· 

5年連続の人口減 交通利便性の低下にあきれる白井市民 Part Ⅱ~市議会選挙結果から見た北総線値下げに対する評価

 (2023/05/19 更新)

 

 前回は県議会選挙の結果を基に北総線の値下げについて分析してみた。今回は市議会選挙の結果を基に分析してみた。結論から先に書くと市民はもはや北総線のさらなる値下げを期待していないように感じる。白井市民は今回の北総線の値下げを評価していないし、自分たちの議員報酬の値上げのために見ざる聞かざる言わざるになっている議員の保身行動に対して今回の市議会選挙でダメ出しを入れた形だ。

 

 

 これまでこの地域では国政選挙、地方議会選挙にかかわらず、選挙の度に北総線の値下げが最重要争点として取り上げられてきた。一時は、北総線の値下げを求める署名に10万人以上の沿線住民の署名が集まり、超党派で北総線の値下げを実現すると政治家が表明していた。

 

 今となってみれば、その場限りのうそだったと感じる市民が多いだろう。バナナのたたき売りのように3割、5割の値下げが可能だと北実会は主張していたが、23年の月日を費やして新鎌ヶ谷からの普通運賃は1駅目(3.1km)の西白井まで280円(▲30円)、2駅目の白井まで330円(▲50円)に下がっただけだ。

 

 決して3割、5割の値下げが不可能なわけではない。一方、28年度に資金ショートの可能性が報道されている東葉高速鉄道については、運賃の値下げなど不可能だろう。東葉高速鉄道の鉄道運輸機構に対する債務の償還期間は延長が繰り返され、毎年の償還額は減っているが、そのために元本がなかなか減らない状況に陥っている。

 

 👉千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ、金利上昇が追い打ち

 

 鉄道運輸機構への鉄道事業者の償還額には、鉄道運輸機構のすべての経費が上乗せされており、鉄道運輸機構は一切のリスクを負わないしくみになっている。鉄道運輸機構の主な調達資金源である財政投融資資金は25年で借換えになるため、借換え時に鉄道事業者の償還額が見直される。借換え時に金利が上がっていれば、償還額が増えることになる。

 

 北総鉄道の償還期限は平成47年(2035年)なので12年後に完済になるため償還額が大きく変動することはもうない。鉄道運輸機構の民間企業からの借入金や債券の借換えによる影響は大きくない。

 

 鉄道運輸機構の調達資金は元金均等返済方式だが、信じられないことに鉄道事業者の償還は住宅ローンと同じ元利均等方式が採用されている。事業資金を元利均等方式で貸し付けるのは高利貸しのやることだ。元利均等方式は、償還期間の前半は利息の返済が中心となるため、P線方式で建設された鉄道は事業開始時は過大な支払利息の負担で莫大な赤字を抱えることになる。

 

 東葉高速鉄道も現在は利益が出るようになっているのは、元本中心の返済に移行して支払利息の比率が下がっているためだと考えられる。しかし、償還期間の延長で元本の返済が進んでいないために近い将来、資金ショートする可能性があるのだろう。

 

 しかし、東葉高速鉄道は北総鉄道とは異なり、沿線自治体の支援を受けながら、増資、債務の株式化等の方策を実施して財務体質の強化に取り組んできている。問題の責任は事業者ではなく、国土交通省の無責任で場当たり的な施策にあると考えられる。現在の鉄道建設はP線方式の反省から自治体が鉄道運輸機構に無利子の貸付を行うことで事業者の負担を減らすしくみが取られている。

 

 コストを無視して高規格の鉄道を建設した鉄道運輸機構の過大な投資のツケが鉄道事業者と利用者に転嫁され、現在の東葉高速鉄道の苦境を招いているのだろう。鉄道運輸機構もかかった費用を全額回収するという意味で総括原価方式を採用していると言える。そして、鉄道事業者も電力会社と同じですべての原価を利用者に転嫁できるようになっている。

 

