事例(交通⑩)

京都丹後鉄道が2019年10月1日より運賃改定を実施 利用者の皆様の更なる利便性向上を目指します~今回の改定では、210円以下の短距離区間の運賃を50円/100円区切りに値下げし、沿線地域の利用者の皆様に気軽にご利用頂けるほか、長距離区間(1,510円~1,800円)の運賃は、すべて1,500円に値下げ改定し、本来の鉄道の役割である長距離区間を移動いただきやすくしています。さらに、210円区間を路線バス同様の200円にし、地方の課題である運行本数の少ない鉄道および路線バスをどちらも同等に利用できるようにすることで、トータルでの時間的選択肢が増え、時間帯によって選んで利用できるようにしました。…※区間別では14.1%の区間で据え置き、70.0%の区間で平均3.67%の値上げ、16.9%の区間で平均6.80%の値下げとなります。…<参考>新たな定期の発売について~定期券の新たな種類(企画乗車券)として「年間学生定期」を発売いたします。本定期は、丹鉄を通学でご利用頂く学生の皆様に向けたもので、1ヶ月定期を1年間購入するより15%引きの価格で購入可能となっており、2020年4月使用開始分より有人駅窓口にて販売開始する予定です。(2019/9/12 WILLER株式会社のプレスリリース)

なぜ路線バスは衰退したのか? 地方は大幅赤字 かつての「バスの黄金時代」あだに?~国土交通省は2019年12月3日(火)、2018年度の路線バス(乗合バス)収支状況を公表しました。それによると、大都市部では黒字ですが、地方部では「100円の経費をかけ運行し、86円しか運賃収入がない」という大幅な赤字状態です。地方の路線バス事業者は、国や自治体から補助金を得て、なんとか路線バスを維持しているのです。年間輸送人員をみると全国で約40億人。「バスの黄金時代」とも呼ばれた1970年代前半は約100億人でしたから、6割もの大幅な減少です。近年、大都市部では「PASMO」などのICカード対応や経路検索サービスの充実などによって、輸送人員は回復傾向にありますが、地方部では、自家用車普及の影響を受けて大きく減少しています。実は、多くの先進国において、路線バス事業は自治体などの公的な主体が担います。実際の運行業務は民間に委託することが多いものの、どの路線を、どれくらいの便数で、いくらの運賃で運行するかといった計画は自治体などが担当するケースが多いのです。しかし日本では、おもに民間のバス事業者が、独立採算で運行する形態が続いていました。それでは赤字路線を維持できないため、2000年代以降、制度が相次いで改正され、現在では「不採算だが、地域のために重要だと認められた路線の赤字は、国と自治体が補助金でまかなう」ことになっています。…国の規制緩和によるバス事業の競争激化も、貸切バスと、一部の高速バス事業の収益を低下させました。一方で路線バスの輸送人員は減少を続け、多くの事業者で、路線バスの赤字額がほかの事業で穴埋めできるレベルを超えてしまったのです。バス事業の主軸が、事業者による「内部補助」から、国や自治体による「公的補助」に制度が変わったのはそのためです。…輸送人員が減少したとはいえ、路線バスは依然として公共交通の中核を担っています。しかし、民間事業者が運行し、税金から補助金を投入する制度では、運行ルートやダイヤを柔軟に変更し利用者のニーズに対応することにも限界があります。そのため、2013(平成25)年に制定された交通政策基本法は、自治体に対し、先頭に立って地域公共交通網を再構築することを求めています。

(2019/12/15 乗りものニュース)