前回 の「鉄道統計年報の正誤表が教えてくれること~京成と国交省の悪だくみ(4)」というブログで成田空港線の実績を調べたが、ふと、成田空港線の認可申請時のデータと実績を比較してみたくなった。
下の表が認可申請時に提出された収入原価表と鉄道統計年表のデータを比較したものだ。2012(平成24)年度の鉄道統計年報の収入計が8,575百万円となっているが、収入原価表の同年度の見込みの収入計は11,671百万円となっているので実に3,096百万円も乖離している。
2012(平成24)年度の実績は、年度途中で開業した2010(平成22)年度の数値とあまり変わらない。同年度は通年度の7割超の数値が計上されている。収入原価表には運輸雑収の中に特急料金が含まれていたが、鉄道統計年報の成田空港線の運輸雑収には金額からして特急料金が含まれていないことは確実だ。
収入原価表では収入計の三分の一の特急料金収入が見込まれている。この比率から逆算すると2019年度の特急料金を含めた収入計は22,887百万円に及ぶ。特急料金収入は7,629百万円にもなる。もし、この推計が正しいならば、京成や鉄道局が運輸雑収から特急料金を外したいと考えても不思議ではない。
しかし、京成全体の運輸雑収の規模からして運輸雑収という科目には成田空港線の分が計上されていないように思われる。京成全体の定期外運輸収入の中に計上されているのだろうか。特急料金の行方は不明だ。無論、認可申請時の収入原価表の見込みが杜撰だった可能性も排除できない。
いずれにしろ、彼らは信用できない。鉄道に限らず、様々な業界でも国民に知られたくない不都合な情報があるのだろう。規制緩和は国民の利益のためではなく、事業者の利益のために行われていると考えるべきだ。事業者の自主性に委ねる自由化は必ずしも国民のためではないことを肝に銘じるべきだ。