 一方の北総鉄道は、元利均等返済の利息の返済のウェートがまだ高い時期に最後の運賃の値上げ(平成10年)を実施して平成12年度には黒字転換している。黒字転換の要因は運賃の値上げ効果ではなく、支払利息の急激な減少によるものだ。支払利息負担が減る前に駆け込みで運賃の値上げを行った感がある。平成10年度に60億円以上あった支払利息が平成12年度には43億円程度まで減少して黒字に転換し、以降黒字が続いている。2021年度(2022年3月期)には支払利息は422百万まで減少している。ピーク時の10分の一以下の水準だ。コロナ禍の決算数字からすると北総鉄道の損益分岐点は50%以下だと考えられる。

 

 北総鉄道の問題は収益ではなく、元本の償還であり、公団線を千葉ニュータウン鉄道でなく、北総鉄道が買収していれば減価償却費の増加により無駄に税金を払わずに償還原資となる内部留保を蓄えることができただろう。元々、北総線の一部だった公団線を京成が買収するというおかしなことをしなければ、北総鉄道が線路使用料を払うのではなく、京成が北総鉄道に線路使用料を払っていたはずだ。これも国土交通省の省益と京成の利権から生まれた歪んだ政策判断に起因している。

 

 資本不足なのに運賃値上げ後に一度の増資も実施することなく、債務超過だけでなく、累積赤字まで自然減少させるという経営にはモラルが感じられない。

 

 京成はスカイライナーについては公然と線路使用料を払っていなのにお咎めがないどころか、北総線の青砥駅についで新鎌ヶ谷駅、千葉ニュータウン中央駅にまでスカイライナーの停車を始めている。やりたい放題で国や県だけでなく、沿線自治体も誰も問題視していない。

 

 今回の選挙で最下位当選した候補者のビラに「今後、期待する普通運賃値下げ実現には、北総鉄道㈱社長のコメントにある、乗客数が増えれば次の段階の値下げを検討する。次の値下げのカギを握っているのは、今後自治体の施策、行動にかかっています。特に白井市の乗客数増です。」と書かれているのを読んで唖然としてしまった。白井を京成の植民地だとでも思っているのだろうか。運賃を下げてほしければもっと利用しろということのようだ。

 

 白井については値下げの恩恵はほとんどないのに利用者増の責任まで我々市民に負わせる元高級官僚の発言には驚かされる。請われて北総鉄道の社長になったわけでもなく、出身官庁の印籠をかざして高飛車な発言をする感性に疑問を感じる。

 

 北実会の会長でもある議員は以前のビラで「今回の英断は社長の意向が大きいのではないかと思われます。それまで、歴代社長は京成電鉄からの出向というような位置づけで、京成電鉄や千葉ニュータウン鉄道などの取締役を兼務していました。しかし、現社長は昨年6月に両社を退社、沿線住民と持続可能な将来像に向き合っているものと考えます。」と北総鉄道の社長を礼賛している。

 

 京成電鉄には、今でも国土交通省の天下りが取締役 執行役員(鉄道副本部長)としてポストを得ており、そもそも北総鉄道の歴代社長は京成の取締役を務めた後に北総鉄道に天下っているだけの話で京成との関係が切れているわけではないから伝聞に類するような情報を市民に流す議員の資質に疑問を禁じ得ない。

 

 議員の選挙のビラには「北総線シルバー定期の導入」が記載されていたが、北実会は市民全体が享受できる値下げを諦めたようだ。しかし、シルバー定期にしてもその原資はどうするのだろうか。市が高齢者に助成するのだろうか。そもそも通勤電車を高齢者が定期を購入して利用するニーズがあるのだろうか。思い付きの実現性の薄い提案はやめてほしい。どうせ公約なんて時間が経てばうやむやになってしまうのが今の政治だから無責任な言いっぱなしで終わることになるだろう。

 

 許せないのは西白井駅前の地区に住んでいるはずなのに北総線の値下げ決定後にビラで白々しくも初乗り運賃の値下げを強調していたことだ。初乗り運賃では1駅の新鎌ヶ谷駅には辿り着けないにもかかわらずだ。新鎌ヶ谷駅に行くときは車かちばにうのバスを利用するつもりなのだろうか。それとも、議員報酬が上がればペイすると考えたのだろうか。真意を説明するべきだろう。これまでの北総線の値下げに取り組んできた熱意は何だったのだろうか。

 

 👉北総線運賃問題は本当に前進したのだろうか

 

