怖すぎる未来の年表…「3年後、女性の2人に1人が50歳以上に」~「'92年に205万人だった18歳人口は、'09年から数年は120万人前後が続く『踊り場』の状態にありましたが、2018年頃(121万人)から大きく減り始める見込みです。'24年には106万人となり、'32年には100万人を割ると見られています。こうなると、私立大学は当然のこととして、国立大学にも潰れるところが出てくる。日本を襲う劇的な人口減少は、こうした『国立大学倒産』のような、これまででは考えられなかった出来事を、様々な分野で引き起こします。しかも、これは単なる『予測』ではない。訪れることがもはや『確定』していると言ってもいいことなのです」…これからの日本では、首都圏を中心に、高齢者の医療を巡る問題が噴出する。2022年には、'47年生まれを筆頭とする「団塊の世代」が75歳=後期高齢者に突入。さらにその3年後、2025年には、ついに団塊の世代全員が75歳以上となり、後期高齢者の人口全体に占める割合は18%にも達する。…「75歳以上人口の激増によって、'25年には、政府の医療費負担は56兆円にのぼると見られています。こうした予測を受け、すでに高齢者の自己負担の引き上げが予定されています」…「すでに認知症の高齢者が、同じく認知症のパートナーを介護する『認認介護』の問題が顕在化しつつある。当然リスクは高く、今後は介護中の事故がじわじわと増えていくと考えられます。さらに、ひとり暮らし世帯が激増することが見込まれています。多くの認知症高齢者が、一人で暮らさざるを得ず、孤独死を強いられる。そういう状況がもうすぐそこまで迫っているのです」…「リアルな店舗の営業時間短縮や店舗数減少で、ネット通販がライフラインになってきますが、物流も人材不足です。『欲しいものがすぐ手に入る』ことが、『ぜいたく』とされる世の中になっていく」…一方、地方では、市場が縮小することから、様々な業種の撤退が相次ぐ。内閣府の『地域の経済2016』によれば、2030年には、38道府県で働き手が足りなくなると予想されている。こうした「地方の衰退」は、スーパーや百貨店、銀行など、生活に欠かせない主要な施設の撤退に繋がっていく。…「ショッピングモール(SM)も人口減少で集客が減り、『坪効率』が悪くなるため、次々に撤退していく可能性が高い。これから5~10年ほどで一部の地方からはSMが姿を消していくでしょう。地方の人にとって、SMは一種の『ライフライン』となっていますから、生活に大きな打撃を受ける人も多いはずです」…さらに、人口が少ない地域に住む人たちからは、「終の棲家」までも奪われてしまう。前出の『地域の経済2016』によれば、'40年には有料老人ホームは、23.0%の自治体で維持困難になる。在宅ベースの介護サービスを受けることが難しい地域も出てくる。
まず深刻な問題となるのが、首都圏の医療機関不足である。
(2017年9月5日 現代ビジネス)
要介護認定者数は年々増加。2025年には65歳以上の認知症患者が約700万人に~厚生労働省が2016年10月4日に発表した「平成28年版高齢社会白書」によれば、2014年の平均寿命は、男性が80.50年、女性が86.83年であった。…2013年の平均寿命と健康寿命の差を見ると、男性は9.02年、女性は12.4年であり、健康上の問題などにより日常生活に制限のある期間であると考えられる。…また、被保険者を年代ごとに要支援・要介護に認定された割合で見てみると、65~74歳の要支援認定割合は1.4%、要介護認定割合は3.0%であった。だが、75歳以上では要支援の認定を受けた人は8.8%、要介護は23.3%と、後期高齢者になると割合が大きく上昇している。…なお、65歳以上の高齢者の認知症患者数、有病率を予測した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によれば、2025年の認知症患者はおおよそ700万人、割合として5人に1人になると予測されている。…2014年の65歳の高齢者がいる世帯数は2,357万2千世帯で、全世帯数である5,043万1千世帯の46.7%と、おおよそ半数を占める。