(注)地位の継承とは許可に基づく権利義務を承継する場合を指すと考えられるが、権利義務を承継できるのは鉄道事業法第26条4項の「合併法人等」か第27条4項の相続の場合だけのはずであり、千葉ニュータウン鉄道は鉄道の譲渡を受けた第三者に過ぎないから権利義務を承継することはできないのではないだろうか。鉄道局は公団が線路使用料として運賃全額を収受するという認可は鉄道事業法施行時の経過措置だと説明していたが、経過措置という特例はそもそも一身専属権と考えられ、第三者が承継すること自体おかしいと思う。
(注)千葉ニュータウン鉄道の赤字は平成16年の公団線の譲渡後に発生しており、公団の累積損失処理も既に終わっているので公団と北総鉄道の間の協定の「累積欠損が解消するまでの間」という条項を引き継いで運賃全額を収受するという説明は矛盾している。本来なら別途、千葉ニュータウン鉄道と北総鉄道が新しい協定を結ぶのが筋のはず。しかし、その場合は運賃全額を線路使用料として収受することを認可する理由が薄弱なため、地位の継承という説明にしたのではないのだろうか。
(注)上記の線路使用料に関する協定では車庫も車両も「鉄道施設等」として線路使用料の対象に含まれていたはずだが、車庫については平成13年3月30日付で公団と北総鉄道で取り交わした『都市基盤整備公団が所有する北総・公団線「車両基地」における車庫使用料の算定に関する覚書』により北総鉄道が平成17年度より36年度まで各年度末車両保有台数に応じて車庫使用料を公団に支払うことになり、千葉ニュータウン鉄道はこの覚書を継承して現在、車庫使用料を北総鉄道から徴収していると主張している。覚書では使用料は決められていない。(以上はURからのヒアリングによるもの)車両については根拠は不明だが、千葉ニュータウン鉄道は線路使用料とは別に北総鉄道から賃貸料を徴収している。しかし、公団から千葉ニュータウン鉄道への譲渡時には公団の累損も負債も解消され、県からは43億円の鉄道資産の圧縮補助金も受領していることからして千葉ニュータウン鉄道が北総鉄道と公団の取り交わした協定を引き継いで千葉ニュータウン鉄道所有区間の運賃収入全額を線路使用料として収受し続ける理由はないはず。さらに車庫使用料と車両使用料を別途徴収することは理解ができない。なぜなら「北総鉄道はリスクを負わない」という理屈が成り立たない。車庫使用料と車両使用料の支払で北総鉄道は千葉ニュータウン鉄道の所有区間を赤字で運行していることになる。地位の継承ということであれば権利だけでなく債務も継承するのが法律上の解釈のはず、都合のいい権利だけ承継するなどということは許されないはず。
(注)平成13年3月30日付で旧都市基盤整備公団(統合前のURの前身の公団の一つ)と北総鉄道で取り交わした『都市基盤整備公団が所有する北総・公団線「車両基地」における車庫使用料の算定に関する覚書』は北総鉄道が平成17年度より36年度まで各年度末車両保有台数に応じて車庫使用料を公団に支払うという内容。使用料は決められていない。(*URからのヒアリングによる)現在、北総鉄道から千葉ニュータウン鉄道に支払われている車庫使用料175百万円は車両基地の建物の簿価を賃借期間20年で割った年額と推定される。