 私は無駄な北総鉄道のさらなる値下げ運動をするのはもう止めた方がいいと思っている。なぜなら、鉄道事業者は運賃上限制に守られて一度、運賃の値上げ申請が認可されてしまえば、その後は事業者の裁量でいつでも値下げも値上げも自由にできる。認可後に運賃が適正化どうかをチェックするしくみは存在しない。そもそも値上げ申請時の認可も認可ありきで提出された申請内容をきちんと精査した形跡すらない。運賃上限制の目的は利用者の保護ではなく、鉄道事業者の自由度を上げることにある。事業者は届出1本でいつでも上限運賃まで戻すことが可能だ。利用者の力はとても弱い。事業者の顔色を伺う政治家には期待しても無駄だ。

 

 鉄道局の裁量権により常識では理解できない説明を官僚が平然とすることが値下げ裁判で明確になっている。行政を動かすためには利権で動く政治家を私たちは真っ先に排除するべきだ。議員が行政を監視する?以上に市民が議員を監視して次の選挙で情け容赦なく落選させることしか私たちの生活環境をよくすることはできない。彼らは選挙と保身や利権のためにいとも簡単に変節する。今回の選挙結果の分析を通じて彼らに対する市民の怒りを私は感じた。

 

 これまで選挙前に配られる選挙公報や候補者のビラを私はきちんと読んだことはなかったが、このブログを書くために手許に残っていた資料を精査してみた。

 

 前回のブログで県議会選挙の投票所別のデータを基に大山口・大松地区と七次台地区の有権者の減少について次のように言及していた。

 

 「前述の県議会選の投票結果で前々回と今回の比較で最も有権者数が減少しているのは、西白井駅を最寄り駅にする大山口・大松地区(第7投票区)▲1,771人と七次台地区(第10投票区)▲1,648人だ。有権者数の数字は人口とリンクしていると考えられるのでこの地区の人口減少が進んでいると考えられる。2つの地区の有権者の減少は、3,419人に上る。この地区だけで8年間で年平均427人の有権者が減少したことになる。」

 

 県会議員選挙は前回が無投票だったため今回と前々回の8年前の比較だったが、今回と前回の比較となった市議会選挙では、大山口・大松地区(第7投票区)▲2,140人、七次台地区(第10投票区)▲2,458人と両地区で▲4,598人減っており、4年前との比較の方が▲1,200人近く減少幅が拡大している。この四年間でそれまで増えていた人口が急速に減少に転じたことが推測される。

 

 桜台地区と第三小学校地区の有権者が増加しているが、増加数は大幅に減少している。清水口地区の増加は、駅前マンションの分譲によるものと見られる。

 

 今日、ポストに投函されていた広報しろい(2023/05/15号)には笠井市長が2期目の初登庁で女性から花束を受け取る姿が掲載されていた。そこには「総合計画の目標人口・約6万5千人を目指し、…」と市長が語ったと書いてあった。急速に国の人口が減少している中で具体的な対策もなく、人口増加を政策目標に掲げる脳天気な前向き発言に市民が共感するだろうか。

 

 いくらたくさんのまちづくり組織を立ち上げても人口増加に直結するはずもない。流山市のように白井に住みたいというインセンティブが必要とされている。そして、白井の最大の弱点である交通利便性を事業者保護ではなく、市民目線で進めて行かない限り、脱北者は今後も増え続けることになるだろう。白井市役所の元総務部長だった市長をよいしょする取り巻きがおかしな政策を作っているのだろうか?組織の人間は、人事権と同調圧に弱い。

 

 

 広報しろい2月1日号の市長メッセージに「本当に住みやすい街大賞2023 シニア編」で西白井駅が第2位に選ばれたことを市長が語っている。私はこの賞の存在を今まで聞いたことがない。サイトには『「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞 シニア編」とは、理想ではなく、実際にその地域で“生活する”という視点から、「生活環境」「レジャー環境」「福祉・医療環境」「街の安全性」「交通の利便性」の5つの基準を設定し、国内最大手の住宅ローン専門金融機関であるアルヒ株式会社の膨大なデータをもとに、住宅や不動産の専門家が参画する選定委員会による公平な審査のもと「本当に住みやすい街 シニア編」を選定したランキングです。』と記載されているが、発表された時期が昨年12月の西白井駅前のマンションの分譲の最終追い込みの時期だったこととこの賞の運営が住宅ローン会社のアルヒだったこともあり、素直に喜べない気持ちがある。

