事例(交通⑤)

“マイカー県”の群馬で「“脱”車社会」計画 公共交通の利便性向上図る 20年戦略を県が策定~策定のきっかけは、県民の移動手段や距離など1日当たりの行動を調査するため、27年から2年間かけて行われた「パーソントリップ調査」だった。調査の結果、高齢者の外出率はマイカーを所有する場合は約77%であるのに対し、所有しない場合は約45%にとどまることなどが判明。また、代表的な交通手段に占める鉄道の利用率は約2・5%、路線バスは約0・3%にすぎないことも分かり、過度の「車依存」が裏付けられた。このまま対策を講じなければ、運転免許を持たない人の移動手段が減るほか、採算の取れない鉄道・バス会社は路線廃止などを余儀なくされる恐れがある。

(2018年4月26日 産経新聞)

動き始めた全国のLRT計画、岡山や栃木はどう取り組んでいるのか~国内では2006年に富山市が富山ライトレールを開業した。JR西日本から全長7.6キロの富山港線を譲り受け、LRTに転換して第三セクター方式で運行している。少子高齢化時代を見据え、中心市街地に都市機能を集約させるコンパクトシティの一環で、公共交通の整備により、中心部に人を集めるのが狙いだ。JR時代は乗降客が少ないことから、運行本数を減らし、さらに乗降客が減る悪循環に陥っていた。だが、富山ライトレールは昼間でも15分間隔で運行し、JR時代の1日当たり乗降客数平日2,266人、休日1,045人(2005年10月)を大きく上回る1日5,000人台の乗降客を毎年確保している。三セク会社の経営は補助金があるとはいえ、11年連続の黒字。富山市路面電車推進課は「高齢者の外出が増え、都市の無秩序な郊外拡大にも一定の歯止めがかかった。十分な成果が出ている」と胸を張る。 

 

地元の"足"を軽視するローカル鉄道は滅ぶ 「ひたちなか海浜鉄道」の勝ち方~「地域の人が乗ってこそ、ローカル線の役割がある」と吉田氏は力説する。そのため就任すると、ひたちなか市やひたちなか商工会議所とも連携して、通学定期の大幅割引を行った。「120日分の往復運賃を払えば1年間乗り放題」という年間通学定期券を発売し、地域で「説明会」を実施したところ、沿線の高校生の利用が一気に増えたのだ。