家賃を下げろデモ!〜住宅問題でも声を上げ始めた若者たち〜家賃が高すぎる――。賃貸物件に一度でも住んだことがある人ならば、誰もが思ったことがあるだろう。私自身も今まで、家賃には散々苦しめられてきた。特にフリーターの時なんか、月収15万円くらいなのに半分は家賃で持っていかれる。…一方、「高い家賃」ゆえに親元を離れられないという人々も多くいる。特に非正規層では深刻な問題だ。「低収入で実家を出られない」という問題は、確実に未婚や少子化の背景にある。…さて、そんな状況を受け、6月12日、若者たちがとうとう声を上げ始めた。「家賃を下げろデモ」が開催されたのだ。新宿の街には、こんなコールが響き渡った。「住宅手当で家賃を下げろ!」「公営住宅今すぐ増やせ!」「住宅保障に税金使え!」「最賃上げて家賃を下げろ!」…若者が自立できないか、自立しても家賃負担が重すぎるという現実があります。そういう中で、選挙があるのに全然住宅政策が取り上げられていない。自公政権は三世代同居とか近居とか、お金持ちの住宅支援はしますけど、僕ら若者にとって重要なのは、公営住宅増やしたり住宅手当増やして、家賃が高すぎるって問題をなんとかすること。…「今、若者は自立が難しくなっています。20代30代で未婚、年収200万円以下の若者は4分の3が親元にいるとする指摘があります。(中略)この20年間、手取り収入に占める住宅費の負担は上がり続けてきました。これを解決するために、住宅保障に税金使いましょうよ。昨年、(生活保護の)住宅扶助が削られました。都営住宅はもう作られていません。住宅手当はほとんどの人が使えません」…「第二に、私たちは公営住宅の抜本的拡充を求めます。皆さん都営住宅の倍率見たことありますか。2人以上の世帯で倍率27倍、一人世帯では57倍です。単身の若者は入ることができません。今の政府は本当に困ってる人のために公営住宅に入れる人を選別すると言ってます。必要なのは困ってる人と困ってない人の線引きではなくて、公営住宅を今すぐ増やすこと。そう思いませんか」…彼の言う通り、日本の住宅政策はあまりにも貧弱で、持ち家政策ばかりがとられてきた。よって、賃貸に住む人への支援はないに等しい。…「家がないことは、その人から仕事を奪います。希望を奪います。そしてその人を孤独にさせます」…私は20年間、住まいを失った人たちの相談支援を行なってきましたが、10年ちょっと前から、20代30代の若い人の相談にのることが多くなりました。かつてはごく一部の日雇い労働者の人の問題だった”住まいを失う”という問題が、若い人にまで広がっている。」…「家賃の負担が苦しいなら、声を上げればいいんです。賃金が低くて困ってるなら、声を上げればいいんです。奨学金の返済に困ってるなら、声を上げればいいんです。困ってる、給料上げろ、保育園見つからない、日々の生活どうしたらいいのかわからない。そういう人たちが今やマジョリティなんですよ。マジョリティの私たちが声を上げて、この社会を、政治を、変えていきましょう!」
(2016年06月17日 HUFFPOST)
保育士の激務は年収323万では割に合わない このままでは、さらに保育士が足りなくなる~2013年の厚生労働省の調査によれば、潜在保育士が保育士としての就業を希望しない理由は「賃金が希望と合わない」がトップ(回答者の47.5%、複数回答)。…とはいえ、ただ賃金を上げれば保育士が確保しやすくなるとは限らない。保育の現場には長時間労働になりやすい構造があり、サービス残業や仕事の持ち帰りが常態化しがちだ。業務負担の大きさから疲弊してしまう保育士も少なくなく、潜在保育士の就業をためらわせる要因にもなっている。…「保育士からよく聞くのは、『賃金を上げたい』というより『余裕を持って保育をしたい』という声。休憩を取りたい、持ち帰りの仕事を減らしたいと訴える人は多い。せっかく保育が好きで仕事に就いても、長時間労働が続くとやっていけなくなる」…なぜ、保育現場では長時間労働が横行してしまうのか。それにはいくつかの理由がある。まず、保育のための作成書類が多いことだ。保育士には、保護者に子どもの様子を伝達する連絡帳をはじめ、年間計画、月案、週案、日案といった保育計画、自治体に提出する書類など、膨大な事務作業がある。子どもを見ながら、こうした作業をすべてこなすことは難しく、どうしても残業や持ち帰りに回す作業が発生しがちだ。こうした書類は、保育士が手書きで作成しているケースも多く、一般的なオフィスのようにITによる効率化はまだ進んでいない。連絡帳など保護者との情報共有にアプリを導入する例も出てきているが、一方で「パソコンが苦手な園長やベテラン保育士はいまだに多い」(業界関係者)。書類には子どもの個人情報が記されている場合が多く、セキュリティ対策も必要になる。資金に余裕がある園でなければ、IT化の推進に踏み切りにくい。…待機児童対策としての受け皿拡大が、かえって保育士不足につながっているというパラドックス。今後は保育士の「働き方改革」を、待機児童対策の本丸とする必要がある。
(2017年02月17日 東洋経済)
「スマホではない世界には戻れない」人手不足で介護にもIT化の波~介護付きホーム「アズハイム練馬ガーデン」(東京都練馬区)で働く南弘貴さん(26)は、手のひらのスマートフォン1台で、入居者の24時間の状況を把握する。入居者が寝ているのか起きているのかが瞬時に分かり、介護記録の入力や閲覧も可能だ。IT(情報通信)化により記録の手間が大幅に削減された。負担が減った分、高齢者の世話やふれあいに時間を使うことができ、入居者の満足や職員のやる気にもつながっている。携帯電話に表示される入居者の様子。南さんが7年前に介護業界に入った時には全く想像さえしなかったことだ。以前勤務していたホームでは紙に手書きで事務作業をしていた。「スマホではない世界にはもう戻れない」と南さんはいう。…アズハイム練馬ガーデンでは、ベッドマットの下に体動を感知するセンサーが敷かれており、「寝ている」「ベッドを離れている」といった状態や心拍数などが瞬時にスマホ画面に表示される。食事や排せつなどの状況もスマホで入力でき、過去の記録も見ることができる。システムを先行導入した他施設の場合、記録の記入や安否確認などに要する時間の短縮により1日当たり17時間、スタッフ約2人分の1日の労働時間削減につながった。…業界では人が人を介護するという考え方が根強く、IT化に対して拒否感があるとした上で、「介護の仕事は極めて労働集約型と言われており、労働人口は増えないので生産性を上げていかないといけない」
(2017年8月22日 Bloomberg)