 

 👉本当に住みやすい街大賞2023 シニアランキング | アルヒ株式会社

 

 👉アルヒ、2024年1月に「SBIアルヒ」に社名変更へ

 

 西白井駅は交通利便性の評価が3.0と高くない。マンションの分譲サイトでは、マンションの魅力の一つに交通利便性が挙げられていた。

 

 生活環境の評価項目の文中に『北総鉄道北総線で1駅の新鎌ヶ谷駅前には大型商業施設「アクロスモール新鎌ヶ谷」や「イオン鎌ヶ谷店」があり、普段使いが可能です。市役所へは、駅発着の白井市コミュニティバス「ナッシー号(北ルート復路)」を利用すれば約10分で、その他民営バスの場合は約17分でアクセスできます。』と記載されており、記述があまりにも具体的で不自然な印象を覚えた。読んだ人が新鎌ヶ谷駅までの1駅の運賃が(IC運賃で)279円もすることを知ったらどういう反応を示すだろうか。

 

 『市役所へは、駅発着の白井市コミュニティバス「ナッシー号(北ルート復路)」を利用すれば』と記載されているが、おそらく、事務局に白井市役所から原稿情報が送られていたのではないだろうか。そもそもコミュニティバスで市役所に行く市民はあまりいない。私は市役所に行ったときに立派なコミュニティバスのバス停でバス待ちをしている市民を見たことがない。

 

 西白井駅発の市役所行きのナッシー号23本のうち北ルート復路は、9本にすぎない。しかも、午前中は7時台の2本と10時ジャストの1本しかない。残り14本の市役所までの所要時間は40分前後だ。利用者がこの現実を知った後も市役所にナッシー号に乗って行こうと思うだろうか。

 

 交通の利便性の項目では『白井市内では、市役所を発着点に東西南北の4ルートを循環運行するコミュニティバスが市民の足として重宝されており、』という記載は市民からすれば事実ではなく、嘘の類と言える。

 

 👉2021年8月2日からのナッシー号のルート改正の不都合な事実(3)~最終章

 

 別のサイトでもアルヒの本当に住みやすい街大賞が取り上げられており、『コミュニティバス「ナッシー号」では、スパや市民プールにもアクセスできるなど、移動手段の利便性も高い。』と記載されている。それ程便利なはずなのにコミュニティバスの利用者は2回のルート改正で激減しており、街中で見かけるバスが空のことは珍しくない。

 

 政策のミスを認めない行政の隠蔽体質にはつくづく呆れる。取り巻きが都合の悪い情報を伝えないために市長は裸の王様になっているのではないだろうか。市長自らナッシー号に体験乗車してみるべきだと思う。議会で誰か提案したらどうだろうか。

 

  👉1都3県「シニアが本当に住みやすい街」 3位「大泉学園」、2位「西白井」、1位は?:アルヒが発表 - ITmedia ビジネスオンライン

 

 

今回と前回の投票結果を比較してみると無所属の新人候補と新しく議席を獲得した政党候補を除くすべての議員の票数が減少している。一見、票数が増えているように見える候補者がいるが、政党の票配分の影響や同じ会派で今回不出馬のメンバーの地盤から引き継いだ票の一部が上乗せされているようだ。政党や会派単位で見るといずれも票数が減少している。

 

 

 今回の選挙の結果、白井市が女性議員の比率で全国でトップになったことが報じられているが、女性議員でも政党所属の議員の行動は性別に関係ないと考えられるので白井議会が変わるかどうかはわからないというのが本当のところだ。

 

 👉女性当選者の比率が50%以上になった9つの自治体はどこ?【統一地方選の後半戦】~女性当選者の比率が全国トップだったのは、千葉県白井市(55.6%)。千葉ニュータウンの一角を占める同市の人口は約6万人。都心にアクセスしやすいベッドタウンとして発展してきた。朝日新聞デジタルによると、笠井喜久雄市長は女性市議が多い理由について、新興住宅地を抱えているためだと分析。「(政治に)女性が参画しやすい土壌が白井市には育まれてきた」と述べているという。

 