…65歳以上の一人暮らし高齢者は、1980年に男性約19万人、女性約69万人であったが、2010年に男性約139万人、女性約341万となり、男女ともに顕著に増加している。65歳以上の高齢者の子供との同居率は1980年に69%であったが、2014年には40.6%まで減少。…「子と同居」のなかでも未婚の子どもと高齢者との同居が増えているのは、生涯未婚率の増加の影響もあると考えられる。高齢世帯の「単独世帯」と、「ひとり親と子から成る世帯」の増加が今後も見込まれており、今後、同居別居を問わずに、未婚で働きながら親を介護する人が増えることが予想される。…総務省の「社会生活基本調査」によれば、15歳以上でふだん家族を介護している人(以下、介護者)は、2011年で682万9千人と、1991年の356万5千人から1.92倍に増加している。…60~69歳の介護者の割合は26.7%、70歳以上は17.7%と、60歳以上を合わせると44.4%であり、老老介護の状況も多いことがわかる。…介護者のなかで最も多い年代が50~59歳であり、働き盛りの人たちが介護をしているケースが多い。懸念されるのが仕事と介護の両立の状況である。
(2017年2月14日 LIFULL HOME'S PRESS)
家族と一緒では生きづらい…超高齢化社会にひそむ「本当の問題」邪魔者扱いされていく高齢者たち~傘寿まり子とは、「80歳のまり子さん」を指す。文字通り、主役は80歳の高齢者だ。少子高齢社会もついにここまできたのか、と思った。マンガまで高齢者の主人公が出てきてしまうとは……。…実はまり子は、そんな高齢者のイメージをひっくり返すような人物として描かれている。非常に前向きで明るい性格だ。…特に、まり子がネットカフェ難民になる場面だ。これがまた現代的としか言いようがない。…家出した高齢者や住居を失った人々が一時的に身を寄せる場所として、ネットカフェはよく知られるようになった。ネットカフェには、シャワーもあり、自分の部屋のようにくつろげる自由な空間がある。一方で、原則として誰も干渉しないというような孤独で監獄のような印象も受ける。この現代の多様性ある人々を受け入れる不思議な空間の2つの特殊性を上手く表現している。…社会福祉の弱い日本において、ネットカフェは最後のセーフティネットにならざるを得なくなっているのかもしれない。いまも全国のネットカフェにはひっそりと生活の場所にしなければならない高齢者や事情のある方々が身を寄せているのだろう。…そもそもまり子が同居家族に居づらさを感じたのは当然で、彼女の家族は四世代同居であるにも関わらず、狭小な住宅だった。日本は都市部であればあるほど、住宅費が高騰しており、住宅を維持したり、新設する費用がかかり過ぎてしまう。それぞれが独立する上でも家賃や住宅ローン費用などを捻出しなければならない。これもまた高いのである。だからこそ、低所得であるほど、あるいは収入が不安定であるほど、家族と同居せざるを得ない状況がある。…非正規雇用は過去最多の規模で増加をし続けている。働いても処遇や収入が不安定であり、家族相互で助け合わなければ生計が維持できない人々は言うまでもなく増えている。しかし、家族が相互に助け合える余裕はなく、どうしても自身の配偶者や子どもが優先となろう。高齢者の扶養はどうしても後回しにならざるを得ない。…居室内での孤独死を警戒して、大家や不動産屋は高齢者の入居を断る事例が後を絶たない。身寄りのない、家族を頼れない高齢者は最低限必要な住まいを得る際も困難が伴うのだ。わたし自身も数多くの高齢者の入居契約時に緊急連絡先になり、そのうち数件は死後の遺品整理や家族への連絡、遺体の葬儀に関わってきた。これらを大家や不動産屋が調整をしながら行うとなると、不本意ながらも入居を制限してしまう心理状態に理解を示さざるを得ない。…結局のところ『傘寿まり子』を読んでみて、わたしが出会ってきた生活困窮者支援の相談支援現場や高齢者支援の現場をよく捉えていると思う。特別な誰かの問題ではないからこそ好評なのだ。実に誰にでも起こりうる庶民の生活に迫ったテーマなのである。
(2017年3月12日 現代ビジネス)