最近、読んだ記事があまりに中身がスカスカで北総線のことを「空港アクセス鉄道として」というタイトルをつけるセンスに呆れてしまった。
🔗2022年10月に運賃を大幅値下げ 創立50周年迎えた北総鉄道 ニュータウンの足として、空港アクセス鉄道として【コラム】
文面からすると筆者は鉄道ライターではなく、鉄道についてあまり詳しい知識を持っていないようだ。おそらく、北総鉄道の値下げの記事を書くように依頼されてから北総線の歴史をネットか何かで調べて得たにわか知識で記事を書いたのだろう。とんちんかんな記述が多い。突っ込みどころ満載だ。
記事は「高度成長期の1960~1970年代、日本最大規模で計画された千葉ニュータウンと東京都心を結ぶアクセス鉄道としてスタート。しかし開発は進まず、長く厳しい経営を強いられました。」という受け売りの陳腐な記述から始まっている。
しかし、50年の歴史のうち後半の22年間連続黒字を計上し、その間に債務超過を解消したばかりか、来年度には累積黒字も解消の予定だ。もうそんな歴史解説からいい加減におさらばするときではないだろうか。
「北総鉄道のうち、特殊なのが東側の小室―印旛日本医大間。同区間は千葉ニュータウン鉄道という三セク鉄道が施設を持ち、北総鉄道が乗り入れます。ただし北総鉄道はそうした区分を意識せず、京成高砂―印旛日本医大間を自社路線としています」という記述に至っては、筆者が鉄道のちゃんとした知識がないことを証明しているようなものだ。
千葉ニュータウン鉄道を第三セクターと書いているが、千葉ニュータウン鉄道は京成100%出資のペーパーカンパニーで決して第三セクターなんかではないし、北総鉄道が千葉ニュータウン鉄道の区間に後から乗り入れたわけでもない。そもそも上下分離方式の鉄道で乗り入れるという表現が適切でない。「北総鉄道はそうした区分を意識せず、京成高砂―印旛日本医大間を自社路線として」という記述のおかしさに筆者は気付いていないようだ。
おそらく、鉄道事業の区分を理解していないのだろう。出稿前に鉄道の知識を持った人に内容をチェックしてもらうべきだっただろう。
運行事業者と線路保有事業者の区分をきちんと理解していれば、「スカイライナーは京成、北総、千葉ニュータウン鉄道、成田高速鉄道アクセス、成田空港高速鉄道という5つもの鉄道にまたがって運行されます。こうした複雑怪奇(別に怪奇ではありませんが)な理由、それは千葉県営鉄道、成田新幹線、空港開港後の京成とJRの乗り入れといろいろあるわけですが、紹介はまたの機会に。」という意味不明の雑な記述にならなかっただろう。
内容があまりにお粗末なのでこれ以上の言及は止めることにした。この記事の目的は北総鉄道の応援もしくはPRなのだろうか。それなら、こんなつまらない記事を書くより、沿線の北総鉄道の値下げに好意的な住民や議員の声を拾った方がよほどいいのではないだろうか。運賃値下げ後の街づくりについてインタビューしたらどうだろうか?
この記事の最後に駅周辺地域の活性化策として西白井の副駅名看板についての言及がある。しかし、活性化策?の効果は駅前の新築マンションの販売促進にはつながっていないようだ。
売り出されているマンションは駅から近く、占有面積も広くて価格も手頃で平置き駐車場もある魅力的な物件だと私も思うが、まだ、完売にはなっていないようだ。首都圏のマンションの契約率は70%以上で好調なのになぜ、すぐ売れないのだろうか。通学生を持つ世帯には、通学定期の大幅な値下げは魅力的なはずだ。
🔗北総鉄道の通学定期の値下げについて誰もちゃんと分析しないので調べてみた!
北総線の値下げとは関係なく、若い人が増えることには私も賛成だ。白井の環境は私も悪くないと思うが、日々の生活はマイカーなしでは厳しいと思う。駅から近く、駅前にはスーパーやドラッグストアもあり、隣の3線が乗り入れ、イオン等の大型モールのある新鎌ヶ谷駅まで電車で2分の利便性にもかかわらず、販売されているマンションの平置き駐車場の使用料が安く設定され、セールスポイントになっている理由がマイカーの必要性を裏付けているのではないだろうか。ちなみにイオンの地下駐車場が3時間まで無料なのもマイカー利用者の集客のためだと考えられる。
北総線の白井市内の駅の運賃は、通学定期を除けば、10月の値下げ後も高額のままだ。バスも1時間に1本程度しかないので一般の市民はマイカーを手放せない。高齢化社会が進む中で市の政策は詭弁に満ちており、交通利便性は改善されるどころか、劣化が進んでいるように思う。
私は、コロナ禍の中でときどき北総線を利用しているが、改札を通る前に毎回、Suicaに2千円以上チャージしている。帰りに改札を通ると残高はいつも数百円になっている。定期のない人の懐は厳しい。新鎌ヶ谷駅までの一駅の往復でも618円かかる。10月から558円に大幅に改善?される。北総線に乗る度にSuicaの残高が往復で60円貯まる。通学定期の値下げで白井に住みたくなる人が増えると考えている事業者、市、議員、そして市民もいるようだ。彼らには、沿線の明るい未来が見えるようだ。長渕剛のとんぼの歌が聞こえる。
ああ しあわせのとんぼが ほら 舌を出して 笑ってらぁ
しかし、今回の値下げの恩恵を最も受けるのは、新鎌ヶ谷駅までの沿線の住民かもしれない。鎌ヶ谷や松戸は北総線以外の鉄道があり、これまで北総線の運賃の値下げに熱心ではなかった。だから、過去に千葉ニュータウン地区の自治体が通学定期の助成を行っていたときも北総線の通学生だけを助成することができないという理由で通学生に対する助成を行ってこなかった。
千葉ニュータウン地区以外の沿線住民は、北総線と他線を使い分けることで10月からの値下げの恩恵を受けることができる。これまで運賃が高かったために他線を利用していた通学生には、選択肢が増えることになる。そして、北総線の沿線に住まいを探している通学生を持つ世帯は、家計の負担を考えれば新鎌ヶ谷駅までの物件を選択する可能性があるのではないだろうか。
『日々のニュースを見れば、「値上げ」の3文字があふれかえる昨今の日本。そんな風潮に逆らって、今秋に運賃値下げを予定する鉄道が千葉県にあります。京成高砂―印旛日本医大間32.3キロを結ぶ「北総鉄道」は2022年10月1日、全体平均で15.4%運賃を引き下げます。』という北総鉄道の快挙に震えが止まらない!市民は万歳するしかない!
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