 白井市長の「新興住宅地を抱えているためだ」という分析に私には否定的なニュアンスを感じる。旧市街区の候補者が多ければ男性議員の比率が高かっただろうと言っているようにも聞こえる。しかし、旧市街区の投票者数も投票率も前回より大きく下がっており、投票率は平均よりずっと低い。旧市街地の住民も今の市政を評価していない表れではないだろうか。

 

 選挙公報と議員のビラから市議会議員の主張と行動を分析してみた。市民感覚がわかる以下の3つの項目に対する賛否を確認してみた。

  • コロナ公園看板の設置についての賛否
  • 公文書の「作成・管理・公開」の適正化を求める陳情
  • 統一教会と政治家の関係の徹底究明等を求める意見書

  驚いたことにコロナ看板の設置に反対した議員は3人しかいない。コロナ看板の設置に賛成した議員で他の陳情と意見書の採択に賛成した議員は2人しかいない。イデオロギーというよりは政党や会派の利権あるいは市長の顔色を伺って同調圧で賛否を決めている議員が多いのではないだろうか。私たちは普通の市民感覚を持っている議員に投票する必要がある。

 

 普段、税金の無駄遣いや行政の監視を口にする議員が多いが、最後は仲間内の損得や支持者との関係で賛否を決めているように見える。

 

 コロナ看板についてはテレビでも放映され、税金の使い方に対して世間から厳しい目で見られているのに赤信号 みんなで渡れば怖くないということなのだろうか。

 

 👉“コロナ交付金”3000万円で公園に感染対策呼びかけ看板? 市民反発「看板よりPCR検査を」

 

 

 コロナ看板の設置に反対した議員は3名に過ぎず、コロナ禍のコミュニティバスの1.5倍の増便(「現行の運行経費水準を極端に増大することなく、運行本数を増便する」という前提条件付きの増便)について議員は誰も口を開こうとしないのはなぜなのだろうか。コミュニティバスのルート改正からもうすぐ2年が経過しようとしているのにコミュニティバスの増便後の運行状況や経費を検証する声が聞こえてこない。

 

 前述の「本当に住みやすい街大賞2023 シニア編」で取り上げられたナッシー号の北ルート(復路)はこのル-ト改正により便数が7便から9便に増やされ、市役所までの時間が17分から10分に短縮されている。政策の正当性を強調するために市役所からアルヒの事務局に情報提供されたのではないかというゲスの勘繰りが湧き上がってしまう。ルート改正により21便が増便され、うち11便が北ルートであり、その11便のうち10便が市外(下り)の千葉ニュータウン中央駅行きというのは普通の常識では考えられない判断だと思う。

 

 しかし、西白井駅から市役所まで10分以内に行ける便はルート改正前は、西ルート7便(10分)、南ルート5便(5分)の12便が運行されていた。うち5便が午前中(8時から12時まで)に運行されていた。しかし、ルート改正後の市役所までの2つのルートの所要時間は西ルートが37分、南ルートが40分となり、それまでこの区間を利用していた人たちにとっては嫌がらせのように感じられてもおかしくないレベルの改悪だと思う。この地区に住んでいない人でも市に対してだけでなく、自分が投票した議員に不信感を持つのは当然だろう。

 

 今回の選挙で改選前はどの党派の票数よりも多くの票を集めていた北実会のメンバーである議員は3人とも例外なく大きく票を減らし、前回はいずれも10位以内で当選していたが、今回は10位以内で当選したのは1人だけで1人は落選している。今回の北総線の値下げを高く評価し、マスコミに自分たちの成果をアピールしていた北実会にとっては大きな誤算だったことだろう。

 

 3人の失った合計票数は883票にもなり、組織票で最も票を落とした公明党が345票っだったことを考えると北実会がいかに市民からの信頼を失ったかがわかる。北総線の値下げ率以上に北実会の評価は下がっており、株の世界なら損切りするレベルだ。市民の期待を裏切った代償は大きい。選挙結果を北実会は真摯に受け止めるべきだ。北実会は多分そうした市民の反応を知っていたのだろう。最近は北実会からの発信が途絶えている。

 

 落選した議員の議会での行動は市民感覚に近く、かつては議会で熱心にコミュニティバスについての質問を行い、コミュニティバスの現状を市民に知らせていた。しかし、前回のコミュニティバスのルート改正辺りから市民に情報をまったく提供しなくなってしまった。会派からの同調圧に負けたのだろうか。

