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貸切バスのようなナッシー号

 

 1225分頃、国道464号線を横切って西白井駅に向かうナッシーを目撃。バスの中に高齢の夫婦らしい男女二人の姿が見えた。おそらく、グランピア西白前より手前のバス停で乗車したのだろう。なぜなら、グランピア西白井前から先のバス停でナッシー号に乗って西白井駅に行く地元の住民を想像できないからだ。

 

グランピア西白井前より手前のバス停で乗った人も歩くのを苦にしないなら、駅を迂回するようなルートを避けてグランピア西白前で下車するのが賢明だろう。

 

この西ルート(往路)は去年の7月までは新鎌ヶ谷駅への直通ルートで、この時間帯はいつも満席で時には立っているのがやっとだったこともある。それが今では、空か今日みたいな貸切状態が続いている。おそらく、グランピア西白井前から先のルートをカットしてもこの地域の住民は誰も文句を言わないのではないだろうか。西白井駅への速達性も高まる。

 

ナッシー号に乗って新鎌ヶ谷駅へ行っていた高齢者が西白井駅で北総線か、ちばにうの路線バスに乗り換えるという選択は負担が大きすぎる。足腰が衰えた高齢者の場合、駅のロータリーを歩いてホームまで行くのはエレベーターを利用したとしても負担が大きい。そして何よりも金銭負担が大きく、従来の2倍~3倍の金額になってしまう。

 

西白井駅で乗り換えて新鎌ヶ谷駅まで行く場合の往復運賃は以下のようになる。

 

(路線バスに乗り換える場合)
ナッシー号ちばにうの路線バス=150×2150×2=600


(
北総線に乗り換える場合)
ナッシー号北総線=150×2309×2=918
10月の北総線の値下げ後
     150
×2279×2=858(往復で60円しか負担が減らない)

 

そして、肉体と金銭の負担だけでなく、乗り換えによる時間ロスのストレスを考えると外出したくなくなることだろう。あるいは、やっぱりマイカーがいいという結論になる。免許を返上した人や車を保有していない高齢者に残された道は外出自粛しか残されていない。足腰が丈夫なら、天気の日に新鎌ヶ谷駅まで歩くという選択肢があるかもしれない。片道3㎞ちょっとだから健康のためにはいいかもしれない。

 

しかし、そもそも1(3.1キロ)の新鎌ヶ谷駅まで918(値下げ後858)をかけて出かける高齢者がどれだけいるだろうか。ナッシー号に乗らずに徒歩で西白井駅まで行ったとしても北総線の運賃は往復で618(値下げ後558)もかかる。夫婦で出かけたら1,232(値下げ後1,116)。ちばにうの路線バスなら運賃は600円なので負担はこれまでと変わらないが、1時間に1便程度しかないので魅力に乏しい。従来は、同じバス停でナッシー号の新鎌ヶ谷駅行きにも乗れた点を考えると実質的に減便と言える。少なくとも、マイカー利用者の代替交通にはならないだろう。

 

西白井駅のロータリーには3つのバス停があり、うち2つを京成の路線バスが占有(現在の運行本数ならバス停は1つで充分間に合う)し、残りのバス停をナッシー号を運行している京成とちばにうの運行事業者である鎌ヶ谷観光が共用している。ちばにうはナッシー号の運行の合間に自社のダイヤを設定せざるを得ない状況にあり、この先便数を増やす余地はあまりないだろう。何か、京成と市による嫌がらせのようにも見える。

 

こうした状況で公共交通機関を利用して夫婦や家族で新鎌ヶ谷駅前に出かけて買い物をする気になるだろうか。それなのに市は市民に北総線の利用を強要している。北総線の微々たる値下げが代案にならないほど、交通利便性が低下しているのに議員は見ざる聞かざる言わざるの体たらくだ。北総線の運賃値下げの実現を煽っていたのはどこの誰だっただろうか。通学定期の値下げを免罪符にしているようにしか見えない。最近は、以前のようにさらなる値下げというフレーズも聞かれなくなった。

 

昨年8月のルート改正後、市内ですれ違ったナッシー号に2人以上乗車しているのを目撃したことがない。9便から20便に増便し、増便の10便が千葉ニュータウン中央駅行きの北ルートの利用者は増えただろうか。上りの新鎌ヶ谷駅ルートを廃止して下りの千葉ニュータウン中央駅行きの便数を改正前の3倍近くに増やしたのだからそれなりに利用者が増えているのだろうか。交通不便地域を運行しているだけで市民に必要とされているバスとは言えない。きちんと市民に結果報告をする義務が市にはある。