事例(街づくり)

 

オレゴン州ポートランド 持続可能性への地域的取り組み~ポートランドでは、「20分の街」を成功させました。住民は、学校、食料品店、職場、娯楽施設などへ20分以内で歩いて行くことができます。市や地域では、このモデルをもっと多くの地区で採用したいと考えています。…町や地域の、端を拡張(郊外の開発)するのではなく、中心部に焦点があてられると、結果は、移動パターンで公共交通機関の利用が5~10倍、徒歩が3倍になりました。車による移動や自家用車の所有も半分になりました。

 

( 2008年   健康維持増進住宅研究コンソーシアム設立総会) 

 

第1回 米国ポートランド市――多様なファイナンス手法で「住みやすい」街を実現~1970年ころ、ポートランド市は市街地に人が集まらなくなり、街は荒廃した。米国の各大都市と同様に高速道路の整備に伴うスプロール化が進行したためだ。そこで同市は1972年、問題解決に乗り出した。…同市中心を流れるウィラメット川沿いの高速道路を撤去して公園や緑地帯を設置し、徒歩や自転車、公共交通機関で移動できる街づくりを目指した。同時に環境負荷の低減に努め、雨水などの地域資源を活用してビオトープを市内の各地に造り、景観やデザイン性に優れた街並みを目指した。こうして住民を惹きつけた結果、人口が増え、不動産価値が向上し、固定資産税が増加。これを原資にさらに都市開発を進める、という好循環を達成した。…そこでポートランド市は、「ネイバーフッド・アソシエーション」と呼ぶ、地域住民が参加して都市計画を話し合う仕組みを設けた。…ネイバーフッド・アソシエーションには、都市計画の専門家や建築家、弁護士、デザイナーなどがボランティアで参加し、知見を提供している。それに惹かれて、都市計画を学びたい学生など多くの人材が集結する。ポートランド市としては、これらの組織を通じて、同市を都市開発のハブとする考えだ。
(2016年8月18日 日経BP社)

櫛の歯が抜けるように人が減った“限界ニュータウン”現地ルポ 親世代が住み続け子ども世代は流出~しかし、その新陳代謝は進まなかった。学識経験者、東京都、多摩市、UR都市機構からなる「多摩ニュータウン再生検討会議」のレポートは、限界集落化は住民の入れ替わりがうまくいかなかった理由として、高度経済成長が終焉し所得が思うように上がらなかったことや、バブル発生で住宅価格(家賃)が高騰し、住み替えようにもここ以上の条件の住宅が見つからなかったことを指摘している。親世代の初期入居者はそのまま住み続け、子ども世代は通勤通学がより利便性の高いエリアに流出。…予算のばらまきだけでは、人口の減少・流出は止められず、老人ばかりが目立つ巨大な住宅群が誕生していくかもしれない。自治体はますます智恵を絞らなければならないであろう。

(2017年3月27日 PRESIDENT Online)