 

 コロナ看板の設置やコロナ禍のコミュニティバスの1.5倍の増便について追及することで議員報酬の値上げの報酬等審議会への市長の答申に影響が出ることを恐れて口を閉ざしていたと勘ぐられても仕方がないように思う。

 

 議長を務めた北実会会長の議員のビラに「★笠井市長の出馬表明はいつ?★ 12月議会の一般質問で、議員からの次期市長選への意向を問われた笠井市長は、『今は残された時間を公約の実現と新型コロナの対策に力を注ぎたい』と明言を避けました。」と紹介されている。まるで市長にへつらっているように感じるのは私だけだろうか。

 

 わざわざ議会報告に載せる情報だろうか。市長の答弁がコロナ禍で退陣した菅元総理の言い訳に似ている気がする。そして市長の公約の実現とは何を指しているのか教えてほしい。いざ、選挙となったら、無投票当選だというのだから市民をバカにしているとしか言えない。議会の仕事は市長と仲良くすることなのだろうか。

 

 政治家は北総線の通学定期の値下げが選挙に有利に働くと考えていたのだろうが、市民は極めて冷静な投票行動をとったことが今回の選挙から感じられる。市議会議員は通学定期の値下げ実現の成果により議員報酬の値上げもコミュニティバスの利便性の低下やコロナ看板の設置に対する市民の抱く負の感情を相殺できると考えていたのかもしれない。

 

 今回の通学定期を中心にした運賃の値下げはおそらく、運輸審議会での国交省の「将来的には、千葉ニュータウン鉄道の累積損失が解消した時点で線路使用料の支払い方法も見直すようである。」という発言と関係があるのではないかと考えられる。公団線の線路使用料を継承したという破綻した説明の国交省の擁護期限切れの結果だと私は考えている。国交省は値下げ裁判であれだけの無理筋を押し通したのだから北実会の値下げ運動に脱帽した訳ではないはずだ。もともと世間相場に較べて運賃が高額だから値下げするべきだという主張から始まったのが北実会の運動であり、線路使用料問題は路線変更にすぎない。結局、最後は政治利用だったんだと思った市民は多いはずだ。

 

 北総線の値下げなんかもはやどうでもいいという市民が大半のようだ。その証拠に北総線のさらなる値下げに言及した議員は例外なく軒並み票を落としている。北総線の値下げに言及しなかった立憲民主党と参政党の新人候補の二人が票をかっさらっている。

 

 立憲民主党は、前回の参院選で北総線の通学定期の値下げの実現を錦の御旗にして敗北したことで学習したのか、今回の地方議会選挙では北総線の問題に一切触れなかった。それが功を奏したのかもしれない。沿線住民の大半はさらなる値下げにもう期待などしていない。それどころか、さらなる値下げという嘘に拒否反応を示したのが今回の選挙かもしれない。

 

 そして、北総線の今回の値下げについての市民の評価に言及していたのは共産党の候補くらいで他の候補はだんまりを決め込んでいた。共産党の市民アンケートでは「90%以上が普通運賃のさらなる値下げ」を求めているそうだ。しかし、さらなる値下げを求める一方で選挙での候補者の選挙のときだけのウソを市民は許せなかったのかもしれない。いい加減なことを言うな!と。

 

 最下位で当選した候補者は「北総線一般運賃値下げ・アクセス特急停車可能」と主張し、今回、出馬しなかった同じ会派の二人の地盤を引き継ぎでいるようなのに前回からわずか75票しか上積みできていない。北総線問題に言及していなければもう少し票が伸びていた可能性もある。

 

 今回の選挙で人口減少対策として企業誘致を上げている議員が多いが、具体策は皆無だ。白井地区の事業者が一番のネックと感じているのは高額運賃の北総線と貧弱で便数の少ないバス路線だろう。いずれも京成が独占し、自分たちの利益優先で駅前のロータリーを排他的に占有している。

 

 企業が希望しているのは、安価で運行本数の多い新鎌ヶ谷駅発着の公共交通機関だ。その証拠に新鎌ヶ谷駅北側のロータリーには企業の送迎バスが通退勤時間帯に頻繁に発着している。南側のロータリーには企業の送迎バス用とスクールバス用のバス停が目いっぱい設置されている。

