分で白井駅に行けるし、13分で市役所にも行けると住民は喜んでいるのだろうか。西白井駅までは路線バスなら8分で行けるところが、最短で20分、さわやかプラザ軽井沢の温泉経由の便だと26分もかかる。
コミュニティバスは路線バスの補完という理屈で重複ルートを極力減らす努力の結果なのだろうか。利用者側の利便性は置き去りになっている。白井では士農工商犬猫損保ではないが、事上地犬猫市民という序列があるようだ。大企業の民間事業者の意向が一番で二番目が国や県のお上の意向、三番目が選挙につながる地縁関係で市民の声は市政に届かない。ペットの鳴き声以下だ。
なんだか北ルートの交通利便性を上げるのがルート改正の目的だったように思えて来る。しかし、そもそもナッシー号自体の運行本数が少ないから「行きはよいよい 帰りはこわい」ということで結局、あまりナッシー号を利用する人はいないだろうし、関心自体持っていない人の方が多いことだろう。利用していた人の大半がおそらく新鎌ヶ谷駅に行くためだっただろうから、そして誰も乗らなくなったということにならないことを願うばかりだ。有能な役所の人間が英知?と多額の税金を投入したルート改正なのだから…。
今日、464号線の西白井駅入口付近で駅から出てきた11時57分発の千葉ニュータウン中央駅行きの北環状線を目撃したが、乗客は2人だった。一方、駅に入って来た12時13分発の新鎌ヶ谷行きのバスには10人以上乗っていた。バス停にも4~5人待っていた。ナッシー号の新鎌ヶ谷駅乗り入れ廃止の代替として北環状線を利用する人がいるのだろう。
私は、北総線をコロナ対策でたまに利用しているが、バスは最近、まったく利用しなくなってしまった。市の交通政策をマイカー利用の奨励と受け止めた市民もいるのではないだろうか。新鎌ヶ谷駅前に用事があり、時間に余裕があるときは新鎌ヶ谷駅近くまで散歩代わりに徒歩で出かけることもある。こうした行動には、市や議員、そして事業者に対する不信感と反感がある。
北総線の値下げの実現を市民に強く訴えていた議員やナッシー号の過去のルート改正を追及していた議員は議会でナッシー号の採算状況と利用状況の公開を求めるべきだろう。選挙を意識してだんまりを決め込むようなら白井の議会はろくでなしばかりの集まりだと考えざるを得ない。
西白井駅前に新しく完成したマンションにはもうベランダに洗濯物が干されていたが、まだ完売していないようだ。10月から新鎌ヶ谷駅までの運賃が30円下がるので今が買い時かもしれない。
都内のマンションはコロナ禍でも高騰している。駅近の物件が手頃な価格で買えるのは今だけかもしれない。これは煽っているのではなく、先住民からの警告だ。私は白井に移り住んで以来、地価は下がるばかりだ。塩漬けで売るに売れず、脱北の機会を失ってしまった。流山にしとけばよかったのだろうか。トップが変われば、白井も将来、人気の街になることがあるだろうか?