多くの日本人が知らない「人口減少」と「東京一極集中」本当の意味 首都圏から見た地方創生【前編】~こうして都心に通う労働者が子どもや家族のために自分を犠牲にすることで、新たな交通開発と住宅地開発がセットとなって、新しい郊外がこれまで数多く作られてきた。人口増加が今も起きているのはそうした場所である。ただし、こうした郊外は必ず老朽化し、住民も高齢化する。子育てが終われば少子化が始まる。決して持続可能な場所ではなく、むしろ一過的な人口増で終わる可能性が高い。…だが、人々の過剰な移動は、家族を維持するのにはあまりにも過酷になっており、私たちはこの過剰な人の動きをこの機会に抑制し、人々の暮らしがオフィス中心ではなく、家族や地域の中にもあるよう、もっと時間の配分を調整しなければならない。
(2017年2月19日 現代ビジネス)
日本を襲うであろう「人口減少」という"難題"?この病理への処方箋 首都圏から見た地方創生【後編】~経済と暮らしは本来、両立するものである。今後もそうあらねばならないのだが、それがどこかで狂ってしまった。その矛盾が人口減少にまでつながっている。それを修正しなければならない。…そして東京一極集中は、基本的には価値の問題、権力の問題だから、地方は、東京をこれ以上良く見るのをやめること、そして過剰な依存を止めること。そして何より東京こそ、地方への依存をやめること、まずはその依存を認めること(人、モノ、カネの集中化)、そしてその収奪を弱めること、ということになるはずだ。もっとも首都圏と地方はすでに一体だから、お互いの依存を解いては国家は成り立つことはできない。むしろお互いに依存しあっていること(共依存)を認め、これを自覚的な共生へと今一度戻していくことが、この国を守ることになるだろう(そして「戻していく」というのは、90年代まではそのようにこの国はできていたからである)。
(2017年2月19日 現代ビジネス)
私大キャンパス移転 勝ち組と負け組は?~キャンパスを郊外から都心へ移転する私大が相次ぐ。18歳人口の減少傾向が強まる2018年を前に、生き残りをかけて便利な場所に移している。…18歳人口は1992年に205万人だったが、その後、減り続け、12年には119万人に。92年と比べて約4割も減った。近年は減少傾向が一段落しているが、18年以降は再び減っていく。31年には、100万人を割ると予測されている。…このため、大学側はキャンパスを少しでも便利な場所に移すことで、学生を確保しようと懸命だ。下宿も当たり前だったかつての時代とは違い、今は自宅通学志向が強まっているためだ。キャンパスの都心への移転の影響は、数字にはっきりと表れている。リクルート進学総研が15年に実施した調査によると、東京23区の大学の収容定員は09年に36.2万人だったが、15年には40.2万人に増えている。
(2017年3月14 日 AERA dot.)