 

 企業の望んでいる公共交通機関問題に対して具体案を提案できる企画力と京成の独占に対峙できる勇気がある議員がいるとはとうてい思えない。北総線のさらなる値下げより京成独占の交通網からの脱却が白井市には重要だ。何度も言うが、北総線は事業者がいつでも値上げできるという事実を忘れてはならない。共存共栄の精神が通じない事業者と街づくりのための協定を結んでも市民は搾取されるだけだ。

 

国も県も自治体も上限運賃制では北総鉄道(=京成)に値下げのお願いする以上のことはできないという都合のいい建前がある。しかし、鉄道局が本気で鉄道事業法の規定通りに認可業務を進めれば京成は窮地に追い込まれることになるだろう。彼らは認可権という伝家の宝刀で天下り先を確保している。金魚のフンのような政治家には何も期待できない。

 

 交通利便性の改善のためにオンデマンド型のバスを提案している候補者がいるが、オンデマンド型のバスのニーズがあるのは北ルートの地区だけだろう。ニュータウン地区の市民がオンデマンドバスを利用するとは到底思えない。道路が渋滞する富士地区にはオンデマンドバスは向かないように思う。

 

 立憲民主党の候補者は、ビラの中で『白井市バス「ナッシー号」は抜本的見直しを』と書いている。実際にナッシー号に試乗して問題点を指摘し、具体的な次の提案をしていることは評価できる。

 

①乗車予約をするとバスが予約した停留所にお迎えに行く「デマンド型」の採用

②運用コストが安価な10人乗りバスの採用

③停留所やルートの見直し

 

 ただし、白井でオンデマンドバスのニーズがあるのか疑問符がつく。機動性の乏しいバスよりオンデマンド型の乗り合いタクシーの方が実現可能性が高いような気もする。「まずは交通事業者抜きで、ナッシー号を必要とする人々が試乗した上で幅広く議論すべきです。」と書いているが、連合の推薦を受けている候補者が事業者の京成に不利なコミュニティバスの抜本的な見直しができるだろうか。ナッシー号のコロナ禍の増便を含むルート改正の真の目的が特定の路線バス事業者への補助が目的だった可能性があり、さらに北総線の利用者増加対策(コミュニティバスという梯子を北総線という梯子に架け替える作業)の一環だったと考えられることから実現には大きな壁があるように思う。

 

 かつて、北総線問題で知名度を上げて民主党政権下で国土交通大臣政務官になった元衆議院議員若井康彦氏の変節が忘れられない。変節の理由が連合の影響だったと言われている。連合の支援を受けながら本当にコミュニティバスの抜本的な見直しができるだろうか。選挙の公約が当てにならないのは最近ではごく普通のことだ。ちなみに、嘘だらけの成田空港線を適切だとして認可したのも民主党政権だった。

 

 候補者は、故稲盛和夫氏の信奉者であるようだが、稲盛氏は独占企業を心底嫌っていた。その魂を引き継ぐ勇気があるだろうか。

 

 しかし、議員として最初にやるべきことはオンデマンドバスのニーズやしくみの調査ではなく、現在のコミュニティバスの実態を市民に開示することだと思う。現在、市民には市内で目撃するコミュニティバスがガラガラであることくらいしかわからない。

 

 議会で市に対して詳細なコミュニティバスの運行データを提出するよう求め、コミュニティバスの利用状況と収支率を分析して市民に開示することが行政の監視役を担っている議員の仕事だと思う。情報公開に後ろ向きの議員はいらない。サラリーマンのような同調圧に弱い忖度議員もいらない。仮に政策が失敗してもきちんと情報公開をすればまともな市民は理解してくれるはずだ。行政や議会に対する信頼形成に市民に対する率直な情報公開が不可欠だ。それすらできないのなら、コミュニティバスの抜本的な見直しなどできるはずもない。

 

 コミュニティバスについては、ルート改正前に議会に新鎌ヶ谷駅直通便の増便の陳情まで出していた富士地区に一番ニーズがあるように思う。富士地区は道路が狭く、車道と歩道の分離が不十分なため大人でも徒歩や自転車での移動を避けたい地区だ。公共施設の改修に多額の財政負担が予想されているときに利益誘導のような(仮称)富士公園の大規模整備に多額の予算を投じるよりこの地区の人たちの要望に沿ったコミュニティバスの運行を行うことを優先するべきだと思う。

 

 選択と集中でコミュニティバスの資源を富士地区と北ルート集中し、北ルートについてはオンデマンド型を検討してはどうだろうか。一方、ニーズのある地域にはバス停が不要な民間主導のオンデマンドの乗り合いタクシーを導入したらどうだろうか。その場合、既に稼働している民間事業者の事例からすると導入エリアは2km以内のエリア単位で設定し、一定の利用者が確保できる地区になるのだろうか。

 

 ニーズの高くない千葉ニュータウン中央駅行きのコミュニティバスは即刻、廃止するべきだ。新鎌ヶ谷駅直通便を廃止した理由が市境の最寄りバス停からの距離だった。千葉ニュータウン中央駅行きのコミュニティバスの市境の最寄りバス停は桜台だが、桜台の住民が望んでいるのは千葉ニュータウン中央駅北口駐輪場の使用料の補助のようだ。

 

桜台には北総循環線とちばにうの民間バスのバス停もあり、コミュニティバスと路線バスの競合を避けるという市や事業者の主張とも矛盾する。

 

 桜台を拠点にしている立憲民主党の議員は選挙公報で「千葉ニュータウン中央駅北口駐輪場の値下げ~その47%を白井市民が利用し、年間利用料金は印西市の2倍の1万円。高額負担の解消を図ります。」と主張しているが、この主張がおかしいと思わないのだろうか。

  

 他市の公共施設を利用する場合、市民と市外在住者で利用料金が異なるのは一般的なことのように思う。現に白井市でも駐輪場の市外在住者の定期使用料は倍額に設定されている。駐輪場の47%を使わせてもらっているのではなく、使ってやっているのだから利用状況に合わせた負担額にしろと主張しているようにも聞こえる。市民のために税金で建設した駐輪場の利用を市民優先にするのは当然ことではないだろうか。

  

白井市の駐輪場の定期使用料金
白井市の駐輪場の定期使用料金

 

 桜台の利用者を前提にしたコミュニティバスの増便が行われているのだから桜台の市民にはまずコミュニティバスの利用を促すのが議員の仕事なのではないだろうか。以前、大山口に住んでいたと告白しているが、大山口に住んでいたときも千葉ニュータウン中央駅北口駐輪場について同じ主張をしただろうか。

 

 ちなみに新鎌ヶ谷駅には、というより鎌ヶ谷市には市営の駐輪場がないので自転車や原付で通勤する白井の市民は民間の駐車場を利用するしかない。市民から駐輪場使用料を補助してほしいという声を聞いたことがない。桜台には駅直通の路線バスとコミュニティバスがあることを考えると一般の市民には理解しがたい主張だと思う。

 

 👉新鎌ケ谷駅駐輪場~鎌ケ谷市内の駅周辺には市営の駐輪場がございません。

 

桜台の別の議員も議会で(印西の)市民プールや駅前駐輪場の共同利用について議会で質問しており、議員独自アンケートによる住民の声をビラで公表している。例えば、改善してほしいところとして桜台の印西市への編入、印西市の公共・商業施設を利用する機会が多いため(種類・価格面を含めて)印西並みの公共サービスをという回答結果を紹介している。単なる個人の感想や意見なら問題はないと思うが、議員に対する要望なら見逃せないと思う。本気で印西市への編入を望んでいる人たちがいるのなら、そんな実現性の薄い要望ではなく、不便な白井を捨てて便利な印西市に移り住んではどうだろうか。

 

アメリカの州では、税金の使い方に不満な富裕層が自分たちを優先してくれる州に引っ越すそうだから、価値観の合わない自治体とはおさらばしてはどうだろうか。日本では移動の自由が保障されている。

 

 心ある議員の方がいれば、是非、下記の事項を調べて市民に報告してほしい。

 

 <議員への質問状>

  • 北総線の値下げに補助金や見返りの助成はないのか
  • ラッピングトレインの沿線自治体が負担した経費の総額と白井市の負担額
  • ラッピングバスの経費
  • コミュニティバスの利用状況と運行経費(増便前と増便後)